kei_m(村木野惠)

処女作品は、文芸社刊『風の仕業(いたずら)』 挿絵は、昔荻野目慶子さんを描いたものです…

kei_m(村木野惠)

処女作品は、文芸社刊『風の仕業(いたずら)』 挿絵は、昔荻野目慶子さんを描いたものです。 小篇へのコメントを頂ければ幸いです。 コメント以外の励まし、とかございましたら👉 kenkentomickey@gmail.com で何なりとお知らせ下さい。

マガジン

  • 小説「ぼくと ぱく しらいし」

    ぼくは都内のある場所で白石さんと出会う。それがきっかけでぱくとも知り合うことになる。そして片桐まゆみという女子高生とも知り合う。何かを失うということは、何かを見つけるということでもあるとぼくは思った。

  • 童話「約束」〜将来大人になるあなたへ

    僕にも小学生の頃はありました。小学生になるまでが本当はいちばん楽しかったように思います。あなたも将来いっぱいやりたいことがあって、迷うこともあるでしょう。そんな中で自分が何かを見つけて下さいね。

  • SF短編小説「オール・マイティなカード所有者」

    世の中には、時々通常なら有り得ないことが起きることがある。しかし意味がないことなんてないと思うことがあるのは真実である。

  • 小説「風の仕業(いたずら)」

    Amazonの本の紹介文から「街角を吹き抜ける風のいたずらだったのか、偶然出会った若き女性と中年男の交流の経緯を淡彩風に描いた恋愛小説。ストーカー事件を絡ませながら、作品の舞台は関西からニューヨークの街角へ移るなど、二人の関係は、運命に操られるように展開する。ときに風という自然の力によって、ありふれた日常が不意にその相貌を変えて人を惑わせ、人生に新たな輝きを与えることを描く。」

  • SF短編集(昔話アレンジ集より)

    むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがなかよくくらしていたそうな。おじいさんはやまへしばかりに、おばあさんはかわへせんたくに。おばあさんがせんたくをしていると、かわかみのほうからどんぶらこどんぶらこと、おおきなももがながれてきたそうな…

最近の記事

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童話「約束」〜将来大人になるあなたへ

 はじめに  僕は小学五年生の時に、父から一冊の本をプレゼントされたことがあります。ほんとに嬉しかったのですが、何度も読み返して、少しマーキングもして売れない本になってしまいましたが(もちろん売らないですよ)、それはサン=テグジュペリという作家の「星の王子さま」(初版本)という童話でした。大人になってからその人が郵便飛行のパイロットと知り、地中海で亡くなるまで波乱の人生を送ることに興味を覚えましたが、ほんとに当時の小学生の頃の僕はその不思議な本に魅せられてしまいました。私が

    • 小説「女三四郎と呼ばれた巡査」3

      3 花菜 初めての職質検挙  警察官は拠点を持っている。諸外国と違って制服警察官はパトカーも含めて「交番」が拠点になっている。交番において日常様々な活動を行なっている。  例えば街頭での行き交う人々への「こんにちは」とかの挨拶からはじまって、道を訪ねている人に行き先を教えたり(地理教示)、受け持ちの居住者の家を訪ねて必要な防犯指導を行なったり(巡回連絡)、キックボードで危ない走行をしたり、手で携帯電話を使用して自転車を運転している人を見つければ、指導したり必要なら交通切符を

      • 小説「女三四郎と呼ばれた巡査」2

        2 花菜、特錬生に選ばれる  術科指導の向田は来年で勇退であるが、自分の時代の最後にどうしても花菜に特錬生として活躍してもらいたいと望んでいた。それも彼の同期である須賀田との約束でもあったのだ。警察を含む地方公務員も近年六十定年で退職金を得て完全に辞めて(警察から足を洗って)他の職に就くか、それとも四分の一くらい減額されてもそのまま警察署に留任するか、辞めて再度嘱託(給与は半額)で働くか三パターンを選べるようになっている。向田も須賀田も奇しくも赴任が布施警察署であった。当時

        • 小説「女三四郎と呼ばれた巡査」1

          はじめに  この小説は、現代でも何かと女性が生きるのが難しい時代において、何とか「意地と根性」を見せて生き抜いていく一人の若い女性である花菜を通じて、歯を食いしばった戦いを同じ女性の中に見出すことで、少しでも女性として励みや自信を見出していただければ幸いです。 1 令和の時代に「女姿三四郎」登場か  彼女の名前は、須賀田花菜。大卒で二十二歳。一昨年大阪の泉南郡のりんくうにある警察学校に入校した。警察学校では、短期と長期に分かれるが、大卒なら短期課程に属し、高卒や短大であ

        • 固定された記事

        童話「約束」〜将来大人になるあなたへ

        マガジン

        • 小説「ぼくと ぱく しらいし」
          4本
        • 童話「約束」〜将来大人になるあなたへ
          6本
        • SF短編小説「オール・マイティなカード所有者」
          5本
        • 小説「風の仕業(いたずら)」
          10本
        • SF短編集(昔話アレンジ集より)
          3本
        • 小説「キャッチ&リリース」
          3本

        記事

          小説「ぼくと ぱく しらいし」4

          4 まゆみとぱくとぼく  年が改って新年の祝いがまだ冷めやらない頃、ちょうど共通一次が終わった1月15日に片桐さんの母親に呼び出された。「色々有難うございました。吉高さんには本当に感謝してますわ。一次試験の結果は良好みたいです、この調子でいけば本人も二次に望めば本人希望の千葉にいけそうです、本来なら。」そう言えばまゆちゃんはぼくに以前千葉大の農学部について話したことがあった。それが母親曰く、「どうもね本人は違ったみたいなのよ。」どういうことですかとぼくは即座に聞いた。彼女

          小説「ぼくと ぱく しらいし」4

          小説「ぼくと ぱく しらいし」3

          3 ぱくとぼくとまゆみ  ある日それは夕方の時刻でそろそろバイトを終えようとしていた頃だった。いつものように文庫本からコミックや専門書コーナーなどひととおり本の整理を終えたぼくは最後に「学習参考書コーナー」に入っていた。そこは文房具コーナーと隣接していた。一人の女子高生の姿が目に入っていた。彼女はほとんど場所を変えていなかった。世界史の関連本を扱う棚の前にいて、それも一冊の本に特別興味を覚えている風だった。そのコーナーは、Z―KAIの速読英単語や英語の本が棚に集められた右

          小説「ぼくと ぱく しらいし」3

          小説「ぼくと ぱく しらいし」2

          2 ぱく しらいしとぼく  ぼくのバイトは、著名な本屋さんでお客さんが手に取って置く時に生じる本の乱れを整理する仕事。dodaだったかtownworkだったかバイトルだったか忘れたけど、バイトを探すアプリの中でたまたまその仕事を大学の仲間といる時に見つけて気になっていた。ちょっと変わった仕事だなぁ、でも面白いかもという興味があったから仲間に伝えておいた。実際に申し込んだのは大学の3人の仲間の一人で、大きめのスマホを持っていた吉田だった。遅まきながらメールの部分をLINEで

          小説「ぼくと ぱく しらいし」2

          小説「ぼくと ぱく しらいし」1

          まえがき  ぼくはこれまで幾つかの短編小説を描いてきたのだけれど、描いているうちに自分の作品はどちらかといえばSFに近いものだと気付くようになっていました。処女小説である「風の仕業(いたずら)」も実際に中年男性が堂島地下やアバンザ(現在転職してぼくはこの小説の舞台になった辺りで働いている)で、独身女性に声かけられるなんてことはまず有り得ないことだし、「ホーチミン・シティ」という小説もそこに出てくるグエンが日本人の子供だということは有り得ても、父親と再会して室生寺に詣でるなん

          小説「ぼくと ぱく しらいし」1

          童話「約束」〜将来大人になるあなたへ

          6 あとがき  いろいろ不思議な話をあなたにした分けですが、この間息子が彼の今住んでいる家からひょっこり現れて、手土産みたいな物を置いていったそうです。  母は今年九十六歳になるんですが、頂いた物は一度仏壇に供えたりします。もう一つの物は私の姉(彼の伯母)宛てでした。それは自分がこの家で十年住んでいたこと、その時に世話になった人へのお礼の印ということでした。何だか水臭い話と思う程ですが、これは彼にとってみれば一つのけじめというか、区切りなのだと思いました。ちょうど父の七回

          童話「約束」〜将来大人になるあなたへ

          SF短編小説「オール・マイティなカード所有者」5️⃣

          ピンク・ダイヤモンド鉱石の採掘と夢のような話  ヘリの操縦は女性だった。オーストラリア生まれの長身の三十代の女性で、耳にはシャネルのイヤリングをして、髪を後ろに結びポニーテールにしていたが、胸のあたりまで長いと想像した。操縦はそこそこ経験を持っているとのことだった。ただどういうこともこの地では起こり得るわけで、彼女の隣には副操縦士として、これまで我々をジェットで日本から運んでくれたパイロットの安藤さんがその任務を引き受けることになった。  広大な砂漠地帯を2名の操縦士以外

          SF短編小説「オール・マイティなカード所有者」5️⃣

          SF短編小説「オール・マイティなカード所有者」4️⃣

          4 二人の緊急nextステージ(そして見知らぬ街へ)  僕は期待感でいっぱいになっていた。そして2022年の末に僕のもとにLINEで筧社長(僕に最強カードを作ってくれた人。彼は既に系列子会社だけど社長だったんだ!)から連絡が届き、まず原石については社長も「すこぶる関心があるので一緒に行きましょう」それからコインについては「僕も貴方の言うとおり、手で触ってみなくては気が済みません。なので一緒に値打ちがあって、触れる物を見つけましょう」というどちらかと言うと積極的なものだった。

          SF短編小説「オール・マイティなカード所有者」4️⃣

          SF短編小説「オール・マイティなカード所有者」3️⃣

          3 宇宙の中のちっぽけな人類  どうして地球に住む人間というか、人類は進歩というものがないのだろう。地球を平気で汚すし、限界のある物を使い尽くすし、直ぐに戦争を始めるし。およそ高貴な生き方なぞ出来ないのではないか。それは自分の命が限られているからか。だから命のあるうちに夢を実現してしまおうと無理にでも現状を変更しようとしたり、自暴自棄に陥って破滅的なことをしてしまうのだろうか。僕はそう思いたくない。思いたくないけど、時々絶望的になって考えてしまう。でも結局は真剣に考えても阿

          SF短編小説「オール・マイティなカード所有者」3️⃣

          SF短編小説「オール・マイティなカード所有者」2️⃣

          2 人間の言葉が解る犬   ここで僕の彼女に登場してもらおうと思う。彼女の名前は、柳田宇沙子。きっとウサギの化身じゃないかと思っている。前世はウサギだったと思う、きっと。別にぴょんぴょん跳ねるとかいうんじゃないけれど、仕草がウサギなのだ。実際には高校生の時にはハードルで全国大会で上位の成績を取っている。だからか僕よりも脚が長いし背も高い。それにとても可愛い。惚気るなって?確かににそうだけど、彼女はその特別な能力を持った犬の声を聞き分けているのだ。今、ロックこう言ったよ、と教

          SF短編小説「オール・マイティなカード所有者」2️⃣

          SF短編小説「オール・マイティなカード所有者」1️⃣

          はじめに  この短編小説は、本年(2023年)9月に予定されている「第37回福島正実記念SF童話賞」に応募したものですが、本来高校生以上を対象にした作品であるので、対象を小学生高学年に切り替えた結果、本文中の例えば「ラブホ」は「ネカフェ」などと一部表現を変更した次第です。 1 世界に一つしかないクレジット・カード  誰も信じないかも知れないけれど、僕は今「世界に一つしかない」クレジット・カードを持っている。ひょっとして自分も持っているとあなたは言うかも知れない。16桁の数

          SF短編小説「オール・マイティなカード所有者」1️⃣

          青い空の下 青い海は果てしなく続く

          青い空はどこまでも続くよ だけれど時に哨戒は他に転ずることがある 青い海も深く 青い空を映す いつの間にか我が身体(み)は 深い海の中に沈んでゆくけれど 青い空は遠く はるか上空に浮かんで見える お前達には この島を守って欲しいと願っている 今ここに 水中深く 探査機で潜って来たのは 全く理由がない訳ではない 全ての望みを絶って来たとしても  我が息子よ 娘よ 妻よ 父よ 母よ 声は届いていないと嘆かないでくれ ただ静かに耳を傾けて欲しい 海はどこまでも ただ

          青い空の下 青い海は果てしなく続く

          童話「約束」〜将来大人になるあなたへ⑤

          5 夢  あなたは夢を見ますか?大リーガーの大谷選手のように将来何をするか、という夢ももちろん人生設計を組み立てていく上で大事なことなのですが、僕は実際に寝ている時によく夢を見ます。気にかかる夢については、起きたら大体それをメモしておきます。なぜなら人は忘れる生き物だからです。というよりそれ程印象に残っているからなのですが、最近見た夢の中でいくつか気になったことがあります。  一つは、観音立像の夢。中々そのような観音様の夢は見ないものですが、この間台湾大学の大学院に在学中

          童話「約束」〜将来大人になるあなたへ⑤