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レビュー「わたしの好きな映画10作品」 第六回 男はつらいよ 寅次郎紅の花

「男はつらいよ 寅次郎紅の花」

一応、シリーズの最終作、本作は48作目、後に49作等、予定はされていたみたいですが、測ったみたいに見事な終わり方をしたのが本作でした。久しぶりの登場となる後藤久美子が演じる泉、浅丘ルリ子が演じるリリーはテンションが上がらないわけがありません。泉の結婚を妨害する満男、それは「卒業」という映画を思い出すには充分でした。また、CGでの寅さんと村山首相の共演は「フォレスト・ガンプ/一期一会」を思い出しましたが、本作はそれらが良好なアクセントの一つになっていました。満男は後に奄美大島へ、ほんの少しですが、田中邦衛の登場も嬉しかったです。なんやかんや、結局はリリーと喧嘩した寅さんでしたが、また、リリーと再会をするような感じがしましたし、満男と泉も結婚を予感させました。男はつらいよシリーズは毎回、晴々とした気分にさせられますが、本作は寅次郎とリリー、満男と泉、それらの幸せを充分過ぎるくらい想像ができるので、いつも以上にそんな気分にさせられました。阪神淡路大震災が本作の重要な事柄になっています。渥美清さんの旅立ちという終わり、復興、再出発という始まりは奇跡的にも鮮やかな交錯でしたが、寅さんの最後のセリフも感慨深いです。

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