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学校は何のためにあるのか?(8)

学校は「学力」を養うところ

学校は「学力」を養うところである、ということに

「ちがうんじゃないか?」
「学校じゃなくてもいいのではないか?」

とお考えになられている方が最近多いのではないかと思います。

それには、一般的に「学力」というものの定義が、あいまいで、テストではかることができるものだけをとって、「学力」と考えているからではないかと、思わずにはいられません。

実際に「学力=ペーパーテストで測定した点数」と定義されることが多いかもしれません。

確かに、ある意味、これに異論のある方は少ないと思います。

それには、学習塾というものが大きな影響を与えていることは、まちがいないでしょう。

もっと言えば、入学試験というものが、学力というものの一部しかはかっていないとも言えます。

「学力の定義」とgoogleやYahoo!で検索してみてください。

たくさん出てくると思います。

2007年に学校教育法が改訂されました。

その時に学校教育法第30条第2項にはこのように記述され、学校教育法で学力が定義されたのです。

学校教育法

第三十条 ② 前項の場合においては、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない。

簡単にまとめると、

①基礎的な知識及び技能
②課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力
③主体的に学習に取り組む態度

の3つが書かれているのです。

これを「学力の三要素」と言っているのです。

これは小学校に対してのものなので、高校であれば、③は主体性・多様性・協働性となると思います。

新しくなった大学入試共通テストは、この学力を少しでもはかるように作問されているのです。

それでもペーパーテストで学力をはかることには限界があるでしょう。

だからなのかわかりませんが、大学入試では「総合型選抜」というものが増えてきています。

国公立大学でも、大学で学ぶために必要な、学力の3要素を身につけているか、自分の大学で学ぶにふさわしい人物かどうかを見極めるために、総合型選抜を取り入れているのだと思います。

これは大学入試だから可能な話であり、高校入試、中学入試では、そこまでの対応ができていません。

だからこそ、まだまだ、小中学生には、どうしても知識・思考力を問うペーパーテストが中心となります。

学習塾が「狭義の学力」に対応するためのサービスを提供することで、業界として生き残っているのも、学校がペーパーテストで学力をはかるからと言えます。

こうして、あたかも、テストで測ることができるものが「学力」だと思わせることに、学習塾が与える影響は大きいことは、間違いありません。

そのような中でも、小・中学校の授業でも、学力の3要素を身につけることができるような授業を行う努力を、学校の先生方はされていらっしゃいます。

そういう先生方が、いろいろ工夫して授業をして、子ども達は少しずつ変わって来ていると、私は感じています。

子ども達よりも、ご家族が「狭義の学力」、要するにペーパーテストへの意識が強いように感じています。

実際に、高校入試で内申点やテストで測られるものは狭義の学力ですから、子ども達もご家族も「ペーパーテストの点数」で測れるものが「学力」だと思っても仕方がありません。

こう考えていくと、学校の先生方が、しっかりと授業ができる環境であった場合、これからの社会で求められる力を育てるための「学力」を身につける授業を積極的に行われるはずです。

その場合、学校に行けない子ども達は、別の教育機関で同じようなことを身につける必要が出てきます。

もちろん、教育支援センターやフリースクールでも、定義された学力を身につけることは可能かもしれませんし、社会に出てから身につけていくことで対応できるとも思います。

しかし、学校がどんどん良くなり、先生方が本気で授業をすることができるようになると、学校で身につけることができる学力の3要素などを、学校に行けないことによって、うまく身につけることができず、結果的に社会に出にくくなる可能性はあると思います。

学校はそのくらいの役割を担っていることも、ある意味では事実であり、私も含め、民間の教育事業を行う方々や、ご家族も、もっと学校がどのようなことをしようとしているのか、どう変わろうとしているのかを知ることは必要だと思います。

そうであったとしても、不登校の子ども達に対して、いや、学校に通っている子ども達に対しても、学力をつけ、社会に出るための準備、いわゆる社会化を急ぐ前に、ご家族や周りの大人が、子ども一人ひとりをしっかりと向き合い、子どもの言葉に耳を傾け、あたたかく見守ることから始める必要があると思います。

学力をつけるのは、その後でしか、結局、身についていかないと私は思っています。


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