山下 啓介 / 4C2U Inc. 代表

業種業態を問わず事業のテコ入れをしています。決算書や現場マーケティング・サービス開発・…

山下 啓介 / 4C2U Inc. 代表

業種業態を問わず事業のテコ入れをしています。決算書や現場マーケティング・サービス開発・業務効率化など、状況に応じて経営改善をしたり、非常勤マネジャーとして現場で動いています。 【プロフィール】 https://note.com/keisukeys/n/n87062e4e7b02

最近の記事

事業再建/テコ入れ実績(4)

年商400億 大手衣料メーカーEC事業部1.事業概要 国内大手の衣料メーカーの新規EC事業部。年商1億5,000万円、直近の営業利益は▲10%で推移。メインは楽天。残り約半年で黒字化の目途をつけないと事業部が解散の可能性も高いが進捗は昨年実績よりも悪い、という状況での問い合わせ。 ビジネスマン向けの機能性商品を得意とする会社。 時間がないこともあり、問い合わせの2日後にミーティングの予定を組んだがこちらも調査する時間はほとんどなく、ページを10分ほど確認したのみで、先方

    • 事業再建/テコ入れ実績(3)

      家具販売(EC/楽天)1.事業概要 年商2億円、楽天を主としてソファやテーブルを販売する企業。販売不振で赤字が拡大しているとのことで相談依頼。商品は中国の工場でOEM生産し、船便のコンテナで日本に輸入、自社倉庫にて保管。 2.調査(1) 赤字は営業利益▲7~8%で推移。低単価の商品の販売比率が高く、薄利モデルに陥っていた。資金繰りも芳しくなく、改善開始後に多少の追加借入はできたが、金融機関もそれ以上の資金提供は難色を示していた。 中国でのOEM生産だけあって、できるだけ

      • 事業再建/テコ入れ実績(2)

        ベビー用品レンタル業1.事業概要 事業所近隣を中心にベビーベッドやベビーカー、小型大型玩具などのベビー用品を一般消費者に向けてレンタルしている。配送は自社便。楽天を通じたレンタルの受注も受けており、自社便の配送エリア外へは宅配便を使用。その他、衛生用品のクリーニング事業も行っている。年商は約2億円。 2.調査(1) 当該企業は赤字が続き、経営者も方策が分からずに困っていたが、三代目承継者であるため会社の清算にも躊躇していた。決算書ではレンタル用品の企業によくある高粗利益

        • 事業再建/テコ入れ実績(1)

          おせち販売(EC)1.事業概要 複数の料亭店舗を経営する企業のEC部門(楽天)。年末に需要の高いおせちを中心とし、その他にも季節やイベントに応じて海鮮等を販売。 EC部門の年商は3億円。 2.調査(1) 本業の料亭部門とEC部門で正確に部門別会計が行われておらず、EC部門の年商3億円でどれだけ営業利益が出ているのか不明だった。 延べ4~5時間ほどかけて部門会計の精査を行ったところ、EC部門の営業利益は▲200万円程度であった。 この事実は、事業責任者や実務担当者も初めて

        事業再建/テコ入れ実績(4)

          特急料金で得られる利益以外のもの

          製造業、年度末のシビアな納期要求で色んな取引先が仕事を詰め込んでくる繁忙期、特急料金を設定するかどうかという議論で。 過去データを見ても年度末納期のニーズは高いのだから、特急料金を設定したくらいでは仕事は減らないので、儲けられるところは儲けようというのはある。これは業種業態が違っても一緒。流行り言葉だとダイレクトプライシング。 ただ、儲けがどうこう以外の面もある。 基本的に、特急料金をもらった方が顧客満足度はあがる。というのも、みんな年度末の納期で詰め込んでくるのだから

          特急料金で得られる利益以外のもの

          プロフィールとこれまでの経緯

          生い立ちからネット通販との出会いまで 1979年大阪生まれ。 小学校時代まで大阪で過ごす。中学校時代は淡路島の進学校で寮生活。高校時代は熊本で過ごす。高校ではまともに勉強せず、バンド活動に精を出す。 高校を卒業して大阪の専門学校に通い、卒業後は20歳からイベントPA(音響さん)の仕事をする。PAは肉体労働で、ベテランにヘルニア患者もチラホラいたため、仕事はとても楽しかったが若いうちに別の仕事も体験してみたいと思い、知人からこれからはインターネットの仕事がいいと言われたのが

          プロフィールとこれまでの経緯

          承継経営者の社内リスク、古参社員のブラックボックス

          小さな会社では、顧客との価格交渉を絶対に現場任せにしてはいけない。 よくあるのが、メインの営業マンが役員で顧客との関係維持や価格交渉を一任され、ブラックボックス化しているパターン。承継経営者より年齢が高かったりキャリアが長かったりで、下手に口出しをしにくかったりする。 キャリアが長いことと価格交渉の能力の高さは必ずしも一致しなくて、ちゃんと交渉しているが了承してもらえない、先方との関係維持に必要、と言いながら顧客の要求を安易に飲んでしまっている場合がある。 顧客のコンデ

          承継経営者の社内リスク、古参社員のブラックボックス

          売上アップを考えないECサイトの収益性改善

          純粋なEC事業の収益性改善作業、例によって売上アップや固定費削減の類の作業は一切せず、商品のリストラ・ターゲットずらし・オプション開発などで発送あたりの粗利を増やすことだけに専念。 ただ、発送あたりの粗利を増やそうとする際に間違えがちなのが、ついで買いを促して客単価を上げることで粗利も増やそうとする施策。無理に売上アップをしようとする場合もこれをやってしまいがち。あまり会計を意識しない外部からのアドバイスではよくある定番なので仕方ない部分もあるが。 これをやってしまうと、

          売上アップを考えないECサイトの収益性改善

          現場から見たアンチ自律型経営・ティール組織の理由

          自律型経営・ティール組織という言葉が流行りだして久しいが、「社員がもっとイキイキ働けるように」みたいな理由でこういうものを導入しようとしても、意思決定のスピードも精度も改善なんかされないし、社員はイキイキもしない。なんなら問題が放置されることの方が多い。 自律やティールなんてのは、自分たちで自由に考えて動くことを求めるやり方で、つまりは自分たちで意思決定をするということ。意思決定をするには、十分な知識と経験、それと責任感が必要。際立ったキャリアや実績を持たない普通の人材には

          現場から見たアンチ自律型経営・ティール組織の理由

          自律を目指した組織から中央集権の組織へ

          事業の再構築や変革の際に「自律」は必要なく、強力なマネジメントによる情報収集と指示系統で、事業をコントロールしないといけない。 安定期では「自律」が活きてくるのかもしれないが、その体制では市場の競争相手が誰でどんな能力を持っていて、どう対抗しないといけないか、誰にも分からない。分からないというより、「自律」により発生する責任があるので、個人には決められない。 特に、技術者やそれまでキャリアを積んできた人間にプライドといった呪縛があると、客観的に競争相手の能力を測るなんてこ

          自律を目指した組織から中央集権の組織へ

          自由に考えさせられる面倒さ

          なんとなく負荷をかけておけばその人が成長するってのは、たまにはあるけどかなり確率が低くて、それにたいそう時間のかかる話。 なんだかんだ、普通はやっぱり身につくのは反復練習で、その回数をどれだけ短いスパンで数多くこなせるかだけど、それはシンプルな判断とシンプルな行動や指示ができる環境をどう作るか次第。 複数の変動要素を作って、色々な選択肢がある環境で自由に考えてもらって自律と成長をなんて、表面上だけじゃなく本質的に、そんな都合よくいけば誰も苦労しない。 なんとなくご機嫌と

          自由に考えさせられる面倒さ

          赤字の解消なんて誰でもできる

          27歳でPCもロクに触ったことないのに、食品を扱うネットショップの企業に入社。それまでPA(音響)の仕事をしていて、重いスピーカー運んだり、舞台でワンツーワンツー言いながらマイクチェックしたりしてたので、小売経験もネットの知識もゼロ。 入社したネットショップの企業は長年赤字続きで、社長が株で儲けたお金を会社に差し入れてなんとか持っていた会社。それでも資金が足りなくなって、仕入も現金決済じゃないとダメと取引先から言われ、もう打つ手なし。 残業続きでクレーム多発、足りない売上

          赤字の解消なんて誰でもできる

          原因究明はシンプルかつ短時間で

          以前、上場企業の新規事業部が存続の危機で、残り半年で黒字化の目途が立たなければ事業部解体になるとのことで呼ばれたが、当然、それまでに大手を含めたコンサルの話はさんざん聞いているであろう。 もっとも、自分のようなどこの馬の骨ともわからない人間に声がかかるくらいなので、それまでの数々の分析や提案では腹落ちしなかったのだろうし、第三者からの紹介ということもあってその人の顔を立てるくらいのノリで場を設けてもらったのかも知れない。 創業家の上級役員や事業担当役員も集まるミーティング

          原因究明はシンプルかつ短時間で

          事業再建、再構築で一番大事なこと

          このあたりは専門的な内容やテクニックなど色々とあるが、事業の収益性を改善するという王道でいくならば、どんな事業内容であれ一番大事なのは経営者や事業責任者が希望を持てるかどうか、この一言に尽きる。 感受性の強い人が相手ならば、「もっと過酷な状況の会社なんていくらでもありますよ!きっと大丈夫ですよ!」なんてことをひたすら言い続ければ、"なんかそんな気がしてきた..."みたいなラッキーな展開もあるかも知れないが、時間もかかるし、簡単な理由でメンタルが落ちたりもする。 債務超過で

          事業再建、再構築で一番大事なこと