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渋沢栄一、現代の人事制度を学ぶ(3)

人物紹介

人事のスズキ:HR-tech企業で働く新人。日本のHR-techを改善する為に、わざわざ渋沢栄一さんを降臨させたツワモノ。

渋沢栄一:人事のスズキに呼び出されたすごい人。好物は、オートミール。

江戸時代末期(幕末)から大正初期にかけての日本の武士(幕臣)、官僚、実業家。第一国立銀行や東京証券取引所などといった多種多様な企業の設立・経営に関わり、「日本資本主義の父」ともいわれる。
引用:Wikipedia


人事のスズキ(以下、ス)「お久しぶりです。2週間ぶりですね。」

渋沢栄一(以下、渋)「久しぶりじゃの。今回は何を教えてくれるんじゃ。」

ス「現代日本の人事制度とタレントマネジメントについてお話できればと思います。」

渋「タレントマネジメント?はて、その横文字はなんじゃ?」

ス「近年注目され始めているマネジメントシステムです。企業の経営目標を達成するために、社員のタレント(才能)に注目し、そのタレントを活かすシステムです。具体的には、採用・配置・評価・育成という一連の人事プロセスに関わって、社員の才能を特定し、活用します。」

渋「わかったようで分からないなぁ・・・」

ス「ですよね(笑)。これはあくまでも、一般的な説明になります。
後々詳しく説明するので、ひとまず、現代日本の人事制度の説明いたします。そちらから話した方が分かりやすいと思うので。」

渋「わかった、よろしく頼む。」

ス「前回までに話したように、1990年代以降、日本の人事制度は迷走し始めました。人事制度は、職能資格制度→アメリカ型成果主義→職能資格制度という変化していきました。」

ス「アメリカ型成果主義が日本に馴染まずに、職能資格制度に戻り、そこから次の人事制度がなかったんです。」

渋「だから、その迷走した1990年代〜2010年までの20年間を"失われた20年間"というんじゃな?」

ス「そうです。バブルも弾けた後でしたから、景気も悪い状態が続いていました。最近になって、やっとアベノミクス効果・オリンピック効果で多少景気は良くなりましたが・・・。失われた20年は冷え切った時期が続きました。そして、その20年の間に、アメリカでは新たな人事システムが生まれました。」

渋「あ、それがタレントマネジメントというわけじゃな。」

ス「そうです!さすが、理解が早くて助かります(笑)」

渋「勉強頑張ったからの!!日本では、タレントマネジメントはどう扱われているんじゃ?」

ス「次世代の人事制度・システムとして期待されている段階ですね。失われた20年のような失敗をしないために、職能資格制度を超える人事制度の構築が不可欠なんですが、まだ日本で主流の考え方にはなってないです。」

渋「なんで、日本で”タレントマネジメント”は使われていなんじゃ?馴染みそうな考え方だと思うんだがのー」

ス「そうなんですよね。馴染むとは思うのですが、各社”タレントマネジメント”の取り入れ方に迷っているんだと思います。」

渋「迷っている?」

ス「はい。”タレントマネジメント”は概念なんですよ。企業に貢献してくれそうな人材を見極め、育成・適切に評価し、活躍させる仕組みをタレントマネジメントと呼んでいて、人事制度を超えた包括的な仕組みなんです。そのタレントマネジメントという概念をしっかりとみんなが使える状態にまで、落とし込む必要があります。」

渋「そうじゃの。職能資格制度みたいに具体的な人事制度ではないからの。」

ス「そうなんですよ。だから、タレントマネジメントを概念の状態で放置しておくと、誰も使えないです。そこで、タレントマネジメントを具体的にシステムに落としこむ必要が出てきます。発見・育成方法、さらに評価の仕方までしっかりとシステムの中に組み込みこんでなければいけません。でも、その発見方法すらも結果が出る形で確立できていないんです。だから、まだタレントマネジメントの取り入れ方を確立できず、迷っているんだと思います。」

渋「なるほど・・・。でも、タレントマネジメントのシステムを提供している企業は、結構多いと思うのじゃが・・・。その企業らがタレントマネジメントの取り入れ方を確立させていないのか?」

ス「そうですね。確かに、タレントマネジメントを謳うシステムの会社は多いですが、本当の意味でタレントマネジメントを仕組みとして提供できている会社は、そう多くはないでしょう。例えば、導入企業が一番多いタレントマネジメントを謳う企業でも、社員の名前と顔が見えるだけでタレントマネジメントって呼称しているって噂ですからね。他の会社も、タレントマネジメントと名付けていますが、人事コンサルティングがメインになっていて、システムとは呼べないのが現状です。」

渋「そんな状況があるんじゃな・・・」

ス「タレントマネジメントの仕組みを人事の誰もが使える形、つまりシステム化しないと、タレントマネジメントの考え方が広まらないです。
そんな現状を打破すべく、渋沢栄一さんあなたの助けを借りたいです。」

渋「ようやく、話が見えてきたわい。でもな、わしの力を貸すことはできん」

ス「え?」

(続く)


参考文献①:日本における人事制度の変遷と企業意識
https://jinjibu.jp/f_ps_system/article/detl/outline/927/

参考文系②:人材マネジメントの壺 テーマ: 人材マネジメントとは何か一言でいえますか?
https://amzn.to/2rs3wHJ

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