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あきらめないことがイノベーションにつながったリーダー

6月11日(火)に『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)を出版いたしますが、出版までに本書で取り上げている歴史上の人物について、なぜ取り上げたのかを簡単にご紹介しています。
 
第8回目は、織田信長(1534年~1582年)です。多くの人にとっても言わずと知れた人物で、日本史上の好きな人物アンケートでもよく1位にランキングされたりします。本書では、34のストーリーのうち、3つのストーリーで織田信長を取り上げています。そのテーマは、パワハラ、イノベーション、ビジョンについてですが、ここではイノベーションのストーリーについてお話しします。
 
私が本書で織田信長を取り上げた理由は、織田信長を通して、大変困難な試練にぶち当たったときにとにとにかく諦めない気持ちが大事であり、その気持ちが課題解決のために異なるものを組み合わせるような「イノベーション」につながることを伝えたかったからです。
 
信長は、浄土真宗の総本山である大阪本願寺(現在の大阪城に所在)と長年戦っていたのですが、この大阪本願寺に食糧や物資を供給していたのが、本願寺に味方していた毛利家・村上水軍でした。
信長はこの村上水軍が食糧などを運べないように戦いますが、信長の木造船の水軍に対して村上水軍は「焙烙火矢」という火薬を詰めて点火する武器を投げ込み、信長軍は大敗します。
 
この敗北を受けて、信長はどのようにすれば勝てるか考えます。その結果、木造船に鉄板を囲み、大砲を備えるという、当時としては想像もつかない大型船をつくったのです。そして、織田軍はこの大型船で村上水軍と再度戦って勝利し、村上水軍から食糧が供給されなくなった大阪本願寺は最終的に敗北しました。
 
この例は一番象徴的なのですが、信長はどんなに厳しい状況にぶちあたっても諦めることなく、なんとかこの状況を打破できないかと考える人でした。そして、そのなかから当時は想像もできなかったことをいくつも実行しているのです。
 
現代に生きる私たちも、今までのやり方だと解決しない課題に対して、信長のように複数の異なるものを合わせて解決することがあり、これをイノベーションと呼んでいます(イノベーションを最初に唱えたシュンペーターは「イノベーションとは異なる2つのものを結合すること(新結合)」と表現しています)。
ただ、このイノベーションとは通常の事業マインドの延長線上で生まれるものではありません。普通であれば大変困難であると考える課題に対して、「しょうがないね」ではなく、「なにかいい方法はないか」としつこく、しつこく、粘り強く考え抜く姿勢からイノベーションは生まれるのです。
 
信長は特に象徴的な人物ですが、歴史上に大きなことを成した人物とは、大きな困難に対して簡単にあきらめず、とにかく解決するまでしつこく、しつこく取り組む人が多いように感じます。大きな成果の実現に向けては、そのような簡単に諦めないしつこさが必要なのです。
 
そんなことを伝えたくて、本書では織田信長を取り上げてみました。
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織田信長

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