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牛肉の天国アルゼンチン、身も心も癒される。 -レストラン編-

タンゴを踊る以前の私にとって”アルゼンチン”という国は大変申し訳ないけれど、

サッカー、蜂蜜。

くらいしか思い当たらなかった。
だから、小学校だか中学校で習ったはずの世界地図を頭の中で広げても「一体どこにあるんだか曖昧でよく覚えていない」というのが現実。

恥ずかしながら、タンゴを踊るようになってから改めてアルゼンチンという国が南米大陸にあり、それは「日本の真裏、最も遠い国」であり、「タンゴ発祥の地である」いうことを認識。
そんなアルゼンチンの知識は、アルゼンチン帰りの友達やタンゴ仲間から話を聞くうちに、なんとなく想像できる国とはなったけれど、実際に行ってみて知ったことは、日本に居た時の比ではなかった。


そんな中から今回は、私の”衝撃的アルゼンチンの食の魅力”についてお話したいと思います。


そう、アルゼンチン人の食生活を語る上で絶対に欠かせないものが、これ。

“牛肉”です。

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[ Ojo de Bife / Don Julio(Palermo)]

アルゼンチンは隣国ウルグアイと並んで1人あたりの牛肉消費量が世界トップクラス、という超牛肉消費大国。

ここ数年では、アルゼンチン経済の低迷に伴って国民の購買力が低下、牛肉の購買、消費も低下しています。
が、そうは言っても本当に本当によく食べます。


手軽に美味しいアルゼンチン牛を食べる方法は、レストランへ行くこと。
街中を歩けば、Parrilla と呼ばれるアルゼンチン式炭火焼バーベキューのお店は、すぐに見つかります。このアルゼンチン式炭火焼バーベキューは「Asado」とよばれていて、言わばアルゼンチンの郷土料理のようなものです。

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[Ojo de Bife/ El Establo (Microcentro)]


お店のメニューを開くとびっくり、ものすごい数。アルゼンチンの肉の部位はとっても多くて複雑、日本では馴染みのない部位も沢山あります。


主なお肉の部位は、
Bife de Chorizo / サーロイン
Ojo de Lomo / テンダーロイン
Bife Ancho, Ojo de Bife / リブロース
Vacio / 外バラ肉、カルビ
Asado / リブステーキ、骨付きカルビ
Bife de Costilla / Tボーンステーキ
Matambre / バラ肉の一種(わき腹の肉と皮の間)
※部位は他にまだまだあります。

ソーセージ、内臓
Chorizo / 腸詰めソーセージ
Morcilla / 牛の血の腸詰め
Chinchulines / 牛の小腸
Riñones / 牛の腎臓
Molleja / 牛の胸腺

などなど。

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[お肉屋さんではもっとたくさんの名称があり、日本名称と合致しているのかしていないのか…混乱します。]


私の好きな部位は、
程よく上品に脂のあるOjo de Bife と、ガッツリと脂のある骨付き肉Asado de Tira、そして、厚さは薄いけれども脂がジューシーなMatambre。

そして内臓系でピカイチ!お勧めしたいのは、
Molleja(モシェハ)!!

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[Molleja / El Boliche de Darío(Villa Luro)]


Mollejaとは、若い牛からしかとれない胸腺の部分のこと。日本では馴染みのない部位ですが、炭火で焼かれたちょっと香ばしい外側に、内側のフワッとしてクリーミーでコクのある味は絶品!
やみつきになること間違いなし。
フワフワでトロリとして、舌に絡みつく濃厚なmolleja 。個人的にはちょっと焼き過ぎかな?というくらい焼いたものが最高に美味しいです。少々焦げるくらい丁寧に外側を焼くと、外はカリッとしながらも、中は弾力のあるモチモチとした食感になり、あっさりといただけます。
レモンをたっぷり絞って召し上がれ。


基本的に、どのレストランへ行ってもとにかく量が多いのがアルゼンチン。お肉はもちろん、サラダやフライドポテトも山盛り。ですから、オーダーするときはサイズを確認し、多いようであれば皆でシェアするか、食後に食べ切れなかった分をテイクアウトすることができます。

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[この巨大な一皿は未だ更新されないNo.1サイズ。
 Vacío y Asado / El Ferroviario (Versalles) ]


様々な部位のお肉の味をテーブルに並べて、ワイワイ皆でシェアしながら満腹になるまで食べる。会話も弾み、とっても楽しいひと時。
レストラン内では、豪快に食べ、飲み、歌い、おしゃべりに花を咲かせるアルゼンチン人達の姿。それもまた、お肉をまた一段と美味しくさせるスパイスです。



こうやって、友人たちとワイワイと食べに行くお肉は最高に美味しいのですが、一人でももちろん美味しくいただきます。
パワーが要るぞ!という時や、逆にちょっと落ち込んだ時、リーズナブルに近所の大衆レストランへ。

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[Asado de Tira con guarnición y Vino tinto 
                                              / Caracol(Santelmo)]

骨付きカルビ肉とサラダかフライド/スマッシュポテトのセット、一人前です。
これにワイン一杯をオーダー。写真が切れてしまっていてわかりにくいですが、ワイン一杯とはいえ、こぼれる寸前まで注いでくれるのが嬉しいアルゼンチン風。
正確なお値段は忘れましたが、私が引っ越した一年前あたりは確か、Asado de tira con guarniciónが250ペソ(約650円)、ワインがなみなみ一杯60ペソ(約160円)くらい。合計しても300ペソちょっと(約800円)くらいではなかったかな、と記憶しています。
(2019.5のレート1ARS=2.6円前後として計算)
お皿から溢れるお肉に山盛りのサラダ、パン付。食べきるだけでも大変ですが、このお値段。お財布に優しい。


よく通ったレストランでは、お店のドアを開けるといつも、顔馴染みのmoso(ウェイター)が「Hola! Mi amor!」とハグしに来て、「最近どうしてたんだ、ずっとこないからか寂しかったんだぞ…仕事はどうした?今日の夜は暇なのか?」
と止まることなく話しかけてきます。
落ちこんでいる時などは、泣きべそ顔でお肉を頬張りながら、拙いスペイン語で話す私に、空いている時間があれば喋りに来てくれます。
時には紙ナフキンをくるくると丸めて作った花を持ってきて、「君のためだけに、一日かけて一生懸命作ったんだよ、mi amor」なーんてセリフまで。一日かけて?
さすがラテンのオトコ。


時には静かに一人にさせてくれー!と思わないでもないけれど、そんな風に話していると、落ち込んでいることなどすっかり忘れてモリモリお肉を食べている自分の姿が。
こんな風にして、この人懐こいmosoとの会話と、美味しいお肉に何度癒されたことか。


牛肉天国アルゼンチン。
皆と食べに行っても、一人で食べに行っても、
身(胃袋)も心もいっぱいにしてくれます。



今回は、お肉の天国レストラン編でした。
さて、アルゼンチン牛の魅力は、レストランで食べるだけではありません。

美味しいアルゼンチン牛の食べ方、
Asadoパーティ。

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こちらについては、また次の機会に。



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