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Vol 3. ラップ アフリカン!        ★自分達の文化の純度を上げ、新しいスタイルを作りあげる。

  ★コンゴ民主共和国 首都 キンシャサ! 

キンシャサの夜の街は何もかもが濃い。
街は暗闇の中に浮かび上がる。
音と光、車と人の洪水。街がうごめいている。
闇に包まれるアフリカ熱帯ジャングルの都。首都。  
       Kinshasa ! キンシャサ!!  

 "今を 楽しめ、この瞬間を楽しめ、深く濃く味わいつくせ!
                                                             
そう 聞こえる。

 "おい お前 マネージャーだろ お前言えよー。”
  ”あいつはリンガラ語わかるだから、お前が言えよー。”
  ”お前は マネージャーだろっ。お前 言え。”
        おいおい みんな 聞こえてるんだけど、、、。

 "うるさいなーさっきから。騒ぎ過ぎだろ。”
と、私。
”なんだ今日はマタンガ(葬式)か?さみしく静かーにしてないといけないのか?ほらこうやって楽しいムード盛り立ててるんだぞ。”
  イイねー さすが!アンタたちの答えだ!😀
 3人のラッパーのバンドのビデオクリップもなかなかいい。金がないので派手にできずで、現実を映し出してドキュメンタリーという感じでいい。
夜中の帰りのタクシーの中でグダグダ 言ってたなぁ。あいつら。
     人生はジョークだ!ドラマだ! La vie est belle! 

 しかし、今のキンシャサの若者達の会話のリンガラ語、半分以上、
理解できない。曲の歌詞を書いてもらったが、30代後半のまともな?大人に見せると、全然わからないと言う。まあ どこも一緒かー。

 その夜、ゲットのたまり場でみんな集まって 一人がスマホから音楽流し、みんな、耳を澄ませ聞き入る。今 一番流行ってる曲だ。みんなで歌う。踊る。こうやって同じビートで踊るとみんな喜ぶ。仲間だってねー。音楽とダンスは国境がない!一緒に踊れば繋がれる!

 地元のゲットーに住む若者達と一緒に遊んでいると、今の アフリカの世界が見れて面白い。彼らが教えてくれる 見ている世界、未来の世界、、。そして彼らの音楽。
 確かに 表面的にはアフリカの伝統のものは少なくなり近代的?西欧的?になってるが、例えば、あのカッコ良すぎるダンスはもちろんだがあの独特の声、リズムの細かい取り方 グルーブのし方 生きるエネルギー。そんなアフリカの核となるようなもの、そうアフリカの遺伝子がしっかり流れてるって感じるのは、やっぱキンシャサの夜の街を彼らと共に歩き廻ったからだろうか。

 ラップはその時代、そこに生きる若者の声を代弁しているようでもある。
  ”主義主張を声高に叫ぶだけじゃ衝突するばかりだ。自分の思いをメロディーにのせて、ラップにして音楽として伝える方が楽しく早く伝わるんだ。” 
  
  ”誰かがなんとかしてくれるなんてもう甘い期待はとっくに消えた。
 俺たちはこの不条理な世界を強く生き抜いていくしかない。
 俺たちは兵士だ。何があっても前進あるのみ。毎日が闘いだ。”
                    
 アフリカはルワンダの虐殺、南アのアパルトヘイト、アンゴラの内戦、今も続くコンゴ民主共和国の戦闘、虐殺など、苦しい過去の記憶や過酷な現実が未だに続いている。
 その現実に飲み込まれることなく、たくましく生き抜いている彼らは、さらにその果てに新しい何かを見つけ、対立、分断のその先を歩いているようにも思う。
 
 

”他人や社会の汚れを批判するより、自分達が新しいスタイルや、生き方を示し実行することだ。それが、世界に向けての大きなアピールになるのだ。”


 そして、ラッパーは歌う。
”アフリカ人は 貧しくても心が豊かで笑顔でいつも明るい。いいかげん、よしてくれよ。そのワンパターン。同情はいらない。俺達はマテリアルリストなんだ。”
 
 今更、アフリカに現代人が失ってしまった素朴さや純粋さのようなものを求めるようなヒューマニズムはとうに終わっている。
 
 アフリカの新世代は独自の音楽と世界のいろんな音楽を融合させ、新しいアフリカンミュージックを生み出そうとしているグローバルでローカルなムーブメントなのだ。

★あの濃厚な空気 熱気 匂い、エネルギー 、爆音 、危険度!       すべてが渦巻く停電の闇の街に自分の身を置いていたからこそ
 味わえる体感!実感! 生きてる感”!!


★CONGO RAP (R.D.CONGO)

  

 

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キンシャサ、ゲットーのたまり場



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