【2021年最新版】目標管理制度におけるMBOとは?できること、OKRとの違いなど徹底解説
本記事では、目標管理制度におけるMBOの解説を行います。
MBOとはなにか、メリットやデメリットなど基本知識やOKRとの違いについて知りたい方はぜひ御覧ください。
MBOとは?目標管理制度について
「目標管理制度」のことを指し、Management By Objectivesを略称している呼び方です。個々の社員に自分で目標を設定させ、その進捗や実行を各人が自ら主体的に管理する考え方です。
MBOの発祥は?
経営哲学者で有名なP.F.ドラッカーが提唱した概念であり、目標を管理するのではなく、目標によって経営するという考え方です。そもそもの概念はノルマ主義とは全く反対に自発的に社員を動かすにはという問題意識から出発してます。
MBOのメリットやデメリットとは?
MBOにもメリットやデメリットがあります。メリットやデメリットをきちんと理解し、組織にあった運用を行いましょう。
MBOのメリット
① 従業員のモチベーション向上
②会社の目標や方針が個人まで共有される
③従業員の育成につながる
メリット①:従業員のモチベーション向上
MBOは従業員が自分自身で目標や仕事の進捗状況など過程を管理します。そのため、責任感や個人の成長を促す動機付けが期待できます。
メリット②:会社の目標や方針が個人まで共有される
設定する個人の目標はチームや会社全体の目標とも紐付けられるため、個人目標を達成することにより、社全体の達成に貢献できる仕組みになっています。これにより各従業員が達成に近づく努力を行うことで、会社の経営目標やチーム目標の達成に貢献できる仕組みとなっているのです。
メリット③:従業員の育成につながる
適切な目標設定を行うことで、従業員の能力を最大限引き出すことができます。
コツとしては、目標管理制度の目標を定める際は、簡単すぎず難しすぎない程度の目標を設定することがポイントです。
「通常の業務方法では達成することは難しいけれど、少し創意工夫を行えば達成できる」程度の目標を設定します。目標を設定することによって、従業員の能力を最大限に引き出すことが可能です。
MBOのデメリット
◆デメリット
① ノルマ管理ツールになってしまう可能性
② 全社目標を達成しない個人目標になってしまう可能性
③ 従業員のモチベーション低下に繋がる可能性
デメリット①:ノルマ管理ツールになってしまう可能性
MBO(目標管理制度)は、組織のマネジメントのために使われることが目的でした。しかし、使い方によっては、ただのノルマ管理ツールになってしまう可能性があります。適切に理解した上で使用しないといけません。
デメリット②: 全社目標を達成しない個人目標になってしまう可能性
従業員それぞれの目標設定を個人に任せてしまうと、会社の経営目標やチームの目標に紐付かない目標になってしまう可能性があります。そうなると、組織全体の方向性が揃わず、全社目標の達成からかけ離れたものになる可能性が高くなります。
デメリット③:従業員のモチベーション低下に繋がる可能性
トップダウンで決められた(と認識している)目標では、従業員は自発的に行動しません。ノルマとなってしまった目標を達成しても従業員は達成感や満足度は得られず、モチベーションは高くなりません。むしろモチベーションの低下につながる可能性があります。
日本におけるMBO
日本企業は職務遂行能力に基づいて等級を定め格付けし賃金管理を行う「職能資格制度」が人事制度の主流でした。この「職能資格制度」では成果だけでなく従業員個々のスキル、職務態度、行動を評価していました。
しかし日本経済が低迷する中で、日本企業はコストダウンに迫られ、人件費をかけずに業績を向上させることが求められるようになりました。そこで、成果を出す従業員に高い報酬を支払うことで従業員が納得感を得やすくし生産性を高める成果主義に着目。従業員の成果を評価するためのツールとして、MBOを運用することとなったのです。
ただし、当初ドラッカーが提唱したMBOは部下のモチベーションを高め生産性を高めるマネジメントツールでしたが、日本企業では成果を評価するためだけのツールとして運用している側面もあります。
参照:MBO(目標管理制度)運用の基礎、なぜコミュニケーションが重要なのか
https://www.sbbit.jp/article/cont1/35056
MBOの種類
MBOは大きく分けて3種類あります。
・組織活性型
・人事評価型
・課題達成型
◆MBOにおける目標管理①:組織活性型
MBOの「組織活性型」とは、従業員に自らの目標を設定させ、個人の自主性を引き出す手法です。
組織活性型は日本における最もオーソドックスなタイプのMBOです。これはY理論を根拠とされており、原則個々の従業員の意思が強く反映されるボトムアップ形式となっており、企業・チームの活性化を重視します。
しかし、目標に重点を起きすぎることにより、達成するためのアクションプランや、達成度を測る評価が不明瞭になるという欠点もあります。
◆MBOにおける目標管理②:人事評価型
MBOの「人事評価型」とは、目標達成と業務の評価を行いながら従業員の能力を向上させる手法です。
人事評価型は人事的な評価基準として取り入れるタイプのMBOです。
「人事評価型」では、従業員の課題を年度目標とします。目標の達成度と業務自体の評価を行いながら、従業員のスキルアップを行います。また組織活性型と同様、目標設定は従業員自身が行う、ボトムアップ式となっています。
また欠点として、従業員の努力が評価のポイントとなるため、必ずしも企業全体の業績アップに直結しないという点です。
◆MBO:課題達成型
「課題達成型」は、上記2つと異なり、トップダウン形式を原則としたMBOです。企業の目的達成を第一に考え、それに応じて個人の目標を設定します。
たとえば、年間売上といった全社目標を部門目標に分け、さらにチーム目標へと細分化、一人ひとりの目標へと落とし込むのです。
つまり、個々の従業員が自分の目標を達成すると、チーム目標、部門目標も達成。そして全社目標が達成されるというメカニズムです。
組織活性型、人事評価型は個人目標にフォーカスしており、課題達成型は集団目標にフォーカスしております。
MBOについての考察
ドラッカーは著書『現代の経営』で、「目標は、上位部門(経営者・管理者)の目標をもとに設定しなければならない」と述べています。いわば目標の連鎖性が必要です。
目標の連鎖性を重視するとなった場合、集団目標にフォーカスしている課題達成型が好ましいと考えます。また主体性の高い組織は会社の成長を促進すると考えると集団目標にフォーカスした課題達成型のMBOを設定することが必要であると考えます。
MBOとOKRの違い
MBOとOKRの違いは以下の図の通りとなります。
OKRは、Objective and key Resultを略した言葉で、目標達成までのプロセス管理、組織力や生産性の向上を目的としています。また評価の頻度が四半期に1回(もしくは月に1回)とMBOと大きく違います。
M&AにおけるMBO(マネジメント・バイアウト)の補足
M&Aの一種であるMBOとは、Management Buyout(マネジメント・バイアウト)を略した言葉です。日本語では「経営陣買収」などと訳しますが、「MBO」という略称で使われることが多いです。企業の経営陣が既存株主から自社の株式を取得し、オーナー経営者となる行為を指します。
参照:M&Aの手法のMBOとTOBの違いとは?それぞれのメリット・デメリットを解説
https://fundbook.co.jp/difference-between-mbo-and-tob/
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