英語のおかげで…Part 1

毎日の授業をこなしつつ(週6、土曜日も授業があった。)、留学準備クラスを受ける為(週1)、2つのキャンパス間を往復する日々…。瞬く間に時間は過ぎていく。

留学準備クラスのレベルは自分にとっては恐ろしく高かった。専門的な用語も出てきて、テキストを読み込むのにもとにかく時間がかかった。テストも難しく、毎回出来たという実感はなかった…。やはり、甘くない。

"このままでは、落第してしまう。何か打開策はないものか…。"

考えた結果、出来はともかく、とにかく"学ぼうとしている"という姿勢を先生に見せる事にした。具体的な方策は1つ。

それは、"毎回の授業で最低1回は発言する"という事。これを自分に約束した。

発言する為にはしっかり事前準備(=予習)をしないといけない。わからないなりに調べて臨んだ。

そんな姿勢を見せていると、自分という人間を相手に意識付けできるし、そんな気持ちは相手にも伝わっていく。

おそらく成績はギリギリだったと思うが、何とかパスできた。

3回生になる3月、アメリカ合衆国の州立大学に留学する事に決まる。

両親には準備コースの受講が決定した時に留学に行きたい事を伝えた。一般家庭で、私立に行かせてもらっているので、金銭的余裕等ないと思っていたが、父は"チャンスがあるなら、行ってきなさい"と言ってくれた。母も喜んでくれた。"こんな日が来るなんて"。

アメリカに飛び立つ1〜2週間前だったと思う。父から"居酒屋で飲まないか?"と言われ、初めて2人で飲みに行った。正直父は昔から厳しく、これまで2人きっきりで飲んだ事はなかった。ちょっと緊張した気持ちで行ったが、これまでに知らなかった社会人(大先輩)としての顔を知った。同じ会社に何十年も勤め続ける、家長として、家族の笑顔を守る為…。自分が私立で勉強に専念できるのは間違い無く、両親のお陰。だからこそ…、大学では後悔しない道を取る事を心がけ、英語に限らず、幅広く勉強した。

飲みも終盤にさしかかる頃だったかな、父がこんな言葉をかけてくれた。今も鮮明に記憶に刻まれている。

"どうしてもしんどくなったら、帰ってきたらいいんだよ。"

涙を堪えるのに必死だった。

長期留学はお金が滅茶苦茶かかる。現地での授業料は外大が負担してくれるが、それ以外は自己負担。寮費、ご飯代、航空チケット代etc...。概算で100万〜200万円。それを承知で言ってくれているのだ。覚悟のレベルが違う。本当に頭があがらなかった。

この一言には、父が私の事(努力)を認めてくれたという意味も含まれていた。

これまで父と話す時はとにかく緊張し(とにかく怒られた為…。)、正直に言って、コミュニケーションが上手くいってなかった。それも勿論父には伝わっていたと思うし、よく衝突した。その度、母に愚痴っていた。(おそらく、母が陰でフォローしてくれていたに違いない。)

今日というこの2時間は、息子と父の距離を一気に縮めてくれたと思う。

初めは勉強で両親の喜ぶ顔が見たかったからという動機もあったけど、それが自らの道なのかもしれないという、気持ちの変化もあり、これまで必死に学んできた。

英語が思わね形で私に恩返しをしてくれた。大袈裟かもしれないが、私はそう感じられずにはいられなかった。


ありがとう。

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