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不登校と中学受験(16)

不登校になりやすい難関中学


難関中学では、せっかく苦労して合格したにもかかわらず、不登校になってしまう子どもが少なからずいます。

これは、感受性や思春期になって、子どもの心の揺れみたいなものによって不登校になることは、他の中学校と何ら変わりません。


小学校から不登校だったり登校を渋ったりがあった場合は、なおさら、通いにくくなるのは当然のことです。


ところが、難関中学で特徴的に不登校になる子ども達がいるのです。

しかも、この子ども達は挫折感も持ってしまうので、行けなくなってしまうと、再登校が難しいことが多いと私は感じています。


このきっかけ、原因の一つが学校の成績なのです。

学力とは言い難いので、学校の成績としているのですが、これが問題なのです。



理由は簡単です。

中学に入るまでは、小学校時代、学校の中では、明らかに成績上位者でした。

だから、子ども達が感じる学習を基準にした自分の立ち位置は、学校全体の中でも、かなり上位にあったことを、意識的にも無意識的にもわかっていたと思います。


これは塾の中でも同じことが言えるのです。

中学受験大手進学塾では、能力別クラス編成をしているはずですから、塾の同学年の中では、かなり上位集団の中にいたはずなのです。

これが、ある意味で子ども達にも保護者にも安心感があった大きな理由です。


ところが、この塾における上位集団だけがいるのが難関中学校です。

今度は、自分の学校の成績におけるポジションは、上位とは限らないのです。
少しでも手を抜けば最下位もあり得るのです。

これが常に緊張を強いられることになります。



特に精神的に安定していないと、ものすごく緊張した状態ですから、ちょっとしたきっかけで、不安定になり、学校に通いにくくなってしまいます。

このことは、実は、合格するまでは感じてないのです。

合格したからこそ、感じるものなのです。


これだけではないのです。


これは難関中学独特のものだと私は思っています。

それは難関中学の中でもトップクラスの成績の生徒の存在です。


受験前は、すごく良くできるとわかっていても、自分もできると思えたのは、ここまでお話しした通りです。

ところが実際に入学してみて、自分と同じくらいか、それ以上の子ども達ばかりになったときに、自分もできるとは感じにくくなってしまいます。


そして、今まではそれほど感じなかったトップクラスの子ども達と自分との違いに愕然とするのです。

ものすごくできる子ども達がいて、その子ども達に追いつくことはちょっとやそっとでは難しいと感じるのです。

そのくらいの歴然とした差があるのです。


これは東大医学部や京大医学部でも同じようなことがあり、それよりも偏差値的に上の大学・学部がないので、極端にできる学生から入試でギリギリで合格した学生との差は、かなり大きいのです。

大学生ならその現状も理解して、自分は自分と言えるのですが、中学生だと、このトップクラスと自分の差にショックを受けてしまいます。

まだ、ここでも戦い続けないといけないのか、と無意識に感じて、努力することができなくなってしまうのです。


戦意喪失のような感じなのです。


ところが、ここでご家族は、せっかく合格して通っている難関中学なのだから、頑張ったらついていけると、さらに努力することを要求してしまうのです。

逃げ場を失い追い詰められた子どもは、心を閉ざし自分の内側にだけ向いていくことになるのです。

こうなってみて、厳しい現実を突きつけられ、子ども達は戸惑い、焦り、不安になってひきこもってしまうのです。


谷 圭祐
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