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#6 税理士が教える財務会計|利益と残るお金が違うのはなぜ?

損益計算書は、売上から経費を差し引いた利益が計算される書類です。

では、この利益が手元に残るお金と同じなのでしょうか?

実は、会計上の利益と現金有高は相違するのです。勘定あって銭足らずといわれたり、黒字倒産などと言われたりすることです。

今回は、そんな利益と現金有高が違う原因を説明していきます。

備品を10万円以上で買ったら、すぐ1年間で全額経費にできない

損益計算書の利益と、現金有高が合わないということは、いろいろな理由があります。
その一つが、10万円以上の備品などを買ったときです。

(1)10万円以上のパソコンなどの備品購入

 注意:経理をしている方ならご存知の30万円の少額特例はなしで説明します

会社で仮にパソコンを買ったとしましょう。普通のデスクトップパソコンをセットで12万円で、現金一括払いで買いました。今どき10万円超えることは少ないですが。。。。

では、12万円のパソコンは、会計上はどのように扱われるか。

また、ケーキ屋さんの損益計算書で確認してみましょう!!
相違点として、1ヶ月ではなく、1年間の金額として、桁数を増やして作成しています。
また、その右側に現金の収入と支出も今回記載しておきます。

ケーキ屋さんの損益計算書     ケーキ屋さんの収入と支出

年間の            年間の
売上高    600,000円   現金売上   600,000円
材料代    120,000円   材料代    120,000円
売上総利益  480,000円   売上総利益  480,000円

テナント料   100,000円  テナント代   100,000円
アルバイト代  80,000円  アルバイト代    80,000円
光熱費     50,000円       光熱費       50,000円
消耗品文具   20,000円  消耗品文具     20,000円
パソコン代   120,000円     パソコン代   120,000円
固定費合計   370,000円  支出 合計   370,000円

利   益  110,000円  現金 有高   110,000円 

パソコン代120000円を損益計算書上で全額計上できれば、損益計算表の
      利益110,000円=現金有高110,000円
となり、利益と現金有高が合うのです。

しかし、今の会計上のルールでは、パソコン代120,000円は、損益計算書上では、120,000円で計上できないことになっています。

では、いくらであれば計上できるのか?
パソコンを使う年数で按分した金額で計上するルールになっています。
しかし、パソコンは10年持つかもしれないし、3年かもしれない、使用する年数など未来の話であり、何年持つかわかりません。

(2)パソコン代を按分する年数

パソコンが何年使えるかなどわかりませんし、会社によってバラバラな年数で、12万円を按分されても、他社比較ができなくなります。

そこで、税法上で、各資産が何年で按分するかを決めているのです。
そのことを「法定耐用年数」と言います。
会計用語というより、税法用語になりますが、覚えましょう。

例えばパソコンなどは、普通に使用するパソコンは4年、サーバーとして使用すると5年と細かく定められています。細かすぎて、当てはめるのが大変な時もあるぐらいです。

ということは、パソコン代の120,000円は、4年と法定耐用年数で定められていますので、
   120,000円 ÷  4年 = 30,000円
この30,000円が、損益計算書では、経費として計上できる金額です。
では、先ほどの損益計算書に当てはめていきましょう!!

(3)利益と現金有高が相違する原因

ケーキ屋さんの損益計算書   ケーキ屋さんの収入と支出

年間の            年間の
売上高    600,000円   現金売上   600,000円
材料代    120,000円   材料代    120,000円
売上総利益  480,000円   売上総利益  480,000円

テナント料   100,000円  テナント代   100,000円
アルバイト代  80,000円  アルバイト代    80,000円
光熱費     50,000円      光熱費       50,000円
消耗品文具   20,000円  消耗品文具     20,000円
パソコン代     30,000円     パソコン代   120,000円
固定費合計   280,000円  支出 合計   370,000円

利   益  200,000円  現金 有高   110,000円 

現金有高は110,000円ですが、利益は200,000円と計算されます。

差額の90,000円は、パソコン代のうち、損益計算書で経費に出来なかった金額です。
この90,000円が、利益と現金有高の差額となる原因の一つです。

会計上、固定資産と呼ばれるパソコンなどの備品、車、建物関係、ソフトウェアを年数で按分する計算方法を「減価償却」と呼びます。
また、例示のようにパソコン代とは表記せずに、「減価償却費」と言う名称で、損益計算書に記載していきます。

まとめ

利益と現金有高が相違するのは、固定資産と呼ばれる備品などを、10万円以上で購入したときに、「減価償却」という計算方法が一つの原因であることを説明をしました。

利益と現金有高が相違する原因は、まだまだあります。
今回は、損益計算書からの減価償却を説明していますが、例示であれば、差額の90,000円はどこにいったのか?

まだ説明していないことがたくさんありますが、少しずつ記事にしていきたいと考えています。

最後まで読んで頂きありがとうございました😊

コラム

パソコン代の12万円の消費税は税込?税抜?
実は,それぞれの会社の経理方法によります。

会社が消費税を税込処理していれば、税込み10万円以上
税抜き処理していれば、税抜き10万円以上で判断します。

必ず消費税を税込処理か、税抜処理しているかを確認しておきましょう。
ほとんどの法人は税抜処理が基本で、個人事業主さんは税込処理が多いようです。

決算期、駆け込み購入されたときに、税込処理に関わらず、消費税分が超えて購入されて、減価償却というときもありました。

ディスクトップパソコンを、モニター代と本体価格を、別々の領収書にして、それぞれで10万円以下だから、全額経費にできないかと、社長さんは色々提案いただきますが、ほとんどが、税法によって蓋がされています。

もちろん、領収書を分けても12万円のパソコンとして計上されます。

大きい金額のものを買うときや、こういうものを経費で計上したいというときは、必ず顧問されている税理士に相談をお願いいたします。

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