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退職エントリ:11年強勤めた外資ITを辞めるエバンジェリストが、そこに至った想いを(可能な範囲で)書いてみた。

この度2022年9月30日をもって11年3ヶ月勤務したF5ネットワークスジャパン合同会社を退職することになりました。どうも、ネットなどを見ているとこういう時に「退職エントリ」というブログ記事を書くのが流行り(?)っぽい。で、ミーハーな僕は早速それに乗っかって、退職エントリを書いてみたいと思います!

今までやって来たこと

エバンジェリストとはどんな仕事なのか。多分同職にも幾つかバリエーションがあると思いますし、企業や業態によっても多少違いはあると思うのですが、大まかに言うと、僕の場合はこんな感じです。

  • 啓蒙活動:自社の認知度向上や、その技術の有用性を広める

  • スポークスパーソン:会社の顔として社内外のイベントや顧客訪問などでプレゼン・講演したり、メディア・自社ウェブサイト・SNSなどを通して情報発信

  • コンテンツ作り:マーケティング活動に活用される様々なコンテンツやメッセージングの策定、自社のお偉いさんが基調講演する時向けの資料作り

  • 市場動向調査:市場トレンドや市場規模推移の分析

  • アナリスト・リレーション:市場調査会社との窓口、アナリストとの関係構築

これらを、日本含む14カ国向けに行うのが僕の仕事でした。

例えば、日本でこんな対談記事対応をしたり、

コロナ禍でデジタルコンテンツの需要が増えると、こんなビデオも自分で収録したりもしますし、、、

はたまた、自分の推進したプロジェクトがアジア発でグローバルプログラム化され、↓のようなヨーロッパ地域のウェビナーにもゲスト登壇したりもしました。この時のスピーカーは、ノルウェー人、フランス人、イギリス人、そして何故か僕www

とまあ色々な仕事を多岐に渡って従事したのですが、僕は今の職場、仕事に対する満足度は非常に高い方である、と自認しております。当然資料作りやプレゼンの内容の事前社内調整、議論を戦わせる、反対意見との折衝など、地味な作業も星の数ほどあります。「ジョブタイトル:エバンジェリスト」というのは、一見キラキラな印象を持っている方も業界内にはいらっしゃいますが、泥臭い、地味な作業に割く時間もかなりのものです。膨大な時間を使って調べ物して、自分自身の中での壁打ち、社内でのレビュー、プライベート時間でも考え事やコンテンツ制作のヒントを急に思いついてメモメモしたり、など全て総合するとかなり時間を使って作るのがコンテンツ。そのコンテンツはオンラインのダウンロード資料だったり、自社のお偉いさん用プレゼンだったり、自分自身のプレゼンだったりするわけです。シンドい場面も幾らでもありますが、やっぱり自分が携わったコンテンツが評判良かったり、オンライン・オフライン問わず視聴者や聴講者が「わかりやすかった」「ためになった」など前向きな反応をしているのが見えると、心の底から嬉しいし、「頑張った甲斐があった!!!」と達成感もすさまじいものです。

僕の、このエバンジェリストに関する自分なりの考察はこちらのブログにまとめているので、もしエバンジェリストについてもっと知りたい、というかたがいらっしゃいましたら是非覗いてみてください。

コロナ前の話ですが、アジア各地に飛んでいって基調講演させて頂いた機会もたさくんありました。

ジャカルタ
シドニー
香港

辞める理由

はい、それじゃあなんで辞めるのか、っつー話ですよね。

細かい理由を挙げ始めると終わらないので、特に重要な点だけまとめますと、以下のような感じです。

一つの会社の在籍期間が長すぎるとリスキー

今の職場も大好きですし、人間関係も良好。でも、ですね。僕は幸か不幸か外資系企業でキャリアを積んできております。基本ルールは、自分のキャリアは自分で設計する。その中で、様々な会社に所属しながら順次スキルや経験を積んで、自分の価値を上げていく。そんな世界です。その中心となるのが職務経歴書です。言い換えると、自分の職務経歴書をいつ何時でも、誰に見られても、誰に説明を求められても、自身を持って答えることができて、そして自分のこれからのキャリアの道筋を説明できる状態に常にしておく。これが、生きるための最重要ポイントだと思っています。そんな中、今の会社は在籍期間が11年強。本当に楽しく、ガリガリ仕事してる証左であるわけですが、やっぱり客観的に、俯瞰的に見て、自分の在籍期間に対してどれぐらいの進化・成長が胸を張ってできているか、を考えてしまったわけです。

今の会社に在籍している間に世の中は劇的に変わった

前項の裏返しとなるポイントですが、特に、マーケティングの人間として、最新トレンドなどを語る仕事であるエバンジェリストとして、説得力ある経験とスキルを磨き続けている、と言い切れるかどうか、と考えた時に、もう少し違う経験や(同じITの中でも)少し違う領域の経験を積むべき、と判断しました。僕が今の会社に入社したのは2011年です。まだ当時は例えばAWSとかMicrosoft Azureなんて世の中に出てきたばかり。それが、この11年でそういったパブリッククラウドサービスはIT業界の中心地になってしまいました。他にもAIや機械学習、ローコード・ノーコード開発、DevOps、アジャイル開発、デジタル化、DXなどなど。重要な業界のトピックが一気に変わった11年です。もちろん、僕もエバンジェリストとして、そういった話題と自社の事業領域がどのように繋がっているか、どのようなトレンドがどのような形で自社の技術に関連していくか、といった話をずっとしてきています。それでも、自分は本当に業界の変化の中心をしっかり捉えられているかというのは常に自問自答していました。そして、もしかしたら不十分なのでは、だとすれば、そこを補完するためには自分が動いて異なる経験も積むべきなのでは、とも考え続けていたのがここ数年のことになります。

去年話題になった「45歳定年説」

これも前項の延長線上ですが、昨年、サントリーCEOの新浪さんが発言した「45歳定年説」が大きな話題になりました。

そんな中、奇しくも僕は先月まさにその年令に到達したんですね。やっぱりこの先のキャリアデザインも考えてしまいます。確かに↑の記事でも解説されている通り、この新浪さんの発言が炎上したのは「年功序列前提の感覚からするとショッキングだから」というのもあります。一方、外資の感覚って少し年功序列とか終身雇用のような発想から外れた世界ではあります。それはそうなんですが、、、それでも、やっぱり改めて自分のキャリアを考えるタイミングなのかな、と思うわけです。

一方、ありがたい事に嬉しいお言葉もたくさん頂きました!

長々と書いてしまいましたが、他にも色々転職を決めた理由はあります。ほっとくと3時間くらいウダウダ喋れるぐらい。(←うざっ!!!www)でも、重要なポイントは概ねここに書いた項目になります。ここまで散々書いてきました通り、今のF5という会社は大好きです。もちろん完璧な人間なんていませんが、それでも上司も尊敬していますし、人間関係も良好ですし、お陰様で社内向けに退職アナウンスが発表されると数々の勿体ないお言葉を連絡いただきました。社内チャットツールであるMicrosoft Teamsは数十分間鳴り止みませんでした。

<<日本編>>

  • 「(悪い顔でニヤリと笑い)エエ話あったんか?!」

  • 「野崎さんのエバンジェリストは天職ですよ!!」

  • 「またレジェンドが1人減っていきます。。。」

  • 「(口頭で伝えた時、フロア中に響き渡る音量で)ええええええええええ(ry」

  • 「旧き良きF5erが、、、」

  • 「どちらの芸能事務所に行かれるんですか?(多分LinkedIn TOP VOICEをかなり勘違いされている)」

  • 「野崎さんが動くということは、そおおとおお良い話があったんですよね!(なぜハードル上げたし)」

<<海外編>>

  • 「なぜじゃ!(泣いてる顔文字10個ぐらい)」SGの女子ーズ

  • 「ヤダよおお寂しいよおおお!!!」SGの女子ーズ

  • 「何があった?!」多数の皆様

  • 「11年勤めて退社?許可は得られないと思うんだけど?w」オーストラリアの同僚

  • 「許さん。絶対に許さん。」ノルウェーの一番仲良い同僚

  • 「一つの時代が終わったな。。。」米国本社のとあるVP

  • 「言葉が出てきません。。。ただただ成功を祈ります」米国本社の市場調査担当ディレクター

  • 「うちの会社の中で、あなたの超絶進化を見れて本当に素晴らしいと思った。会社にとっては本当に痛手だけど、心から成功を祈ります」米国本社のプリンシパル・エバンジェリスト

もちろん、後ろ髪は引かれる想いです。でも、やっぱり温かい周りのメンバーに囲まれていたとしても、キャリアはキャリア。自分の道を進めるため、転職するべきタイミング、と考えた次第です。

そんなわけで、次のステップに進みます!

新しい会社のことについては10/2以降に発信を始めます。(たぶん10/1初日はバタバタしていると思うので、、、)LinkedInのプロファイルの更新もそのタイミングで行います。新しい会社になったら少しこのNoteのタイトルやプロファイルも刷新して、新たな情報発信を始めようと考えておりますので、引き続きお付き合い下さいませ!


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