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【本要約】なんだ、けっきょく最後は言葉じゃないか。

本記事は『なんだ、けっきょく最後は言葉じゃないか。』(宣伝会議)の要約・解説の記事です。本書では電通で中堅以上のコピーライターに研修を行う著者が「人を動かす」ための言葉の技術について解説しています。コピーライティングの方法論がベースですが、「言葉を伝える、人を動かすためにどうすればいいか」について書かれた本なので、クライアントの心を動かしたい営業や部下に伝えたい管理職の方にもおすすめの一冊です。

「コミュニケーション能力が高い」とは何か

ほんの十数年前に比べても世の中の仕組みは複雑になっています。おそらくこの先もそうでしょう。ますます複雑になっていく社会構造の中で、私たちが他者との間に良好な関係を築きながらも自分らしく日々を過ごしていくためには言葉の力を借りるしかないのです。(本文より)

「コミュニケーション能力が重要である」というのは誰もが知っているところでしょう。仕事ができるあの人もそうだし、なぜかモテるあいつも、友達の多い彼も、得てしてみんなコミュニケーション能力が高い人間だと思います。

コミュニケーション能力が高いとはどういうことでしょうか。
本書では、コミュニケーションとは「相手の心を動かす」ことを目的としたものであると言います。つまり、コミュニケーション能力が高いとは、「相手の心を動かす」ことができる人ということです。

そして、あなたが画家やミュージシャンなど、絵や音楽で物事を伝えられるスキルを持っていない限りは、言葉を通じて自分の考えや想いを伝えていると思います。

つまり、「コミュニケーション能力が高い」とは「相手の心を動かす言葉を生み出すことができること」です。本書で紹介されているコピーライティングというのは、まさに言葉で人を動かす技術のことで、そこにある方法論を学ぶことで、コミュニケーションを高めていくことができるというのが本書のポイントです。

本記事の想定読者は、全ビジネスマンに有効だと思いますが、特に、コミュニケーション能力が仕事の成果に直結する営業職や管理職に向けて書いています。クライアントに送るメール一つ、部下にかける言葉ひとつで仕事の質は変わってきます。

まずは抑えておきたい前提:「人は話を聞いていない」

私たちがまず持つべき認識とは、人はあなたの話に興味はないということです。その上、忙しく、イライラしていて、辛辣で、不寛容であるという前提に立って言葉を生み出すべきということです。(本文より)

まず、我々は持つべき前提は「工夫せずに、普通にしていたら、言葉は伝わらないことの方が多い」ということです。本書では「言いたいことを、正しく言葉にすれば、それは伝わる」というのは誤解であり、基本的に人は話を聞いていないという前提に立つべきだと指摘します。

これは仕事でも思い当たる節がある方は多いのではないでしょうか。例えば、商談でクライアントにサービス説明をしても伝わっていない、部下に指示したことが伝わっていない…など。これらに覚えがある方は、まずは「話を聞いていない」という前提を理解しておくべきでしょう。

伝わるコミュニケーションの基本型

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相手の気持ちに届ける言葉を作るには、届ける相手の存在をしっかりと意識する必要があります。(中略)ふたつの円の重なっている補集合の部分がコミュニケーションのありかです。(本文より)

まず、あなたの言葉が伝わるかどうかは、届ける相手の存在を意識できているかどうかが重要です。これが基本中の基本です。あたりまえすぎて、元も子もない感じもありますが、この基本ですらできていない場面をよく見ます。

例えば、経験の浅い営業マンだと、お客様のことを知らない状態で、自社のサービス概要をひたすら話すということがよくあります。だいたいクライアントはつまらなさそうな顔をします。また、大多数に送るDMで「これは誰向けの内容なの?」という送る相手がイメージできていないメールもよく見られます。これらは基本である「相手を意識する」ということができていない典型的な例です。かっこいいプレゼンをするためにどうすればいいのか、そういう話にだけ気を取られる営業マンが多い気がしますが、これでは伝わるコミュニケーションにはなりません。

また、自分自身の伝えたいことを明確にすることが重要です。
「結局何が言いたいの?」「それを伝えてどうするの?」と、伝えたいことが明確でないこともよくあります。私は人材業界で仕事をしていたので、面接などでそういった場面によく出くわしました。得てしてそういう場面は、自己分析が不足していて、自分がどういう人間なのか、どういうイメージを持ってもらいたいのかというのが分かっていないことが多いと思います。また、営業でも自社製品のことを正しく理解していないと、同じようなことがあります。

「相手のことを意識すること」と「自分の伝えたいこと」の円を描けることが重要で、その重なり合っている部分が伝わるコミュニケーションのありかです。営業であれば、「クライアントのこと」と「自社製品のこと」を理解し、その重なる部分を考え抜くことが重要です。

伝わる言葉を生み出すためには

①イメージの到達点を設定
②文脈を発見する
③言葉として定着させる

ここからは、先程の基本型を前提に具体的な言葉を生み出すためのステップの解説です。

STEP1:イメージの到達点を設定
このステップでは、最終的にその言葉を伝えることで得られる望ましい結果、伝えるイメージの到達点を考えます。

どういう提供サービスについてクライアントにどのようなイメージを持ってもらいたいか、もっと言えば、どのような行動をとってもらうのが望ましいのかを設定します。

営業で例えると、自社のサービスがどんな時に役に立つのかをイメージしてもらう、必要になった時に想起してもらえるように印象付ける必要があります。よくあるのが、とりあえず挨拶をさせてくださいと行って無目的で商談に行ってしまうパターン。これは商談でのゴール(イメージの到達点)を想定できていないために起こるダメな例です。しっかりと目的を定めることから始めましょう。

STEP2:文脈を発見する
次のステップでは、到達点となるイメージにどのように持っていくのか、文脈を発見する作業になります。あっさりいうと、どう伝えれば伝わるのかを考える工程です。

ここで重要なのが、円の重なった部分を意識することです。再三書いてある通り、コミュニケーションは相手がいて成り立ちます。STEP1で設けたイメージも、ただ一方的に伝えても、そのイメージを持ってくれることはありません。

このステップが進まない場合は、伝える相手の理解が足りていないことが多いです。営業であれば、クライアント企業のことはもちろん、担当者の立場、役割、性格まで細かくイメージするのが重要です。

STEP3:言葉として定着させる
最後のステップでは、どんな言葉を使うかを決めます。本書はコピーライティングのノウハウ本になるため、特にコピーにおいてはどのような単語を使うかが重要だといいます。単語によって微妙にニュアンスが違いますし、印象が変わってくるので、どのような単語を使うかを意識すると良いといいます。

これは、商談などにおいてもポイントになると思います。商談時に全ての話を熱心に聞いてくれる人ってそんなに多くないですよね。

そこで、優秀な営業マンは、特に印象付けたい場面で強い言葉を使います。そのサービスの特徴を一言で表す言葉だったり、秀逸な例だったり、、
そうすると、商談内容の7〜8割は忘れてしまっても、その単語だけしっかりと印象に残り、時間が経ってもサービスを想起してくれるようになります。

まとめ

今回はコミュニケーションのノウハウ本である「なんだ、けっきょく最後は言葉じゃないか。」を要約・解説しました。

最後に、総括した感想と補足としては、
【想像力を鍛えるためには、インプットが大切】
ということを挙げさせていただきます。

【想像力を鍛えるためにはインプットが大切】
本書では、コミュニケーションのポイントとして「他者に対する想像力が重要である」ことが解説されていました。

では、想像力を鍛えるためには何が必要なのか。
その一つの答えは「インプット」だと思います。

シンプルに知らないことは、想像が難しいと思います。例えば、「アフリカの10代が欲しいものを想像せよ」と言われても、かなり難しいですよね。これは単純にアフリカの10代に対するインプットがないからだと思います。

「他者に対する想像力」を担保するのは「インプット」だとした場合、コミュニケーション能力を高めるためには相手を知ることがはじめの一歩ではないかと思います。もし、営業で行き詰まった場合は、自身のプレゼン能力を磨くことだけではなく、クライアントのことを知る努力から始めるのが重要かもしれません。

補足は以上になります。

今回の記事では、営業に寄せて書きましたが、実際の本書はコピーライティングに関する内容がメインになります。歴代の秀逸なコピーライティングを紹介し、それがなぜ人々の印象に残るのかを解説してくれています。「コピーを人格と捉える」や「強い言葉の生み出し方」など、書き物をする人間はもちろん、あらゆる人に有益な内容だと思いますので、ぜひご興味ある方はご一読ください。

今回の記事は以上になります。
ご一読いただき、ありがとうございました。


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