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渋沢栄一、現代の人事制度を学ぶ(2)。

人物紹介

人事のスズキ:HR-tech企業で働く新人。日本のHR-techを改善する為に、わざわざ渋沢栄一さんを降臨させたツワモノ。

渋沢栄一:人事のスズキに呼び出されたすごい人。好物は、オートミール。

江戸時代末期(幕末)から大正初期にかけての日本の武士(幕臣)、官僚、実業家。第一国立銀行や東京証券取引所などといった多種多様な企業の設立・経営に関わり、「日本資本主義の父」ともいわれる。
引用:Wikipedia


人事のスズキ(以下、ス)「では、早速前回言った通り、渋沢栄一さんあなたが亡くなってからの人事制度の歴史をします。何事も歴史を知らなくては解決策を出そうにも出せないですからね。」

渋沢「前回とはなんじゃ? でも、確かに歴史は大事じゃ」

ス「いえ、こちらの話ですので・・・まず、1950年代の戦後の人事制度のお話からさせていただきます。1950年代と言えば高度経済成長と呼ばれた時代の始まりです。日本経済が急激に成長を遂げた時代です。そこから20年間の経済成長は「東洋の奇跡」と呼ばれるほどでした。」

渋「そんな時代があったのか。」

ス「そうです。そして、その経済成長に伴い、企業は慢性的な人材不足に陥りました。その人材不足を解消するための対応策が、新卒採用です。」

渋「新卒採用?」

ス「はい、卒業したばかりの若者を一斉に採用する採用方式で、いわゆる青田買いってやつです。」

渋「わしが生きていた頃にもそんな方法あった気がするのぅ」

ス「そうです。大正の時から同じようなシステムが存在していましたね。いわゆる金の卵と呼ばれる若者が地方から都市部への集団就職という現象もありました。」

渋「その時の人事制度ってどんなことがあったんじゃ?」

ス「終身雇用・企業内組合・年功序列型賃金体系がセットになった人事制度が浸透していきました。その3セットは、日本型経営システムの”三種の神器”と呼ばれています。現在では、終身雇用などを新卒採用時に謳う企業は少なくなりましたが、ひと昔前までは社会基盤として存在していました。」

渋「お役所のようなシステムじゃな。」

ス「そうですね。民間企業でも安心・安全を求められたということですかね。終身雇用はあまり残っていないと思われますが、年功序列型の賃金体系は今でもたまに見受けられますね。

渋「もう平成も終わろうとしているのにか?」

ス「そういう知識はあるんですね。笑」

渋「前回から今回まで1週間あったじゃろ?その間に少し勉強したんじゃ。」

ス「さすが!”日本資本主義の父”と呼ばれるだけのことはありますね。」

渋「いじっておるじゃろ!!」

ス「いじってないですよ。話が逸れましたので、戻します!」

渋「あまり納得いかんが、話を続けてくれ。」

ス「年功序列型の賃金体系だと、考えてみると当たり前の話ですが、仕事のできる若手から不満が続出します。そこで登場した賃金体系が”職能資格制度”と呼ばれる日本独自の人事システムです。」

渋「年功序列型は日本独自じゃないのか?」

ス「年功序列型も日本独特のシステムとして、紹介されたことはありますが、どちらかというと儒教の考え方に沿っているので、韓国などアジア圏の企業ならあると思いますよ。」

渋「確かにそうじゃな。」※調べ切ったわけではないので、もし詳しい方いたら教えてくださいね!

ス「職能資格制度というのは、社員の持っているスキルや能力に等級をつけて、従業員を格付けし、その格付けによって昇進・給与などに反映するシステムです。年功序列型と比較すると、評価されている感が出て、社員のモチベーションアップにも貢献しました。」

渋「その制度はいつまで続いているのじゃ?」

ス「バブルと呼ばれる日本の好景気があったのですが、それが終わる1990年頃までは続いていました。もちろん、年功序列型が残っているように、現在でも職能資格制度が残っている企業は存在しますね。」

渋「そこから先の人事制度はどうなっているんじゃ?」

ス「ここからの言及は難しいんですよね。」

渋「どうしてじゃ?」

ス「どうしてかというと、日本の人事制度がこれといって確立されていないからです。」

渋「なんで、確立されていないんじゃ?」

ス「歴史を振り返ってきたように、1990年代までの日本は、戦後からの復興→高度経済成長と好景気が続いていました。人事制度がそんなに良くなくても給料は上がるので、不満は表出されてこなかったんですよ。でも、1990年代からの日本の景気は上り調子だけではなくなりました。」

渋「確かにそうじゃな。」

ス「歴史を振り返ると、1990年代は不況になったので、経営の効率化を迫られました。その効率化によって、人事の制度の潮流も変わります。従来の日本の人事制度では効率的ではないということで、アメリカ型成果主義が注目されました。」

渋「アメリカ型成果主義は、前に読んだ気がするのぅ。成果によって給与が変わり、年齢関係なく成果のみで判断する人事制度じゃろ?」

ス「そうです。それに合わせて余剰人員の削減も行われ、早期退職制度やリストラなどの経営の効率化するため、人事も改革されていきます。ただ、アメリカ型成果主義とは相性が悪く、次第に元々使われていた職能資格制度に戻す企業も多くなりました。」

渋「今の人事制度はどうなっているんじゃ?」

ス「今の人事制度は・・・といきたいところなんですが、少し話も長くなってきてしまったので、休憩しましょう!」

渋「確かに、少し疲れたわい」

ス「休憩を挟み、次回は近年の人事制度について(タレントマネジメント)と日本社会と人事の課題についてお話ししましょう!」

渋「り!」

ス「え、若者言葉なんて使ってる!さすが!次回までに現代の勉強もしておいてくださいね!」

渋「り!」

(続く)

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