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雨夜星工房雑記

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本当にただの雑記です。 きまぐれで続いたり続かなかったりします。
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2018年10月の記事一覧

氷草(ひそう)について

氷草(ひそう)について

鉱物の整理をしていたら雲母の隙間に青々とした草が生えているのをみつけた。
元々こんなのは無かったので多分これはいきもの。

早速図鑑で調べてみたところ、これは氷草(ひそう)又はすきま草と呼ばれる鉱植物の仲間だそうだ。
胞子で増えて花は付けず、根が殆ど無く、葉で栄養を吸収し、隙間を好む。
隙間が好きなのに光合成をするのは、この鉱植物の生息地が元々凍った池だからだ。

この鉱植物が繁茂する池は氷が溶け

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落花星(ラッカセイ)のお話

落花星(ラッカセイ)のお話

先日友人から不思議な鉱物を貰った。
カバンシ石のような形の庭水晶…?
「脱脂綿に水染み込ませてその上に転がしてみ?」
と言われ、一日放置した。

なんと芽が出た!
これは落花星または落下星(らっかせい)と呼ばれる鉱植物らしい。(落花生ではない)
しかも土が無いこの状態で花までつけるという。
栄養状態が良ければ木などに巻きついて長く伸び、秋には星のような実を木の枝に沢山つける。
キラキラ光る実はカサ

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甲蠃宿(ガゼヤドリ)のこと

甲蠃宿(ガゼヤドリ)のこと

この前久々に海に行って変なものを拾った。
写真を見ての通りカシパン(ウニのご親戚)の殻から芽が生えているのである。
何ともシュールな…
次の瞬間には採取用鞄に突っこんでお持ち帰りしていた。

図鑑によるとこれは甲蠃宿(ガゼヤドリ)といって、ウニやカシパンの殻を借りる鉱植物なのだそうだ。
甲蠃とはウニの古い呼び名であるらしい。
小さいうちは海の底で育ち、夏になると一斉に海面へ上昇する様はクラゲを思わ

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戻石について

戻石について

今日は自宅周辺からちょっと離れてハイキングコースのある森を探索してきた。
雨の直後だったのでどんぐりは割れてしまいあまり拾えず…
ただ、木の根元に面白い物を見つけた。
ぼんやりと緑色の光が見えたので最初は蛍かと思ったが、もう蛍の時期ではないしここは川からも遠い。
近寄ってみるとそれは鉱植物だった。
石寄草かな?と思ったが、よく見ると丸い年輪があるし葉の形も見知った物ではない…

図鑑によると、これ

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そもそも鉱植物とは

そもそも鉱植物とは

本日は鉱植物とはそもそも何かという解説をしていきたいと思う。
…書きはじめたは良いものの、実は鉱植物とそこらの植物というのはほぼ変わらない生物であるのは有名な話だ。
光合成をして水を必要とするのはもちろん、水に溶けだしているケイ素を体内に取り込んで特定の細胞の細胞壁に蓄積し、ガラス質の細胞体を形成するところも一緒だ。(植物によって濃度は違う)
ケイ素は植物体内で濃度が過飽和すると「植物オパール」と

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ハグルマソウのこと

ハグルマソウのこと

鉱植物の品種改良をしていた時代があったというのを皆様はご存じでしょうか。
ハグルマソウもその一つで、産業革命のさなかひっそりと作られてなかば捨てられるように野性化した鉱植物だそうです。

名前の通り歯車を作るために土中の金属を好んで蓄える鉱植物を品種改良したもので、根の部分には歯車の形をした塊茎があり、これを研磨することで歯車として用いる事が出来たそうです。
ただかなり問題点があったようで、歯数が

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石寄草のこと

石寄草のこと

ミネラルショーなどで買ってきた鉱物の整理をする。
ラベルを貼りなおしたり適当な箱を見繕ったりするのがとても楽しいのでちょくちょくやってしまう。
量り売りの鉱物を瓶詰めに…あれ?芽が生えてる…
それが私の鉱植物との出会いでした。

これは石寄草(いしよりぐさ)といって鉱物と植物の中間種であり、石に擬態した植物でも石に生える植物でもないのです。

発芽していない状態だとそこらの鉱物に混じっていても気が

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アンモナイトに寄生する鉱植物について

アンモナイトに寄生する鉱植物について

引き出しに仕舞っておいた幾つかのアンモナイトから芽が出ていた。
なんだ石寄草か…と思ったが、よく見ると全てアンモナイトの殻の出口から芽が出ている。

石寄草だったらこんなに規則正しく出てこない…じゃあなんだこれ?
少し考えて思い当たる、私は幼い頃古生物図鑑でこれを見た事がある。

その鉱植物はアンモナイトのみに寄生し、絶滅の原因にもなった植物だが自らもアンモナイトに特化したばかりに共に滅んでしまっ

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鑑賞面で創作をより楽しむために

鑑賞面で創作をより楽しむために

私の敬愛する作家さんはよくこんな旨のコメントを受け取る事がある「本物かと思いました、騙さないでください」「子供が本物だと思ったらどうするんですか」等々…作品自体は反社会的な物だったりするわけではありませんし、信じ込んだとして日常には何ら差支えないものです。

私も稀ではありますがそのようなコメントを受け取ります。
こんな時私が気になってしまうのが、本当に作品が好きでその世界に没入している人はそれら

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