JAMPの試行錯誤③:JAMPの事業-ヒトとモノの最適化

JAMPの試行錯誤⓪:はじめに」で書かせて頂いた通り、全6回の「JAMPの試行錯誤」では、ステークホルダーの皆さまとオープンな「試行錯誤」を行なわせて頂くため、JAMPプラットフォームのあり方や目指す方向について、私が現在考えていることを様々な切り口で共有させて頂きます。

今回の「JAMPの試行錯誤③」では、私たちJAMPが金融機関・事業者であるお客様に提供しているサービス内容やその事業領域、現在の状況や方向感についてお話させて頂きます。

JAMPの金融事業支援サービス

「金融業界を最適化する」というミッションを果たすため、私たちJAMPは金融業界におけるヒトとモノを最適化するサービスを金融機関・事業者のお客様に提供しています。

ヒトの最適化:
 構造的な問題のうち「高度金融専門性の偏在」問題に対応するため、私たちJAMPは、高度専門性に不足する地域金融機関やスタートアップ企業、一般事業会社等のお客様に対し、所属専門人材の専門性や機能を提供させて頂いています。
 必要に応じて、必要なだけ利用頂くことが可能なFaaS(Function/Financial Expertise as a Service)という形で提供しており、例えば、まだ立上げ期や企画段階であるようなスタートアップ企業や一般事業会社等が、週1-2回というパートタイムであったり、3か月間限定であったりといった柔軟な形で、専門性や機能を利用頂くことが可能です。
 いまはコンサルティングや業務委託という形での提供のみになりますが、今後は人材派遣や投資助言など、利用するお客様のご要望に応じた形で利用頂けるよう、必要なライセンスや体制を整えていくことを予定しています。

モノの最適化:
 また、「硬直的な事業運営モデル」問題にも対応するため、JAMPは専門人材や機能といったヒトのみならず、システムや事務、非金融ノウハウなど、実際に事業を運営するために必要なモノについても、パートナー企業と連携し、開発・提供を行ないます。
 このようにモノもJAMPプラットフォームを通じて提供することで、新しく金融事業を立ち上げる事業会社や小規模で事業を運営するスタートアップ企業が、効率よく金融事業を開発・運営できる仕組みを構築することを目指しています。

「首都圏事業」と「地方事業」

金融事業に必要なヒトとモノの提供といっても、「金融機能の創造」を担う金融機関に対するサービスと、「金融機能の提供・仲介」を担う金融機関に対するサービスは、その種類や内容は異なります。

例えば、「金融機能の創造」機関のひとつである投資運用会社においては、最も不足している高度専門性・機能は、コンプライアンスや金融バックオフィスである一方、「金融機能の提供・仲介」機関である地域銀行においては、投資運用や金融システムの専門性が不足している傾向があります。

これは、地域によっても異なっており、地方における金融機関の多くが「金融機能の提供・仲介」機関であるのに対し、首都圏において専門性・機能に不足している金融機関の多くが「金融機能の創造」機関であるという大きな傾向が見られます。

そのため、私たちJAMPは、主な事業領域を「首都圏事業」と「地方事業」のふたつに分け、それぞれに対して必要な専門性・機能を効率よく提供するようなプラットフォーム構築・運営を目指しています。

足もとの状況と今後の方向性

JAMPプラットフォームとしての活動を開始したばかりの足もとは、所属専門人材などの経営リソースの制限もあり、主に「首都圏事業」に注力しています。そのなかでも、特に東京都の「国際金融都市・東京」構想に沿うような形で、新興資産運用会社の立ち上げや、海外金融機関の日本における事業立上げに対して、私たちのコンプライアンスやAML/CFT対応等の専門性・機能の提供を行なわせて頂いています。

一方、「高度金融専門性の偏在」問題は、東京から地理的にも離れた地方においてより顕著であり、多くの地域金融機関が、その構造的に問題のために困難に直面している状況が見られます。そのため、私たちJAMPは、経営リソースを確保し、年明け以降すみやかに「地方事業」も本格的に稼働できるよう準備を進めています。

最終的には、「金融機能の創造」「金融機能の提供・仲介」といった役割に関わらず、また、首都圏や地方といった地域に関わらず、全ての金融機関・事業者が、その事業立上げや運営を効率出来るような事業環境を、JAMPプラットフォームを通じて実現したいと考えています。

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