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現場から見たアンチ自律型経営・ティール組織の理由

自律型経営・ティール組織という言葉が流行りだして久しいが、「社員がもっとイキイキ働けるように」みたいな理由でこういうものを導入しようとしても、意思決定のスピードも精度も改善なんかされないし、社員はイキイキもしない。なんなら問題が放置されることの方が多い。

自律やティールなんてのは、自分たちで自由に考えて動くことを求めるやり方で、つまりは自分たちで意思決定をするということ。意思決定をするには、十分な知識と経験、それと責任感が必要。際立ったキャリアや実績を持たない普通の人材には、自らリスクを取る事にもなりかねない意思決定などできるはずもない。そうすると、大前提として高い能力と覚悟が備わっており、きちんと意思決定ができるマネジャーが必要になる。

ただ、マネジャーだけが突出していても、そこが中央指令部になってヒエラルキー型になるだけなので、全員が能力と意識に関して一定のレベルにないといけない。レベルが満たない社員は、自律型やティール型という組織の中で各個に求められる意思決定ができず、誰かの指示に沿ってだけ動くことになり、評価基準から外れていく。

なのでもしそういう組織を作るならば、レベルに満たない社員を解雇しやすく、より優秀な人材が集まるような会社の外部評価や規模、仕組みが必要になる。

色々なマネジメント方法が書籍化されたりコンサル会社や研修講師から提案されるようになり、ずいぶん長い年月が経つにも関わらず、なぜ組織にはピラミッド型の運用が圧倒的多数を占めるのかというと、汎用性も安定性も一番高いから以外に理由はないと思う。

「うちの会社は自律型、ティール組織でうまくいってます!」なんて公言している会社があったら、一度行ってみるといい。ただ、見学中はいいことしか言わないので実際のところは見えないかも知れないが。

事実確認もロクに取れていないキラキラした自律型組織バナシに踊らされたり、流行りをダシに経営者が現場から逃げようとした結果、競争力が落ち、立て直しのためにまず自律型という幻想を追うのをやめる作業から始まる現場も多い。

そもそも、世の中の大半の人間は「自分のやるべきことを決めてほしい」「与えられた仕事をしっかりやりたい」と考えていて、「自分で自由に考えて動きたい」なんて本気で思っているのはごくごく一部に過ぎない。そんな人間に自律型やティール型を押し付けても、社員も経営者も不幸になるだけ。

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