米国株マーケット考察 2021.2.17

マーケットサマリー

米国株式市場はまちまち。ダウ平均は64.35ドル高の31522.75ドル、ナスダックは47.97ポイント安の14047.50で取引を終了しました。ニューヨーク証券取引所の出来高は前週末比1億9308万株増の10億6390万株。

米国株式市場は(1) 国内の新型コロナウイルス感染件数が減少、(2) ワクチン普及への期待、(3) 米議会下院の与党民主党が、新型コロナウイルス感染拡大に対応する大型経済対策に関する法案を週内にまとめる方針を表明したことを受け、堅調に推移しました。

しかしながら、米国10年債利回りが1.3%と昨年2月以来の水準に上昇しており、インフレ懸念を理由に、高値付近からは利益確定の売りに上値は抑制されました。

FRBは慎重姿勢を強調していますが、金利上昇を受け、早期出口戦略への思惑も出てきています。

彼らはこれまで雇用市場の改善に注力するために、平均インフレ率目標を掲げ、断定的にゼロ金利政策の継続を確約してきました。

また、最近、株式市場はリフレ的シナリオで走り始めていますから、債券利回りの上昇をある程度放置するのは、彼らのポリシーの範囲内と言えます。問題はそのスピード感で、FRBの今後の差配が注目されます。

用語解説


--平均インフレ率目標ー「平均インフレ率目標」は、完全雇用と物価の安定性という議会からFRBへのデュアルマンデート(2つの使命)の観点から見ても適切な政策と言えます。

FRBが物価の安定性を維持しようとする場合、どの目標水準が安定的かを特定しなければならないことは明白だからです。

但し、米国は現在ゼロ金利制約に近い金利環境にありますから、景気を刺激するための金利の一段の低下が不可能である環境に居ますから、万が一景気後退が発生すれば、FRBにとってマンデートを達成することは困難になります。

-リフレーリフレーリフレーション(reflation)の略称で、定義上は、デフレから脱却し、インフレに至る前(すなわちディスインフレ)の状態のことを示します。


立沢賢一とは

元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。
・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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