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スタートアップに20%ルールって必要?

こんにちは。大西です。最近チームメンバーが少しずつ増えて来て11名体制になりました。創業者の観点からは嬉しい反面、また新たな人生を背負うという責任も感じるというのは私だけではないと思います。でも、やっぱり嬉しいですね。
 
さて、リルズは、創業時からいわゆる20%ルールを適用しています。業務の中の20%は直接業務に関係ないが将来的な会社の成長につながる活動を許可するというものです。これは随分以前からGoogleが実践している制度として有名ですよね。詳しい方なら「いまさら古いっ!」と思われるかもしれませんね。そもそも、スタートアップに20%ルールって必要なのでしょうか?
 
答えは、「そんなの分かりません、会社によると思います笑」だと私は思います。少なくとも私たちには必要でした。
 
最近リルズにジョインいただくメンバーのみなさんと話すと、この20%ルールに魅力を感じていることを良く聞くようになりました。なぜこのようなルールを設定したのかについて、本ブログで共有できたらなと思っています。


なぜ20%ルールを始めたの?

リルズの20%ルールは、Googleが昔からやってるから私たちもやってみようというルールドリブンで始めた制度ではありません。Googleが実際どうやっていたのかを細かく調べてもいません笑。明文化したのは創業してからおおよそ半年後だったと思います。というのも、実はリルズでは明文化されていない時から自然な形で20%程度を新たな知見の獲得や研究などに当てることが日常的に行われていました。機械学習の研究者とエンジニアのアカデミックな3名がいろいろな形で日々学んでいる姿を毎日見て過ごしました。その活動をWork Rulesとして明文化しただけということになります。
 
ちなみに私は創業期、未来につながる基礎学習は0%で、次から次に降ってくる足元で必要な学習100%という状態でした笑。資金繰り、商品企画、目先の売上確保、社労士・税理士とのコミュニケーションなど圧倒的な量と質を求められる一人スーパーブラック状態で週90時間ぐらいは事業に時間を割いていたと思います(もちろん、他のメンバーはホワイトです!)。創業者も20%ルールを適用してました、という綺麗なストーリーではありません笑。

何かを学ぶ余裕もなく事業全振りの時代

私にとってラッキーだったのは、私以外の共同創業者3名が機械学習の研究者とエンジニアであったことでした。私とは完全に専門性が違います。あまりに専門性が違うので、必然的に研究と開発以外の業務は全て私がやるという明確な役割分担ができていました。そのため、この3名の活動はある意味これまで個々が元々持っていた良い習慣やスタイルを維持しやすかったのではないかと思います。
その結果、業務の合間に、三度の飯と同じように読書をしたり、新たな研究をしたり、実験したりするシーンを横で見ることができました。きっと創業時、いろんな不安や葛藤もそれぞれ合ったと思うんですが学ぶことだけは継続してくれて、それが今のカルチャーになり、本当に感謝です。

ベイズ輪読会

2週間に1回程度だったと思いますが、早朝に社外の人含めて「ベイズ統計の理論と方法」の輪読会が行われていました。大塚さん(研究者)と西銘さん(エンジニア)が開催していたと思います。最終的にその輪読会の成果を本としてコミケに展示したことを聞いた時は、いやほんとすごいなと驚いたのを覚えています。1冊献本してもらいましたが、読んでも全然分かりませんでした笑。でも、謝辞で私宛にオフィスを貸してくれてありがとうというメッセージがあったのはとても嬉しかったです。

左が教科書、右がコミケに出展した成果本
("しにわからん"、というのは、沖縄の方言で"とてもわからない"という意味)

新しい技術の習得

現CTOのクバさんは、良く隙間時間で新しい機械学習モデルのテストや実験をしていたようです。出張移動中もずっと何かのドキュメント読んでるし、新しい技術の習得活動が体に染み付いている。私はといえば、次から次に専門外の新しいテーマが降って来てその度に強制的に何かを調べたりする日々。スイッチングコストを恐れてなかなか頭が切り替わらず新しい学習に取り組めない。クバさんは意思が強くて頭の切り替えが上手だなーといつも感心していたのを覚えています。

私の習慣を変えた大切なカルチャー

今回の話題で重要なのは、「個人の成長につながる学習を、習慣化する」ではなく「圧倒的な業務量があるようなシチュエーションでも、個人の成長につながる学習を、習慣化する」です。
本当お恥ずかしい話ですが、このように創業期からメンバーの20%ルールのような活動を横で眺めていて、圧倒的な忙しさを言い訳に自分が一番成長の努力をしていないことに気がつきました。そして3名のメンバーに引っ張られるように強制的に自分の学習を始めたのを覚えています。とは言っても当時は足元の業務量が半端なく多くて、多分体感3%とかだったと思います笑。スタートアップ創業期は足元が最も大事で転けたら即終了。でも、ご飯はちゃんと食べますよね、息は吸いますよね。そのため、ご飯を食べる、息を吸う、というライフラインのカテゴリに学習を含めることにしました。そしてなぜか大塚さんの机にあった「これからの強化学習」の本を自分も買って読んでいたのは良い思い出です。このように、かなり極限状態で自分の習慣をメンバーに影響されて変えてきたのは、特に最近のステージではとても役にたっています。例えば、足元と未来のテーマに関する検討を1時間単位で簡単に行ったり来たりすることができるようになりました。UIの細かいレイアウトや振る舞いの仕様を検討した後に、すぐ3年先の事業計画の検討をできるようになりました。メカ設計の防水構造について議論した直後、資金調達のプランを検討できるようになりました。脳のスイッチングがうまくいくようになったんですかね。創業メンバーのおかげで大西ver2.0になれたような気がします。
 
このように日々の業務と直接関係ないように見える活動が実は、習慣に作用し、直接の事業に大きく影響するということを体感しています。個人の能力を自分の興味のある分野でそれぞれ自然に伸ばしていく活動。スポーツに例えると基礎練習がそれに当たるのかなと思います。このような個人を伸ばす継続的な活動を通じて、最終的に商品企画の時の質の良いフィードバックにつながったり、安定したクラウドサービスの提供につながったりあらゆる局面で「質の高さ」という恩恵を得られていると感じます。
 
私はテニス愛好家でして、自分の理解のためにどうしてもスポーツに例えたくなります。例えば、「試合沢山出るだけだと試合勘は身につくけど今まで勝てなかった相手に勝てるようにはならないよ。」と言われたのを思い出します。至極当たり前のことなんですが、筋トレやランニング、ボール出しによるショット練習など、1つ1つの動作パフォーマンスを上げる努力をしつつ、試合に出る。この繰り返しにより始めて成績が上がっていくものだと思っています。頭では分かるんですが、時間的な制約が強く発生する中で、すべてを継続するというのは私のような凡人にはとても難しいんですよね。社会人になりたての頃、テニスの全日本選手権に出場したことがある方(スーパーアマチュアの私からすると雲の上の方)とごはんを食べた時に「社会人になって忙しすぎて家に帰ってくるのも0時ごろだし週末も仕事だし練習の時間が取れない」と言ったら「え、でも寝てるよね?睡眠時間ゼロじゃないよね?0時から何でランニングしないの?」と笑いながら言われたのを思い出しますがその当時は何を言われているのか全く分かりませんでしたが、最近は良く分かります笑。
 
このように20%ルールを私は「基礎練習の習慣化」と捉えていて、三度の飯と同じように取り組むべき内容だと肌で感じましたので、ルールとして策定しました。

圧倒的な量の事業活動の前提では、スポーツのように基礎学習を習慣化させるのは難しい

 以前、株主と沖縄でランチした時に「20%ルールを策定している会社は他にもあるけど、実際リルズのように本当にカルチャーとして根付いていて運用できている会社はほとんど見たことがない」とおっしゃっていました。今まで共有した通り、ルールを作る前から私を除くメンバーが取り組んでいた活動によって根付いたカルチャーだと思いますのでこれからもこのカルチャーを大事にしていきたいと思います。
 
最近では英語学習の時間に充てるメンバーもいます。おそらく忙しくて「うぅ、なかなか時間が取れない」と苦悶しているメンバーもいると思います。でも安心してください、私もそうでした。三度の飯と同じだと考えれば、きっと習慣にできます。みんなでこのカルチャーを正解にするべく一緒に育てていきましょう!

最後に

 スタートアップはとにかく次から次に課題が降って来て忙しい。そんな中でも個人の成長につながる活動をしたい、でも中々できないなと思っている方に少しでも参考になれば嬉しいです。

リルズでは、現在仲間を絶賛募集中ですのでご興味のある方は以下よりご連絡ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。


 

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