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プロ野球球団の経営

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NPBファームリーグ拡大:エイジェック球団の皮算用

NPBファームリーグ拡大:エイジェック球団の皮算用

材派遣業のエイジェックが、NPBファームリーグ拡大構想に対し、栃木県を本拠地に置くことを念頭に参入申請を行うことを、7月18日に正式に表明した。申請を正式に表明したのは同社が初めてである。同社はBCリーグ・栃木球団や社会人野球チームを経営しているが、これらの球団は維持しつつ、ファームリーグに算入する新球団を設立することを目指す。

記者会見では、新球団が参加を認められた場合の数値的な目標を発表した

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NPBファームリーグ拡大に関する野球協約上の諸課題②:現在明らかになっているスキームと野球協約の関係

NPBファームリーグ拡大に関する野球協約上の諸課題②:現在明らかになっているスキームと野球協約の関係

ファームリーグ拡大の枠組みについて、報道で色々と明らかになって参りました。その内容をまとめた上で、それぞれの内容が野球協約の関係条文とどのようなつながりがあるか、整理してみますね。おかしなところがあれば教えてください。

新規参入団体数

新規参加球団数は「2球団以上」
現在ウエスタンリーグは5球団・イースタンリーグは7球団で構成。球団数を偶数にすることが目標(NPB井原事務局長)としており、審査

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NPBファームリーグ拡大に関する野球協約上の諸課題①:野球協約の建付けのお話

NPBファームリーグ拡大に関する野球協約上の諸課題①:野球協約の建付けのお話

NPBはファームの球団数を拡張することを正式に表明し、2024年または2025年からの参入を希望する事業者の募集を開始した。現在ウエスタンは5球団・イースタンは7球団と、いずれも奇数となっている状況を是正し偶数にすることを目指すという。

この動きに対し、本稿執筆段階において、BCリーグ所属のアルビレックス新潟、九州アジアリーグ所属の火の国サラマンダーズ、東京の投資会社・ハヤテインベストメント社が

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NPB球団 2019年・2020年売上高比較

NPB球団 2019年・2020年売上高比較

NPB球団の2020年の決算が少しずつ明らかになっています。以前のエントリーでは決算公告から読み取れる純利益の額を比較しましたが、報道や親会社の決算から、一部の球団の売上高も見えてきました。
コロナ禍の2020年、プロ野球球団が収入面でがどれだけの打撃であったのか、日本ハム・広島・西武・DeNA・阪神の例です。

単位: 億円 (* : 推定値/ ** : スポーツ事業セグメント全体)

日本ハム

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プロ野球球団2020年決算第1弾

プロ野球球団2020年決算第1弾

プロ野球球団のうち12月期決算となっている6球団の2020年度決算が出そろいました。(日本ハム・楽天・ロッテ・ヤクルト・広島・DeNA)
コロナ禍で大打撃を受けたプロ野球各球団、どの程度のインパクトがあったのか、6球団の決算公告から数字を拾いました。

まずは利益(単位:千円)

4球団が赤字を計上しています。特に広島は前期4.87億円の利益から、29億円超の損失に転落しています。
一方でDeNA

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西武ホールディングス決算からライオンズ関係を読んでみる

西武ホールディングス決算からライオンズ関係を読んでみる

西武ライオンズの親会社である西武ホールディングスは、今日(2021年5月13日)に2021年3月期決算(通期)を発表しました。
ライオンズ関係の数字やトピックを拾ってみました。

※下記のページ番号は、同社プレゼン資料(2021年3月期 決算実績)のページ番号です。

P.5:年俸の一部を特損に計上セグメント別営業利益のページに、事業別の特別損失の内容が記載されています。ライオンズは「その他」事業

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広島東洋カープ2020年決算を読む。

広島東洋カープ2020年決算を読む。

あけましておめでとうございます。2021年のプロ野球が開幕し、3カードが終了しました。皆様お元気でしょうか?私は贔屓球団が連敗を重ねており、スポーツニュースが始まると、瞬発的にチャンネルを変える日々です。

2020年はプロ野球の経営にとってまさに厄年でした。
無観客での開幕に始まり、ようやく観客を入れることができるようになっても満席での興行はできない。入場料収入が大幅に減る一方で、感染対策のため

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プロ野球:親会社の台所事情はいかに?

プロ野球:親会社の台所事情はいかに?

プロ野球のペナントレースもあと1か月と少し。波乱の2020年シーズンも終わりに近づいてまいりました。10月26日にはドラフトが行われるなど、来シーズンに向けたチーム作りの動きが始まる時期ですね。

このオフは選手にとって厳しい動きが多発する可能性があると想像できます。感染拡大防止を目的とした観客数の制限により、各球団とも台所事情は大変厳しいのは明白。各球団の売上の約40%を占めるといわれる入場料収

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NPB:観客数制限の球団経営への影響を推計する

NPB:観客数制限の球団経営への影響を推計する

7月10日から観客が入るようになった2020年のNPB。観客数が制限され、応援も声を出せないなどの制約はありますが、やはり観客がいた方が盛り上がりますね。本来であれば、8月以降は20,000人まで観客を迎える計画でしたが、感染拡大が収まらないために、8月いっぱいは観客数を5,000人までに制限して試合が行われます。この状態はいつまで続くのでしょう。。。

状況が改善しなければ、球団経営への影響はよ

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プロ野球球団は入場料でどれくらい稼いでいるのか?

プロ野球球団は入場料でどれくらい稼いでいるのか?



 プロ野球。8月1日からは観客の上限を5,000人から20,000人に増やすことが計画されていましたが、感染の拡大に伴って中止となりました。私も8月1日に観戦予定だったのですが、チケット強制取消の憂き目に遭いました。誠にもって遺憾であります。
 球団も無観客・観客制限により大幅に売上を落しているこの事態に、そろばんと大福帳を前に頭を掻きむしっているところでありましょう。
 この収入減のインパク

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プロ野球球団の経営の健全性

プロ野球球団の経営の健全性

 2020年のプロ野球もついに、というかようやく開幕を迎え、やきうファンの皆さんの生活も忙しくなってきたかと存じます。試合日程に合わせて予定をコントロールし、贔屓球団の成績に一喜一憂する日々が戻ってきたことは、同慶の至りでございます。ですが、開幕当初は無観客からの観客数制限という事態。席数が限られるうえに、感染の不安もあって現地観戦もままならぬ。完全に常態に戻るのはいつのことでしょうか?それともも

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