RequaL≡2022ssのプレゼンテーションのための音楽を作ったので、参考にした曲をまとめた。
はじめに
こんばんはkengoshimizです。
ファッションブランドのRequaL≡がLONDON FASHION WEEK 2022S/Sで新作を発表しました。音楽を今季も担当させていただきました。
こちらがその動画です。まずはこちらをご覧ください。
今回は今までのRequaL≡の発表での音楽、~既存の曲を再構築し、そこに様々な要素を足していく~とは違い、0から作曲しました。そのため、たくさんの音楽を解析し、一曲に仕上げました。どんな音楽を参考にしたのか、まとめていきます。
その前にこの楽曲について。
この楽曲は、3楽章になっています。
最初はオーケストラの音源を使った、ワクワクするような爽やかな部分。次にシンセサイザーとオーケストラが混じる部分。そしてピアノの独奏に分かれます。
基本的にコードは「C7→F→Gm」でできています。2楽章のコードは忘れちゃった、、、。コードだけで言ってしまえばポピュラーなものではあります。
ではまとめて行きましょう。
全体の大まかな構想
まず、この曲を参考にしました。
ミニマルミュージックの神、Steve Reichです。前回までのランウェイでのプレゼンテーションでは、同じくミニマルミュージックの神である、Philip Glassの曲を再構築してきました。しかし今回は、最初の打ち合わせでデザイナーがかけたこの曲で満場一致し、この曲をベースに構想を立てました。
ちなみに私はSteve Reichのファンで、彼のテヒリームのコンサートで号泣してしまうほど彼の音楽に惹かれていたので、物凄い挑戦でした。
第一楽章
第一楽章の入りは、この曲を参考にしました。
この曲は、ラヴェルという作曲家の作品で、オーケストラではない小規模な構成での作品です。ラヴェルは私が中学生の時から、和音構成が気になって楽譜を読んだりしていたくらいには、かなり影響の大きい作曲家です。この曲のフルートのイントロがすごくいいんです。だから弦のピチカート以外にも何か、、、という時にふとこの曲が浮かんで、フルートとピッコロを組み込みました。
って調べてたらヤバイ動画を発見しました。ラヴェルの作曲のうちの演奏レベルが高いピアノ曲の一つ、水の戯れをハープで弾いている動画です。ピアノと違って制約が多いのでしょうけど、ゆったりと弾かれる水の戯れもいいですね、、、。
https://www.youtube.com/watch?v=anr7KtzgMso
実は水の戯れのある部分は最終楽章でかなり似た音形のまま使っています。後で解説します。
次にピアノが入り始めるところですが、
またしてもラヴェルです、、。多分クラシックで一番聞いたのはラヴェルの作品です、、、次にストラヴィンスキー、からのライヒとかになるのかな、、、単純に楽しい感じにするにはこんな感じにしたらいいのか~という参考なだけですが、、、
今回の作曲では半音階をめちゃくちゃ多用してるんですが、実はこの曲の影響あってです。ついでに言うとガーシュウィンのこれも影響しているかも。
出どころは忘れちゃいましたが(多分wikipediaなので正確かどうかはわからないのだけど、、、)ラヴェルのピアノ協奏曲 ト長調(上にあげた曲)はジャズの影響を受けているようで、普通に聞いていると明らかにそれっぽい音が大量に出現します。
いろんな楽器が入ってきてからは、
吹奏楽部だった頃に演奏したこの曲がなければ、あのようなテンションで続けていく構想にはならなかった気がします。
ちなみに作曲した曲のキーはF majorで作っているのですが、これも猟犬から参考にしています。さらにいうとその後の展開でキーがA♭ majorになるんですがそれも猟犬通りです、、、。
追記:後で作曲したものを聴いたらA♭ Majorじゃなかった、、、E♭ Majorだった、、、ただ最初の和音をA♭にしたのは猟犬影響、、、。
第二楽章
第二楽章は、私がめっちゃ最近参考にしているこの方のこの曲。
この曲はまじで格好イイのでめっちゃ聞いて欲しい!
この曲の最初の音は一体なんなのかよくわからんのですが(多分ギター、でもこのリリースの短さは何かでいじってるのか、コンプがとんでもなく強くかかっているのか、、、)、これを参考にピアノを作った後、同じ音程でアタックのやけに強いシンセサイザーでユニゾンを作り、めちゃくちゃチープな印象を作っています。
ちなみに作曲した曲では打楽器を一切使っていないのですが、それはseekersinternationalと、Oneohtrix Point NeverのアルバムAge ofの影響が強いです。
この曲が一貫してリリースの短いベースなのも、
この曲を参考にしているからです。さらにいうと内臓の音源だとリリースが長くなりすぎたりして制御が非常に難しいのと、音が立ちすぎていること、さらに現代ではサブベースがやっぱり人気なので、オケ音源だとピチカートのコントラバスの方が何かと私は相性がいいです。
シンセサイザーのメロディーも、
OPNを参考にしています。この曲のシンセのメロディーは、片方だけメロディーに対してのハモリがなるようになっています。私はそれを踏襲しつつ、最後の盛り上がりでは、真ん中に主旋律、左右にそれぞれ別々のハモリがなるようにしています。
ここで参考にしたのはもちろんOPNだけではありません。
坂本龍一曲はめちゃくちゃ参考にしました。複数曲あるのですが、大量にいろんなテクスチャが重なって行きつつもそれぞれが特定の機能を持っている部分をかなり参考にしています。
この曲の音色の重ね方もそうですが、この曲の参考部分は下降上昇する音形の部分です。多分いろんな曲でこれは使われているので、この曲だけではないですが、高い音から下降するのは坂本龍一の影響を大きく受けていると思います。ラヴェルと坂本龍一は高い音の部分だけで音楽を作るのがすごく技術があり、綺麗だなと思います。
第三楽章
ぶっちゃけここは、ほとんどまぐれというか、なんか複雑な和音とか半音階を使いまくったら激しくなるだろ!と思って、まず骨組みの和音を作って、そこから変に聞こえないようにひたすらに実験を繰り返して作りました。ここが一番時間がかかってます。
メロディーはおおよそ第一楽章を踏襲しています。
まず、参考にしたものはこちら。
この曲は人間が弾くためではなく、自動演奏ピアノのために書かれた曲で、一人の人間の指では弾けません。
さらに参考にしたこちらの曲イスラメイは、人間が弾けるには弾けますが弾くのがまじでむずい曲のようです。ラヴェルがこれより難しい曲を書こうとしたらしく、それが「夜のガスパール」という3曲でできたものです。どっちが難しいかは知りません。
ついでに人間が弾けないっていうのもなんかなあ、と、ピアノ部分の制作に負い目を感じた私は、
坂本龍一と富家哲による狂ったTong Poo(坂本龍一の曲)を思い出し、連弾っていうのがあるじゃないか!という感じで自分の頭を完全にバカにして挑みました。この連弾の動画はめちゃくちゃ面白いのでよければみてください。
とりあえず最初の狂ったパートはまぐれでできたとして、静かになる手前の部分はこの曲のリズムを参考にしました。
最初の「パパパッパン!」×2がまさにそれです。
次に静かになるところの部分で参考にしたのが、
ラヴェルの水の戯れです。
一応楽譜が読める人向けですが、載せておきます。ラヴェルの楽譜はIMSLPから。下の写真は私が作った曲のピアノロールです。
見にくいのは承知ですが、小節頭で下降するか上昇するかが違うだけで、調の中で隣り合う二度の音程を当ててアルペジオを3連符で作っています。
気づいた方もいるかもしれませんが、ラヴェルのメロディラインが、アルペジオが下降するタイミングで始まっているのと、私の曲のメロディライン(茶色)も、アルペジオが下降するタイミングで始まっているのも、水の戯れの影響です。
さらにこの後の盛り上がり、高音域からの半音階の下り、さらに超低音でのアルペジオも、全部水の戯れの影響です。
超低音のアルペジオは、ラヴェルの別の曲からの影響でもあります。
この曲のオープニングのコントラバスとかから始まる音がめちゃくちゃかっこいいんですよね、、、、次にコントラファゴットかな?のソロからどんどん音程が上がってきてブチ上げして、ピアノが入ってくる。完璧すぎます、、、ラヴェル、、、
次。激しいピアノの最初の方の音形を調を変えて再現した後のエンディングに続く部分は、2小節のフレーズを4度づつ上げて最初の調に戻るまで繰り返しただけなんですが、
これも春の猟犬が頭に浮かびました。4度は最近買ったこの本でもラヴェルが使っているのを見て、「お、なんか使えそうじゃん」→春の猟犬ってそういやあそこ、、、ってなってやりました。
エンディングのクライマックス、下降する部分の参考にしたのは、
この曲の最後の部分です。またまたラヴェル。
終わりに
動画が公開されてパパッと書いたので、まだ多分書くことはあるのでしょうが、とりあえず大枠はこんな感じで参考にしました。
ぜひ見てください。作曲のことで何かありましたら、こちらへ。
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