小説「女三四郎と呼ばれた巡査」2
2 花菜、特錬生に選ばれる
術科指導の向田は来年で勇退であるが、自分の時代の最後にどうしても花菜に特錬生として活躍してもらいたいと望んでいた。それも彼の同期である須賀田との約束でもあったのだ。警察を含む地方公務員も近年六十定年で退職金を得て完全に辞めて(警察から足を洗って)他の職に就くか、それとも四分の一くらい減額されてもそのまま警察署に留任するか、辞めて再度嘱託(給与は半額)で働くか三パターンを選べるようになっている。向田も須賀田も奇しくも赴任が布施警察署であった。当時