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『THE FIRST TAKE』は何故成功したのか?

作曲家とSNSマーケターの山本です。
今回は私が主に研究している『音楽SNS界隈』にて圧倒的な成果を出しているCH『THE FIRST TAKE』がなぜ成功しているのかを解説していきます。

THE FIRST TAKEは執筆日現在665万人の登録者数がおり、アーティスト公式CHを除く音楽ジャンルの国内登録者数としては2位以下と圧倒的な差をつけた不動の1位を貫いています。

また昨今SNS領域では『個人>企業』の風潮がある中、企業が0→1で立ち上げたCHで圧倒的な数値を出している稀有な実例であるとも思います。

そのため音楽をやっている人はもちろん、全てのYouTube運営者にも読んで貰いたい記事を目指しました。

この成功を見て様々な企業が類似CHを立ち上げているのは勿論私も存じておりますが、どのCHもTHE FIRST TAKEが成功した理由を本質的に理解した上でコンセプト設計できているCHはないように思えます。
「有名アーティストが一発録りでCDとは違うアレンジで歌うCH」のような表面的なもの以上に凄い構造をしているCHだと思います。

シンプルに仕掛けが凄すぎるんすよ。これを仕掛けた裏にいるマーケターさんに弟子入りしたいです。誰なんですか???

そこで今回は作曲家とSNSマーケターである自分の立場から
何故THE FIRST TAKEが成功しているのか『本質を語る』記事を執筆しようと思います。

とはいえ論文ではなくただの私の感想文ですので、気軽に読んでください!

1、大衆は“音楽単品”への関心は薄い

・音楽は演出装置の一つに過ぎない

音楽には様々な価値がありますが、こと再生数をとることにフォーカスした場合「大衆が理解できる音楽の面白さ」を追求しなければなりません。

そして音楽単品でそれを実現するのは不可能だと私は考えています。
大衆にとって音楽って別に音楽単品で聞いてオモロいもんではなく、単なる「演出装置の一つ」なのです。

・映画を見る時、音楽がないと寂しい
・ゲームやってる時、曲が良いと面白い
・勉強する時、作業用BGMがあった方が楽しい
・ライブに行って、イケメンがでっかい音鳴らしてるとテンション上がる

楽しい何か別のエンターテイメント等の満足度を上げる為の"沢山ある裏方お仕事"のうちの一つが音楽。
日本国民の過半数は音楽に対してこの程度の価値しか感じていません。

勿論上記のような形で出会った音楽に対して一定の思い入れをもち、それをきっかけにCDを買ったりする事もあるとは思います。
ゲームのサントラとかはそのようにして購入するのでしょうし、ライブで聞いて気に入った曲はサブスクで何度も聴く人は多いでしょう。

しかしそれは音楽単品に思い入れがあるのではなく、
それに付随するストーリーに感動していて感動を追体験する為に音楽というきっかけを用いているにすぎないのです。

例えば…

・ディズニーの音楽を聴くとパークで楽しかった気持ちを思い出せる
・好きなアーティストの歌を聞くとライブで感動したのを思い出せる
・ゲームのBGMを聴くと楽しかったプレイ体験を思い出せる
・この曲を聞くと青春の思い出が蘇る

私吹奏楽部だったんですけど、大人になってからも吹奏楽を聴く人の多くはこれが理由だったりもするんだろうと思っています。


逆に考えると例えば…

「アニメの背景や動画」「ゲームの雑魚敵の3DCGの品質」「勉強に使う参考書の表紙デザイン」「ライブ会場にある光源装置の品質」etc…

→これら"全てのもの"に単品で魅力を感じる人は少ないでしょう。

ここまでの話ってあっけらかんとする程すんげー当たり前の話ですよね。
しかしこと実際企画を作っているとこの"当たり前"を忘れて失敗することがかなり多いです。
特に企業CHの場合関わる人が増えそれぞれの知識量や思惑も異なる状況でCHコンセプトを話し合う事が多く、その結果本質とはズレた価値を価値だと思い込んでしまったまま走り出すCHも。

作り手の"面白い"がイコール"大衆の面白い"だと誤認してしまう。
体感失敗する音楽CHの6割はこれな気がします。

なので改めて常識の再確認をさせていただきました。

さて、ではファーストテイクはどうやってこの問題をクリアしているのでしょうか。次の項目で語っていきます。

・音楽はエンタメの伝達手段である

参考までにあくまで私がファーストテイクを見ていて面白いなぁって思うのは「知っている曲の別アレンジが聴ける」です。

知っている曲がピアノのみのアレンジになっていたりすると
「へぇ〜あのアレンジこのピアニストはこう解釈したんだ、自分と違うけど面白いな」とか「えwそこのフレーズそんなふうに変えるのwええやん!」
みたいな感想を抱きます。
作曲家っぽい聞き方ですね。そういう聞き方してもおもろいっす。

対して大衆の多くが共感しているのは「ライブ感提供エンタメ」だと思います。
これは本質的には日テレさんで放送してるエンタメ番組『はじめてのおつかい』と一緒です。

\ ドレミファドレミファ!! ドッドドレミファ!! /

はじめてのおつかいは、3~6歳くらいの子供が初めてお使いに行く様子を隠し撮りするドキュメンタリー的要素のあるバラエティ番組なのですが、
この番組のベネフィット(価値)は何なのでしょう?

私は、

・アクシデントを乗り越えて欲しい!という応援
・親への共感
・成功するかしないかのハラハラ感、ライブ感

この辺りだと思います。
これがまんまファーストテイクのベネフィットと重なると思います。

・一発録りを頑張って乗り越えてほしいという応援
・成功するかしないかのハラハラ感、ライブ感

親への共感は流石にないですけどこれに変わるのが、
・一発録りなのにCDと同じかそれ以上に上手かったりするプロの技術への感動
この辺りでしょう。

つまり繰り返しになりますが大衆は『音楽以外の価値を享受する為の"手段"として音楽を経由している』のでありまずオモロい企画を作らないと音楽系CHの立ち上げは成功しないため、このような本質的で人気の高いエンタメ性を企画の中に組み込んでいるファーストテイクは多くの人に支持されるのです。

その上で私のように"過半数以外"の層である"音楽単品"で聞いて楽しむ層も満足のいく工夫もされてるのは激ツヨと言わざるを得ない。

なのでマスを取りに行く音楽系のYouTubeCHを新しく立ち上げる時は、
大衆が受け取る事ができる音楽以外の価値を用意する事が必要であり、
それを提供する『手段』として音楽を使ったら効率が良かった、
こういった順序で考える必要があります。

ファーストテイクの切り口である「一発録り」は価値として非常に優秀です。
音楽を使える切り口で言うと他には「ドキュメンタリー」「クイズ」「追体験(ライブ等)」などがあります。

ちなみにYouTubeに於ける「価値」を作り出す切り口の考え方はこの教材で私は学びました。
ちょっぴり値段は高めだし執筆者のヤコさんのアイコンは怪しい狐仮面ですが、内容は間違いなく本物です。


2、YouTubeへの適応

・暇つぶし媒体であるYouTube

先ほど"YouTubeにおける価値"という表現を用いましたが、当然ながらYouTubeCHとして運営する以上YouTubeに集まるユーザーが感じる価値を作り出さなければ歓迎はされない訳です。

例えばL.V.Beethovenの交響曲第九番ーーいわゆる第九(喜びの歌)ーーは偉大な名曲でファンも多く年末のコンサートではNHKホールが満席になるでしょうが、それはコンサートホールで演奏されるからでありクラブやライブハウスで掛かったとしてもそれと同じような熱狂はないでしょう。

価値のあるものであっても、それが提供される場所に適した見せ方ができていなければ価値と感じてもらえない訳でそれはSNSでも同様です。

ではYouTubeではどのようなものが価値と感じられやすいのでしょうか。
答えは「暇つぶし」です。
無料で誰でも見れるYouTubeは暇つぶしとして多くの人が用いています。

・通勤中
・帰宅後の一服のひと時
・お風呂の中
・家事や育児の合間 
など

このような本来『無』であった時間にYouTubeが入り込む事で、短時間で『面白い』『凄い』などの『感情』を産ませる事ができる点がYouTubeが今伸びている理由なのです。

逆に言うと暇つぶしに当てはまらないものは価値があっても再生数が伸び悩む傾向があります。
例えば、
「ガチの勉強動画(大学の講義的なもの)」
「長編アニメ(但し有名作を除く)」
「前回の動画を見ていないと理解できないシリーズもの」

この辺りは価値のある動画でもYouTubeでは伸びにくいです。

ファーストテイクは一本の尺が一部を除き大体5分前後以内で収まっており、1本で完結し、5分で「すげー!」「ハラハラ」などの様々な感情を巻き起こしサクッと快感が得られるので非常に暇つぶし向きなのです。

・CTRと視聴維持率への対策

YouTubeのAIが動画の評価を決める軸として特に重視していると言われているのが『サムネクリック率(CTR)』『視聴維持率』です。
この辺りは本筋と外れるので今回は言及しませんが、こちらのツイートでなぜ重要なのか分かり易く解説されていたので興味あればご覧ください。

ここに対してもCH単位で継続させる仕掛けが幾つも見られてヤバいと思ったので一つずつ解説します。

まずはCTR。
「Visual Identity(VI)」の徹底がまず素晴らしい。
VIとはブランディング用語の一つでブランドを象徴とする要素のルールを定めることですが、VIを全てのサムネに反映させる事がCH全体のCTRを底上げる事につながります。

何故なら煩雑に並び混沌としたサムネイルの中から私たちは何を選択するのか、迷ってしまうからです。

今日の私のホーム画面。どれを見るべきか迷ってしまう…..

そんな時"そのCHの顔"と呼べるものをサムネイルに設定していると選んで貰いやすいですよね。
例えば上記なら左上の『年収チャンネル』なんかは主要演者であるインフルエンサーの株本さんが中央に鎮座しているので、彼が好きなら目につきやすくクリックしてしまうでしょう。
この様に動画をクリックする主な理由たる『CHの顔』をビジュアルとして毎回固定する事はCH全体の再生数を底上げする事に繋がるのです。

ではファーストテイクのVIは何にすればいいのでしょう?
毎回異なるアーティストが参加するファーストテイクにおいて固定となる演者は存在しません。
そこで代わりにVIに設定しているのが『カラフルな帯と淡い色の背景色』

これがある事により
サムネが誰であろうとファーストテイクである事が一目でわかります。

これはデザインやCTR担保の他に、YouTubeアルゴリズム的視点から考えても非常に合理的です。
何故ならファーストテイクとはそのコンセプトの性質上出演するアーティストによって視聴者属性が変わる為CHに累積する視聴者データがぶれやすくインプレッション先に迷いが生じやすいからです。

例えばアニソンを歌えば海外の視聴者がごそっと流入しますが次に歌うアーティストが日本人しか知らないアーティストだったら海外の人へ表示されるサムネイルは、実際の視聴に繋がらない所謂『死にimp』になってしまう事が多いです。

しかしこのVIがある事で、一度ファーストテイクを見てそのコンセプトが気に入った人だったら「この人知らないけどファーストテイクなら面白いから見てみよう」と瞬時に判断できるのです。

皆さんの中にも「その歌手を知らない」「その曲を知らない」
→だけどクリックしてしまった!

という経験がファーストテイクならばあるのではないでしょうか?
他のMVでは中々起こらない現象ですよね。これが作れているのでアベレージの再生数が非常に高いCHになっているのです。

YouTubeでファンを作るためには何本かそのCHの動画を見てもらう必要があります。
このようにして繰り返し同じCHの動画を見ていく中で次第にCHのファンになっていってしまうのです。

サムネイル作りとは、
混沌とした中から"瞬発的に"見つけてもらえるかが勝敗を分ける戦い
なのです。

そしてこのようなYouTubeの構造+マーケティング的な心理誘導とデザインが綿密に結びついているのが本当に凄い仕掛けだと感じるわけです。


続いて視聴維持率を上げる工夫ですが、まず歌系の動画は二番で離脱されやすい傾向にあります。
皆様も経験があるのではないでしょうか?ワンコーラスを聞いて満足して離脱してしまうことが。

続きはこのツイートで
https://twitter.com/keitaro_VSEO/status/1481936632785686530?s=20&t=RzA3g9qczGCOwqc9sgIqnA

逆にいうと1番を聞いて満足させなければ二番以降も聞いて貰えるわけです。
ファーストテイクは『一発録り』というコンセプトの為、後半が同じ展開になるとは限らないという"ハラハラ感"をスタート時に植え付ける事に成功しているのです。
或いはコメント欄に後半以降で面白いシーンがあった場合のタイムスタンプなんかが貼ってあればそこも気になってしまいますよね。

コメント自体も自分はこんな変化に気づいた!という欲を刺激できればして貰いやすい。
またコメント数が多いとコメントを読む時間で動画に滞在して貰えるのでそこでもまた視聴維持率が上がります。

このようなエンゲージメントを取る工夫と、構造的に二番以降も同じ展開が起こるわけではない期待を抱かせる事が視聴維持率を向上させた大きな要因であると考えています。

・関連動画の結びつき

動画への流入経路として特に重要なものの1つに「関連動画」があります。
関連動画とは同じジャンルや似た話題を取り扱う動画同士を並列で結びつけて見ている動画の下部にそれを表示しインプレッションさせる流入経路のことです。

楽曲の関連動画攻略において、高い再生数を誇る歌ってみた(演奏してみた)を持つ事は原曲(親動画)の再生数を増やすことに非常に強く影響します。

ファーストテイク自体もコンセプトはカヴァーなので子動画扱いなのですが、企業主体のCHであることやその再生数の高さから他のカヴァー動画に対して親動画かのような扱いで関連動画に紐づけられる事が多いのでアルゴリズム上では実質親動画として働いていると考えて良いでしょう。

これが非常に強い。
つまりUGC(歌ってみた、演奏してみた)が増えれば増えるほどファーストテイクの動画の再生数は増えていくのです。

この仕掛けを有効活用するキモとしては『歌ってみたが増え始める曲を増える前に出す事』です。
競合の企業CHでは意外とこれができていない所が多く、既に流行りきった歌や往年の名曲を演奏してしまう事が多い。

勿論歌ってみたが未来増える曲かどうかを100%当てる事はできませんが、これから流行る仕掛けをした上でその前に動画を投稿する事を心がけているようにファーストテイクでは見うけられます。


3、平均再生数を上げる運営上の工夫

・話題の楽曲への適応の速さと関連動画の紐付き

YouTube運用をしたことがある人からすると当たり前なのですが、
YouTubeは動画のアップする順番がとても大切です。
何故ならアップしたての動画のブラウジング等のインプレッション数は
直近のCHの全動画の総再生時間を参照して決定しているからです。

参照されるのは直近のCH総再生時間である事が肝です。登録者数などではないのです。
登録者数が多いのに最近動画の再生数が落ちているCHなんかは、直近の動画の総再生時間が蓄積していない事が一つの原因として考えられます。
YouTubeは一度成功したからといって安泰ではなく常に今の時代に適応した新しい面白い動画を投稿し続けなければならない長距離走のようなプラットフォームなのです。短距離逃げ切りはできません。

さてこれが何を意味するかというと、
どんなに面白い動画を作っても直近の総再生時間が蓄積していないと適切なインプレッションを受けられない事が多いという事です。

勿論常軌を逸脱する程面白い動画なら初日のインプレッションがイマイチでもあと伸びすることはありますし、
芸能人やインフルエンサーなら外部サイトからの流入で強制的に再生数を増やす事もできます。

但し内容を見てもらえれさえすれば面白い動画であっても、
サムネイルの魅力が最高ではないものなど適切な人に届いた後動画を見終わった後に面白さを確信できるような動画は、総再生時間が蓄積されていないCHでアップロードしても再生数が伸びない可能性が高いのです。

ファーストテイクはこれの対策が超完璧です。

まず2年前大ヒットしていた鬼滅の刃の主題歌を立ち上げ超初期にアップロード。
これは本人SNS等外部からの流入も期待できるので、比較的再生数を蓄積するできる確信がある動画だったでしょう。

この動画で総再生時間が蓄積した事で次に上がる動画のインプレッション数に優遇が起きるので、再生数が伸びやすくなります。(ちなみに総再生時間が蓄積されるとCH全体のインプレッション数が上がるので直近アップした過去の動画も比較的再生数が伸びます)

ファーストテイクの動画はどれも非常にクオリティが高く素晴らしいアーティストばかりが揃っている事はいうまでもないですが、それでもその中にはこれから売っていきたい新人アーティストやカップリングなどの知名度としては一歩劣る曲を出す時もあるわけです。
そういった動画であっても一定の再生数を確保する為にはこのように定期的にCHに総再生時間を貯める動画をリリースしていく必要があります。

要するに2年前ならば『LiSAさんが歌う紅蓮華』で再生数を取るのはどんな素人マーケターが仕掛けようと誰でも出来るわけですが(1億は誰でもは無理だけど)、順序を工夫する事でその他の曲も高い再生数の担保が出来る構造作りに成功している事がすごい、と言う話です。

その後も定期的に外部流入が期待できる動画をアップする事で新人アーティストの動画であってもある程度の再生数を担保することに2年間継続して成功しています。
定期的にアップするだけで爆発的な再生数が出る話題の動画を作り続ける事で、新人や隠れた名曲に脚光が浴びる土壌を作ることに成功しているのです。
これはYouTubeを実際に運用されている方ならばどれだけ凄い事か特にお分かり頂けるのではないでしょうか。


また前述の話にも繋がってきますが『歌ってみた』等の二次創作が発達している楽曲を積極的に取り上げる事で、そのような子作品からの流入経路を作り過去の動画であってもそう再生時間蓄積に一役買っているのは強いです。

YouTubeCHは『最新の動画をアップしないと再生回数が止まるCH』
『しばらくアップしなくてもある程度回り続けるCH』の2つがあります。

前者のCHは演者にファンがついているCH。何故ならYouTube内での回遊がしにくいから。
例えばとあるYouTuberが『ゆで卵の中にわさび大量に仕込むドッキリ仕掛けてみた!』という動画を上げたとします。YouTubeは動画同士を横で紐付けて『動画A』と『動画B』は似た動画だから、Aを見た人はその後でBをお勧めしよう!みたいなアルゴリズムで動いているわけですが、そんなYouTubeからすると先ほどの動画をどんな人におすすめしたらいいか分からないわけです。

何故ならシンプルに「ゆで卵」というキーワードを軸に「おいしい茹で卵の作り方」なんてものと紐付けた所できっと見ませんよね。本人のファン以外の人にYouTubeAIでは誰に薦めたらいいのかが分からない……は言い過ぎですが薦められる動画を見つけにくいのです。

しばらくアップしなくてもある程度回るCHは、そのような紐付けがし易い動画ジャンルを上げているCHです。
これが正に歌ってみたに該当します。
歌い手の動画をみて、それに感動した人に対して「ちなみに本家はこんな歌い方だよ!」は提案通りやすそうですよね。

このような構造的な仕様があるので、ファーストテイクは過去の動画が回りやすく、よって総再生時間が累積しやすく、より最新の動画のインプレッションが貰いやすくなる、という仕組みなのです。

・違法アップロード対策と口コミ対策

今はかなり減ってきましたが、YouTubeにはCDやアニメのOPを無断で再アップロードしているケースも多いです。
ファンが口コミで自分の"推し楽曲"を人に薦める時、使っているサブスクサービスが異なるとリンクを直接送る事ができない為渋々違法な音楽動画を送っている、といったケースは想定されるかと思います。

公式で音源を誰でも見れるYouTubeにアップするのはそういった違法アップロード動画対策にもなっていると思います。

また通常のMVと異なるエンタメ的な価値提供ができているファーストテイクにおいては、場面を切り抜いた口コミなどが想定しやすい事も挙げられます

動画のどの地点を見て欲しいかを含めた共有リンクが作成可能。
これで自分の"推しシーン"を友達やSNSで共有できる。

通常のMVであると、アーティストを知っている前提のMVであったりもする事も多く中々ファン以外の人にシェアがし難いです。
そのハードルを下げているファーストテイクは、ファン以外の知人にも薦めやすい一面があり、口コミでの拡散は通常のMVよりも多いのではないかと予想できます。

現に公式MVよりもファーストテイクの動画の方が再生されている曲も多く、その原因としてこのような事も挙げられるかと思います。

4、マネタイズ

・商品タイアップのし易さ

ファーストテイクは前述した通り企画特性的に視聴維持率をキープしやすく映像の間で起こるあらゆる事件や変化を許容され易い構造になっている為、沢山の応用余地があるように思えます。

例えば使用しているヘッドフォンやマイクなど。使うだけで見て貰えますからタイアップも取りやすいでしょう。スポーツ選手がユニフォームに企業名入れるのと同じですね。

音響機器の他にも楽器の側にグッズを置いたり、ファッションアイテムなどもタイアップ商品を用いた所で動画の"面白さの価値"が毀損される事はないので、自然に商品の魅力を訴求できるでしょう。
広告らしくない広告ーー非常に今っぽい広告です。

他にも多くの商品を訴求できるポイントはあると思います。
分かり易い所で言うと『映画』
公開に合わせて主題歌を歌う施策は実際に何度か打たれていて興行収入に対しても一定の効果を発揮しているのではないでしょうか。

変化球で言えば『化粧品』なんかも売り易いと思います。肌がアップになりますし、映像のVIもとてもオシャレなので綺麗に見えます。

引用
https://youtu.be/_P9zR5KaPsc

もっと変化球で言えば"一発録り"に関連するサービスとのタイアップ。
例えば『結婚式』
結婚式は多くの人にとって人生に一度のイベントですから、正にファーストテイクで必ず成功させなければならないでしょう。
結婚式場のタイアップソングを作って、式場で一発録りの収録を行う映像何かを作るのでもサービスの認知拡大に人役買うでしょう。
式場が良ければ動画経由で成約が決まるのでしょう。

・新人アーティストの引き上げ

前項で触れた通り、ポテンシャルあるのに注目がまだ集まっていない新人アーティストのプロモーションにファーストテイクは非常に強い効果を発揮します。

総再生時間が溜まっていないCHではインプレッションが貰いにくい為、新人アーティストのCHにぽんと動画を置いただけでは良い動画だったとしても再生されにくいのでファーストテイクで再生数を担保する事で"まず見てもらう"を創り出しやすいのは現代においてあまりにも強すぎるメリットだと思います。

具体例として印象的だったのはマハラージャンさんの動画。

投稿当時デビュー間もない彼ですが、兎に角強烈な個性を持つ音楽だったので"聞いてもらえさえすれば"熱烈なファンが生まれるようなポテンシャルを持っているアーティストです。

これは総再生時間が溜まっていない彼のCHにポンと載せただけでは相当他の施策を頑張らない限りはここまで再生されなかったでしょう。
彼はこの動画をきっかけにSNSのフォロワー数がかなり増えたように記憶しています(詳しいデータ取ってなくてすみません)

新人アーティストに脚光の機会を与えるプラットフォームを持つ事。
これは従来であればライブハウス等のステージを所有したりテレビ出演のコネクションを持っている等資本力でも解決できた部分ですが、現代においてその影響力が徐々にSNSへと移動している故、逆に大企業が苦戦している部分でもあると思います。
この媒体を持ち続ける強みは、新人育成において他社との大きな差別化になるでしょう。

・濃いリストが取れれば正直幾らでもマネタイズできる

新しい動画が上がればとりあえずそのアーティストを知らなくても見て貰えるーーこれは言い換えると『ファーストテイクファン』が育成できていると考える事もできます。

要するにファーストテイクの動画を毎回見る人のリストとは、ファンクラブのリストを持っているのと同義なのです。

ここでおしゃれなVIがまた効いてきています。
ユーザーは『共感』でファンになるかどうかを決める側面があり、ファーストテイクの場合映像やサムネ等、デザインのVIがおしゃれな為共感を生み出しやすい傾向にあります。
何故かというとファーストテイクのファンだと自称する事は、自分の価値観が"ファーストテイクのようなおしゃれなものがあるよ"と周りにアピールする事にも繋がりますし、自分のアイデンティティがファーストテイクのようなおしゃれなものであるという自認をするのにも使えるからです。

人は自分の好きなものを鏡として自分を知り、その自分を周りに認めてもらいたいと思うものなのです。
ハイブランドが売れる理由の一つも同様かと思います。

そのようにして育成されたファンは、ファーストテイクの発売する商品を購入する事で自分の中のファッションセンスをより強固にしていく事ができますので、寧ろ何でも買わせてくれという状態が作られていると思います。
ファーストテイクのバリューやVIが絡んでさえいればどんな物でも売りやすいのです。
私もその一人なので何か売られたら何でも買っちゃいます。

マジで何でも売れると思いますが敢えて具体的に上げるなら、

  • ファーストテイクライブチケット

  • ファーストテイクハイレゾ音源

  • 有料会員限定のファーステイクの裏側ドキュメンタリー動画

  • ファーストテイクのロゴ入りグッズ

  • ファーストテイクVIをリスペクトしたアパレル などなど…

私は好きな動画のパラデータが欲しいです。50万出すので売ってください。ファーストテイクの関係者の皆様よろしくお願いします。
あと一緒に商品開発しましょう。


以上がざっくり私がファーストテイクの何が凄いと思ってるかの感想文でした。

私は普段作曲家として楽曲制作の他、
アーティストさんのYouTubeCH、TikTokのコンサル/運用代行や、
"SNSで再生され易い楽曲"のプロデュースなどを行なっています。

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ぶっちゃけ新しい仕事ほしくてこの記事書いてますので、お声かけは勿論単に話してみたい!飲みにいきたい!と声かけてくれるのめちゃくちゃ待ってます!!

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