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不登校になぜなるのか(6)

考える自分と感じる自分

ここまで、子どもがいろんなことを感じながら、言葉にできないために自分でも意識できず、エネルギーを無駄に使い、疲れてしまって、安心できる家にいようとすることが、不登校になる原因だとお話ししてきました。

なぜ、不登校になるのか、ということをもう少しだけ掘り下げてみたいと思います。少し堅苦しい感じの話になりますが、お読みいただければと思います。

人は脳でいつも何かを考えています。歯磨きや髪の毛のセットなど、毎日、行うようなことでも、元は必ず考えて行っています。

人間の脳には、よく爬虫類脳、哺乳類脳、人間脳の3つがあると言われています。

これは、『三位一体脳モデル』というもので、1960年代にアメリカ国立精神衛生研究所のアメリカ国立精神衛生研究所のポール・D・マクリーンにより提唱されたものです。

1990年に出版された著書『Triune Brain in Evolution(邦訳:3つの脳の進化)』でそれを詳しく説明されています。

爬虫類脳は脳幹部、哺乳類脳は大脳辺縁系、人間脳は大脳新皮質の部分だと言われています。

この3つの脳は決してバラバラにはたらくことはありません。必ず全てを使ってはたらくのです。

この3つの脳を使って、不登校が説明できると私は考えています。

それぞれの脳のはたらきは次のように言われています。

爬虫類脳
(脳幹部、生命維持を行う)
:安全に生きること

哺乳類脳
(大脳辺縁系、情動・欲求・本能などのコントロールをする)
:感じること

人間脳
(大脳新皮質、運動・認知・記憶などを行う)
:考えること

そこで、まず、学校に行くということですが、これは、学習をする、いろんなことを学ぶ、という意味では、まさに人間脳である大脳新皮質を使って「考える」ことをするために通うのです。

そこで、哺乳類脳を使って、いろんなことを感じてくるのです。すぐに言語化できるためには、人間脳のはたらきが必要なのですが、感じていることがわからなくても「恐怖」を感じていることだけはわかるのです。

そうすると、爬虫類脳を使って、安全に生きるために、家に逃げ込むということになります。

これがまさに、なぜ不登校になるのか、ということだと私は考えています。

感じる哺乳類脳と考える人間脳の間でうまく調整ができれば、学校に通い続けることができるのだと思います。

ところが、意識できるか、できないかの違いはあっても、この哺乳類脳で感じていることが「恐怖」なので、人間脳は恐怖を避けるように考え、爬虫類脳は安全に生きるために動かない指示をすることになります。

結果的に、不登校という選択をすることになるのです。

言い方を変えれば、学校にちゃんと通いたいと「考える」自分と、学校に行きたくないと無意識に「感じる」自分がいるのです。

その二人の自分を調整することができず、ひどい場合には乖離しているようになり、「危険を避け」て動けなくなっているのではないかと、私は考えているのです。

今まで出会ってきた子ども達が、すぐに言語化できないこと、不登校になった時の様子や小さい頃からのことを聞いていると、いろんなことを感じていることから、この三位一体脳モデルが不登校を説明するのに一番良いモデルであり、自分の中の「二人の自分」の関係性がうまくいかないことから、不登校になっていると考えているのです。

ところが、感じる自分と考える自分という考え方に、あてはまりにくい不登校というのが最近増えてきています。適応指導教室やフリースクールの運営にも関わる問題になってきています。

そのことを、次回、お話ししたいと思います。



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