グループホームの体験入居をして変わったこと
こんにちは。
前回の記事で少し言及していたのですが、生活習慣や生活リズムを正す機会に恵まれたので、今回はそのことを書こうと思います。
それはズバリ、障害者用グループホームの体験をしてきたことでした。
他の入居者にとっては違うかもしれませんが、私にとってはさながら生活リズム強化合宿の様相だったので、とても貴重な体験だったと思っています。
ここまで読んで「グループホームって何?」って思った方もいらっしゃると思うので、簡単に解説します。
グループホームとは、生活を送るうえで手助けが必要な方々が集まって、世話人と呼ばれるスタッフに生活の支援をしてもらいながら、共同生活をする居住スタイルの施設のことです。
認知症を患った高齢者向けのグループホームもありますが、私が体験したのは軽度精神障害・軽度知的障害の方向けのグループホームです。
一軒家のような居住地の一室を間借りして、個室を持ちながら食堂やトイレや洗面所や浴室などは他の居住者と共有する「シェアハウス型」と、独立した簡易キッチンやユニットバスなどが個室にあり、食堂だけを共有する「マンション型」などがあります。
私が体験入居したのは「シェアハウス型」でした。
こういう前提条件の元で体験をしたと、理解していただければ十分だと思います。
かなりの長文になったので、興味のある方は余裕があるときにでもお読みいただければと思います。では、どうぞ。
体験することになったきっかけ
まず一般的な健常者であれば、グループホームの存在そのものを知らなかったという人が、大半ではないかと思います。
私が体験したグループホームは、閑静な住宅街の一画にありました。
建物の外観は、一般的な一戸建てそのもので、周囲は一般市民が暮らしている一戸建てが密集しており、近所の人々もここがグループホームだとは知らない人が多いのではないかと思うほど、住宅地に溶け込んだ雰囲気でした。
この記事を読んでいるあなたの街にも、グループホームはそっと存在しているかもしれませんね。変わった場所ではなく、身近な存在なのです。
私を担当する相談支援員(精神科医の主治医が派遣してきた、私の生活を支援したり相談に乗ってくれたり、各種手続きを整えるためにいる、有資格の担当者)が探してくれたグループホームがここでした。
なぜ探してくれたのかというと、私が「グループホームは利用可能なのでしょうか?」と問い合わせたからです。
私は現在、実家に母と二人暮らしです。
住む場所には困っていないはずなのに、なぜこうなったのかというと、いい大人が二人で常に一緒にいると、イライラしたり衝突したりすることが増えるためです。
相談支援員や母にも言われましたが「お金がかかるから、何もわざわざ別居することはないんじゃないか」という意見もありました。
しかし私は自立できるぐらいの実力を身に着けたいのです。
そのための足がかりになるかと思い、今回の依頼をしたのでした。
なんとか各種手続きを整えてもらって、私のグループホームの体験は始まりました。
どうせやるならしっかりと
相談支援員から言われたのは「どうせやるなら一泊なんて短期ではなく、一週間ぐらいやろう」ということでした。
結果、木曜日から翌週の木曜日まで、七泊八日もお世話になることになりました。
ちょっとした旅行のようですね。
食事はグループホームの世話人から提供してもらえるので、三食の心配はしなくてもいいです。というより、個室にキッチンがないので調理したくてもできなかったですね。
平日は朝晩、土日祝は朝昼晩、食事が提供されます。
なにか食べたいものがでてきたら買ってくるか、外食するしかないですね。
洗濯することも考慮して、着替えやタオル類は三日分~四日分ほど準備。洗濯洗剤も持参。
入浴は一人一時間以内で済ませること。最大入居六名なので計画的に。
トイレットペーパーやティッシュペーパーなどの消耗品は、お金を払っているので心配しなくていい。
布団は貸出してもらえるので、それを使用。
とにかく何も無いので、必要な小物なども持参。
このように準備して、結構な大荷物を母の車の運転で運んでもらったあと、体験入居を開始しました。
ライフログ手帳の記録を見ながら書いていきます。
初日のこと
私は平日の日中は事業所に通って、仕事や生活介護や用事を済ませています。この日は日中活動のあと、夕方からグループホームに向かいました。
母の運転で大量の荷物とともに到着し、世話人に挨拶をして、簡単な紹介をされます。
自分の部屋の位置と、生活に必要な場所の間取りの確認です。
必要に応じて訊いていきましたが、私がグループホームに着いて、まずやったことは、荷物の整理。それと、お風呂を沸かしてもらう依頼。
部屋は畳敷きでカーテンのない、障子張りの和室で、一番上等な部屋にしてもらいました。その分、家賃も上等ですが。
荷物を大体整理して、使いやすそうな定位置に置いたところで、お風呂が沸いたという知らせを受けたので、夕食前に入りました。
本格的な打ち合わせは、夕食時にしました。
入浴はいつでもできること。
食事の時間は何時なのか。
門限は何時なのか。
Wi-Fiのログインパスワードのこと。
外出するときは朝のうちにひと声かけておくこと。
ゴミ処理はキッチンに持ってきてもらえればいいこと。
ざっと思いついただけでもこれだけやりとりしました。
風呂の注意点
家ではゆっくりしていますが、ここでは共同生活という前提なので、他の人のことも考慮して、一時間で入るという決まりがありました。
とろとろしていたら入れなくなってしまいます。
それに私は面倒くさがりなので、ぐずぐずしていると入りたくなくなってくるので、夕食前に急いで入っていました。毎日です。
着替えの下着、着替えのパジャマ、バスタオル、シャンプー・コンディショナー・ボディシャンプーの三点セット、ウォッシュタオル、洗顔フォーム・泡立てネットの二点セット、化粧水、腕時計。
入浴には最低でもこれだけのものが必要です。
一日目の脱衣所で気づいてうかつだったのが、脱いだ服を入れるものを持っていかなかったことでした。脱衣籠でも自宅から持参できれば便利だったでしょうね。
厳密には謎のリンスインシャンプーや謎のボディソープも用意されていたので、持っていかなくても大丈夫だったかもしれませんが、自分の髪質にあっているかわからないものを使いたくなかったので、私は持参しました。
腕時計を細かく見ながら、なんとか風呂上がりに、手足を化粧水でスキンケアする時間的余裕まで考慮して、一時間以内に入浴が終了。
夕食まで三十分時間があります。
部屋に戻ってからは、脱いだ服や濡れたウォッシュタオル・泡立てネット・バスタオルを干しました。和室でカーテンレールもないのにどうしたかというと、エアコンの下の長押に掛けた、持参した物干しハンガー(洗濯ばさみがたくさんついているアレ)とハンガーに引っ掛けました。
脱いだ服を持参したランドリーバッグに入れて、これでよし。
濡れた髪はドライヤーでブローしますが、乾かす前にオールインワンで顔面保湿をして、髪に塗るヘアオイルも持ってきたので、それを馴染ませてからやりました。
部屋に戻ってきてここまでで、だいたい二十分から二十五分かかりました。
二日目以降も概ね同じような時間を過ごしましたが、お風呂が湧いた知らせを受けたとき、前日の反省を踏まえて、古い衣服を入れるためのビニール袋を持参。
ついでにお風呂セットを見直して、整理整頓してから行ったので、二日目以降はスムーズに行動できました。
実家にいたときはそんなに入ってなかったけど、ここに来てからは毎日入ってるからピカピカです。
実はここに来てから歯も三食後、きっちり磨いています。
これだけの変化があっただけでも、来た甲斐がありました。
食事のこと
私は三分前に食堂へ向かっていました。
世話人が食事を用意していました。
出てきたのは典型的な和食で、一汁一飯におかずが主菜一品と副菜二品。
麦茶は居住している間はおかわり自由とのこと。
最大収容人数六名と聞いていましたたが、一日目は私しかいなかったです。
一日目と翌日の朝食の白米はラップおにぎり。でも一汁一飯におかず三品あるからいいです、という気がしましたが、おかずがあまり美味しくなかったです。
レトルト食品を湯煎していた様子から見て、柔らかすぎて味付けの薄い食事だったのもあり、味気ない印象を受けました。
それにしては白米がやたらおいしい。おかずはともかく、良い米使ってると思いました。
一号館はあるが、この私のいる二号館の新しい棟は開業したばかりで、入居者募集中らしいです。なるほどなと思いました。
だから最初はお茶碗が揃ってなくて、白米がラップおにぎりだったんですね。
世話人も手探りしながらやってる様子でした。
朝晩の食事が済んで世話人の眼の前で服薬したら、体温と血圧と心拍数を計測されます。いわゆるバイタル。ここでは朝食と夕食の後は毎回やるらしいです。
訊いたところによると、朝ご飯は七時とのこと。
早いですね。じゃあ六時半には起きたいですね。
ちなみに私はロングスリーパーで、九時間は寝ることを考慮すると、夜は九時半には寝ないといけない。
型破りな夜更かしをする気も湧かず、日課の家計簿や手帳記入以外は、やるべきこともなし。
寝るまでに布団を敷いて歯を磨いたあとは、持参したティファールでお茶を淹れて飲みながら、毎日これからの算段を立ててました。
このぐらいでウォッシュタオルと洗顔ネットとバスタオルが乾くので、毎日回収していました。
持参したノートパソコンでYouTubeを観て時間を潰し、日課をやったあとは、大人しく九時半前に就寝していました。
朝食時にその日一日の予定を打ち合わせしておきます。
夕方の四時半に入浴したいので、それまでにお風呂を沸かしておいてほしいこと。
世話人は複数人でやっていて交代でこちらの面倒を見てくれること。
このようなことを伝え合いました。
洗濯のこと
朝食後に部屋に戻って、コーヒーブレイクと歯磨きと布団畳みのあと、行動開始。
七泊八日のうち、土日月の三日間ほど洗濯しました。
ランドリーバッグに分けておいた古い衣類を、まとめて洗濯機にかけます。
意外に重宝したのが、洗濯ネット。とても重要。衣類が傷まないです。タオルも衣類も、なんでも入れて洗いました。
私は実家で荷物まとめをするときに忘れていましたが、母からの指摘により参入を果たしました。
グループホームに洗濯洗剤はなかったので、持参したものを使用。液体洗剤なので使い勝手が良かったです。
長押に引っ掛けた物干しハンガーの枠に、さらに普通のハンガーを掛けてすべて干します。嵩張る物干しラックを持ってこなかったので、頭を使って場所のやりくりをしました。
それから迷いましたが、ジーパンも単独で洗いました。
干すのに難儀しそうでしたが、体験の前に行った焼き肉の匂いがとにかく気になったのと、あと暇つぶしの道具が足りなくて暇だったので、思い切りました。
大物ばかり洗ったので干すのに苦労し、エアコンの風向きや設定を駆使して、なんとか乾かしました。
土日祝日
土日祝日。予定通り六時半起床。
土日祝だろうが朝食は七時。ちょっと大変です。
洗顔して一息ついてから、食堂へ。
朝食を取りながら一日の打ち合わせ。
洗濯をすること。
一日ゆっくりすること。
お風呂はやっぱり早めに入りたいので、用意をお願いしたいこと。
休みなのでやることは少ないけど、こんな感じです。
やってみるとあっという間に終わり、隙間時間はノートパソコンでYouTubeを見ながら、休憩します。音楽配信を中心に見ていたと思います。
YouTubeにない音楽は、持参したウォークマンにスピーカーを外部接続して、音楽鑑賞を徹底的にしました。
一人だったので、とにかく音楽をかけたくなるのです。
そうこうしているうちに、昼食。
心のこもった手作り料理が出て、テンションが上がりました。
午後はおやつの時間を楽しみにしながら、YouTubeをみます。
洗濯物が徐々に乾いてきたので、少しずつ回収したり調整したりしながら過ごしました。
他の利用者との関係
一日目は私一人でしたが、二日目の夕食からは一人増えて、茶碗も揃っていました。
そして食事が、良くなっていました。手作り感がある、それなりのボリュームと見栄えの良いものになっていました。一人のときのあの手抜き感は何だったのかという話ですよ。一人のときはレトルトとかのほうが、手間も経費もかからないからなんでしょうか。
増えた一人は朝のうちに聞いていた体験仲間でした。ところがどっこいこの人、食事に全く手を付けないのでした。
精神障害や知的障害の人あるある事例の一つ、偏食。好き嫌いが激しくて、気に入らない食事はあまり食べようとしないというやつです。
二十分ほどで私は食事を済ませましたが、歯磨きや持参したコップを洗いに部屋を出入りしたときに覗いてみても、その人は一時間経っても二時間経っても、食べなかったみたいでした。
世話人さんの、なだめたりすすめたりする声ばかりが続きました。これは世話人さんも困り果てるしかありませんね。
九時過ぎまで食堂でテレビを見ていたようでしたが、その後はわかりませんでした。
体験仲間になんとか食事してもらおうと世話人も色々手は尽くしたらしく、翌日の朝食は私までふりかけをつけてくれました。
体験仲間が、ふりかけをかけたら、わずかに食事に手を付けました。
場が安心した瞬間でした。
しかし一晩だけの体験でしたが、その人がこのグループホームに本入居することはないだろうなと、私は思いました。
世話人との恒例の打ち合わせで、翌日からも新たに一人体験の人が来ることがわかりました。
今度は期間が長いらしいので、グループホームらしい体験ができることを期待しました。
その人と一緒は心強かったです。
大抵の人はやはり夕食後に入浴をしたがるらしい、という私の読みは当たっていて、新しい体験仲間は夕食後に入るようでした。
まあ、だから私は夕食前に入ってたんですけどね。
入浴と一連のルーティンを終えて、夕食。
新たな体験仲間とともに、大分良くなった食事にありつきました。一日目の食事が永遠に続かなくて本当に良かったと、内心胸を撫で下ろしていたのはここだけの話です。
食事の時間にバイタルを測ったり、予定の打ち合わせしたりするのは、他の人も変わらないようです。
一人増えただけで人の出入りする足音や気配に、敏感になっている自分に気づきました。洗面所やトイレを使うタイミングに気を使いますね。
共同生活ってこういうことなんだなと思いました。
この体験仲間は私が退去するまでいました。
一日遅れで退去したようです。
お茶とおやつの大切さ
持参した目覚まし時計で毎日六時半に起き、共用の洗面所で洗顔してスキンケアしたあとは、ぼーっと朝食までリラックス。
お茶でも飲みながら、ほっと一息。水差しも持ってきたので、飲み物にはさほど困らなかったです。ティーバッグやドリップコーヒーも大量に持ってきていたので、好きなのを選んでブレイクタイム。
木製トレーを持ってきていたので、畳に直置きは避けられたのは良かったです。見映えは大切。
出かける前に布団を三つ折りにして、部屋の隅に置いておきます。
夕方。グループホームに帰ってきて、手洗いうがいを済ませます。洗面所にあるペーパータオルが本当にありがたかったです。
帰ってきてまずやったことは、おやつを食べることでした。
とある日はパン屋で買っておいたアップルパイと、無印良品で買っておいたいくつかのお菓子がありました。
こういう楽しみが日々の潤いとして欠かせませんね。
持参していた耐熱容器に、アップルパイを入れて、食堂の電子レンジを借りました。共用でいつでも使っていいとのことでした。
温めたアップルパイと合わせるなら、やはり紅茶かと思いまして、紅茶を淹れておやつタイム。YouTubeでKinKi Kidsの「薔薇と太陽」のPVを見ながら至福のひととき。こんなに幸せでいいんだろうかと思いました。
おやつは自由に買って大丈夫でした。
外出するときは、前日の夜と当日の朝のうちなど、早めに伝えておきます。
立地条件が非常によく、町中だったため、コンビニやスーパーや飲食店などが多く、不自由はしませんでした。
気づいたこと
部屋でノートパソコンでYouTubeを見ながら気づいたこと。
机代わりのものは持ってきたけど、座布団を忘れました。
要るかなーと思ったけど持ってこなかったのです。案の定、要りました。
絶対必要ですが、私は余分に毛布を借りていたので、それを畳んで代用しました。
座布団もしくは座椅子なんかが、あったらいいと思います。
就寝時に気づいたこと。寝るときの背中の痛さ。
敷布団が柔らかくて、畳の硬さが結構伝わりました。
普段、実家で寝ているベッドマットはいいやつだったんだなと実感しました。本入居するなら、布団問題も解決する必要ありですね。
マットレスなんかがあればいいんでしょうね。
リラックスタイムに気づいたこと。横になったりゆったりすることができない。
布団は畳んでいるし、畳に直に寝るのは痛いので、なんだか落ち着かない気分で過ごすことになりました。
気にしないようにしたいのに、部屋の床との角に蜘蛛の巣が張っているのを発見してしまい、おいそれと直に横になるのははばかられました。
座椅子があればだいぶ違ったかなと思いました。
退去とその後
日中の用事を終えて、最終日の木曜日の夕方に退去しました。
事前に料金を聞いておいて、母にLINEで伝えておいたので、支払いはスムーズでした。
緊張で疲れていたらしく、実家に帰った当日は爆睡。
すぐゴロゴロできない状態で、休みの日も早朝から起きていたことは、なかなかにハードだったようです。
しかし、生活をしっかりさせるにはとても良かったです。
食事の時間が決まっているのが決定的でした。
生活リズムがとにかく整います。
予想以上にしっかりした生活になること請け合いです。
そして肝心の、母との距離感を計るのにも、とても良かったです。
適度に離れてクールダウンすることによって、衝突が避けられました。
短期入所(ショートステイ)として使わせていただけないかな、と思いました。
永住は厳しいなと思いました。
本入居するならもっと本格的な家具などを搬入するだろうから、もっと生活しやすくはなるだろうとは思いますが、七泊八日だから頑張れた気がします。
休みの日はゆっくり寝ていたいと思うことしきりでした。
そして、実家での生活を見直そうと思いました。
仕事も大切ですが、生活に必要な日々の営みがすべての基軸になっているので、まずは生活することそのものから整えていきたいです。
毎日お風呂に入るとか、一日三回歯を磨くとか、家事をしっかりするとか、そういったことからまずしっかりしたいと思いました。
グループホームに体験入居してから、生活態度が整えられたので、これをしっかり維持したいです。
ゆくゆくは将来、本入居する可能性も考えられますが、現時点では実家で暮らすことにするつもりです。お金もかかりますしね。
かなりの長文になりましたが、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
よかったらまた次回もお会いしましょう。
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