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エッジコンピューティングによってIoTが加速する中、 利用者側として考えていくこと

古い産業に勤めているぼくとしては自主的にテクノロジーに少しでも触れて視野を広げていこうと思っている。自分が見聞きしたものを1-2分で読める備忘録として書き留めていく。

今日はIoTについてちょっと学んでみる。

先日展示会に行ったときにセンサー材料を製造しているメーカーのブースにいくつか立ち寄った。どの会社もIoT社会への貢献とか、IoTを全面に出していた。

最近耳にすることが多いIoTはどんどん身近な存在になりつつある。Internet of Things の略語だが、日本語では「もののインターネット」と訳されていて何となくしっくりきていない感じがする。平たくいうとものやモノづくりをインターネットにつなぐということ、色々なものをネットにつながることだと思っている。

もともとIoTを提唱したのはケビン・アシュトンという研究者で、専門はRFIDの研究。RFIDの技術も今ではタグとして色々な場面で応用されていて、例えばユニクロなどが良い例だろう。RFIDタグの普及にはたくさんのモノにタグをつける関係で一点あたりのコストダウンが盛んに行われていて、ラベルやタグの印刷に使われるチップや導電性の材料の進化が進んでいる。

IoTの考えではものがネットに繋がったらどうなるか?というコンセプト設定がある。ものをネットにつなげるためには、まずはものの状態や稼働状況を吸い上げる仕組みが必要で、そのためにセンシング端末やデータを処理する技術が盛んに開発されている。

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まずものからデータを吸い上げるにはどうすればよいか。僕たちの体に例えると心電図を図ったり、レントゲンをとったり、血液検査を受けたり、色々な情報を吸い上げるための仕組みが必要になる。

ものの場合、IoTの進化のために必要なデータを吸い上げるためにまずはセンサーが必要になる。世の中には色々なセンサーがあって、およそ取れないデータはあまりないといってもいいかもしれない。

ぼくたちが使ってるスマホにも色々なセンサ―が入っているし、料理道具だったりエアコンだったり既に日々の生活に溶け込んでいるものもある。

位置 ⇒ GPSセンサー
距離 ⇒ 距離センサー(光や超音波で測定)
速度 ⇒ 加速度センサー(エアバックにも使われる)
角度 ⇒ ジャイロセンサー(手振れ補正にも)
光  ⇒ 人感センサー(トイレの流し、リモコンなど)
画像 ⇒ イメージセンサー(スマホ、車載)
温度 ⇒ 温度センサー(エアコン、PCなど)
湿度 ⇒ 湿度センサー
重さ ⇒ 圧力センサー(体、計量)
磁気 ⇒ コンパス(カーナビ、スマホ)

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こういったものを組み合わせればデータ自体は吸い上げられるようになるが、今度はそのデータの処理が課題となる。

ずっと全てのデータをとりっぱなしだと取得できるデータは膨大になることは容易に想像がつく。例えば駅の改札の映像を高精度なカメラで撮影すれば写っているもの全てが記録されるわけだが、膨大なデータの保存と分析が必要になってしまう。

IoTのプラットフォームを提供しているサービスのほとんどはクラウド上でデータを管理、分析することで動作している。

一時期全てのデータをクラウドで管理という流れがあったような気もするが、全ての情報をクラウドに送って、分析してまたデータをこちら側に戻すにはデータの転送のタイムラグが発生するし、転送するデータの量が非常に大きなものになってしまう。

膨大なデータの中で本当に必要なデータというのは限られていて、そういったものを事前に調べらないか?という発想が出てくる。

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そこでデータをクラウドにぜーんぶネットで送る必要あるの?ということで、クラウドに情報を上げるまえに、モノの方である程度データを厳選したり処理したものをクラウドに転送した方がよいということになる。

これがいわゆるエッジコンピューティングという概念。エッジというのは際、もっとも端っこということで、データをとる現場側ということを指す。

よりリアルタイムで分析して判断をしていくには端末側、もしくはクラウド上ではないところでのデータ処理ができる状態を目指した方がよいという考えが進んでいて各社開発に力を入れている。

センサーとクラウドネットワークの間に別のコンピュータをおくことでデータを転送する量を圧倒的に減らせるし、速度も上がるのでリアルタイム性を求められるような分野では有効だと言われている。

例えば車の自動運転や発電所や石油プラントなどがイメージしやすい。あとはセキュリティなどもそうかもしれない。全ての車からデータをクラウドに転送して、それぞれ最適な分析をして自動運転や運転サポートをするのは無駄が多い。それぞれの車でデータ処理をしていき、クラウドがそれをサポートしていくようなやり方であれより処理速度があがってリアルタイム性をあげられる。

システムとしては全てクラウドでつながっている状態ではあるけど、処理については個別の端末やローカルのコンピュータで分散して処理していくような仕組みがこれからいろいろな産業で普及していくことが想像される。

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テクノロジーについてはどちらかというと疎いぼくがはじめてエッジコンピューティングという言葉を聞いて何となく理解していくと、これは何か似ていると感じる。

それはぼくたちの会社組織。会社のヒエラルキーによく似ているのだ。社長が全ての生の情報をもらっても処理できる脳をもっていないし、適切な判断を下すには現状を把握するところから考えるととても時間がかかる。

なので社長は役員、部長、課長、担当者とヒエラルキーを組織としてつくりあげて仕事を分散して処理していく。末端で処理できるものは処理していくことで大きな組織を動かしていく。

もう一つ似ているのはぼくたちの体の構造。ぼくたちには様々な臓器がそろっている。脳が司令塔ではあるが、それぞれのタスク処理はそれぞれの臓器がになっていたり、腕や足などパーツも分かれている。複雑な役割を担うパーツが血管でつながっていてまるでインターネットのように複雑な仕組みで構成されている。

IoTはまちがいなくこれからも発達していくが、会社組織やぼくたちの体に欠陥があることからすると、それは完璧なものにはならないだろう。

末端組織の働きに欠陥があったり、臓器が病気で機能しなくなったら体全体がダメージを受ける。

IoTであらゆるものがつながった世界が実現した時にそれぞれの端末や分散処理の仕組みが破壊されたりウィルスに侵された時、全ての仕組みが破壊される可能性もある。そういったところについても今様々な会社は研究や開発を進めているのだ。外科手術的な手段から、ワクチンのような内科的な処理を行うことなど、IoTの世界でもいろいろな手段が考えられていて、更なる開発が進むとみられている。

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もう一つ、IoTを有効に使うために重要なのはIoTの技術をを使うぼくたち利用者の方だ。

何のデータを取りたいのかという目的意識と、やりたいことを実現するために適切なデータをとっているかどうかというのが明確にないとただ無駄にデータを集めているだけになる。

ぼくも会社の開発部門と一緒にIoTのプラットフォームを提供する会社に何社か来ていただいて会ったことがある。

だいたいの場合、IoTの導入でできることの例を提供してくれて、どういったことが可能になるか?ということをプレゼンしてくれるのだが、ぼうの会社の開発や製造部門の方がまだ妄想のレベルを出てなくて、具体的なアイディアや思いが不足していることばかりだった。

IoTプラットフォームを提供する会社がツールとしてセンシング技術を紹介してくれているのに、それを使ってどういったタスクを処理したいのか、解決したいのか。そういったものを導入してどういったものづくりの未来を実現したいのかという真剣さが足りなかったりする。

IoTのプラットフォーマーたちはツールは提供してくれるが、何をしたいかはこちら側次第ということも大きく、興味本位で接触する段階から一歩進んで、自社の課題解決にどう役立てられるか?という視点が必要だと感じる。

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InformationとDataは違うものと考えられる。Informationはただの情報。そういったものをただ集めても何だかよくわからないことになってしまう

Informationを使ったり意味を与えることにしてDataにしていくには人間による方向性付けや意味づけが必要になってくる。ただし人間も不完全で、色々なバイアス、ようは思い込みがかかってしまう懸念がある。例えば都合の悪い情報は無視しようとして自分の理論を正当化する情報ばかりを集めようとする。

なのでIoTにAIを応用することでより意味のある情報になるのではないかと考えた。その情報をどうするかという判断までAIに委ねていいかはまた別の課題がある。

ぼくたちはセンシングとIoTの技術でどんな未来を実現していくのだろう。

そんなことをIoTに触れてかんがえた。

一応、以下にIoTについてわかりやすく概要を教えてくれているウェブサイトのリンクを貼っておきます。

Keiky.


[参考]

※注:この「テクノロジーに触れるシリーズ」は先進的なテクノロジーに疎いぼくが、そういった世界に意識的に触れて自分の見識を広げていくことを目的としています。その分野に詳しい方にすれば当たり前すぎる内容となっていますのでご容赦ください。初心者的な内容になっていますので、そういったテクノロジーを「利用して導入していく側のフツーの会社の人の記事」としてお読みいただけますと幸いです。

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