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設備故障を未然に防ぐ新たな手段。完全無線型サーモグラフィカメラを提案する背景とその理由

みなさんこんにちは。早いもので目視の巡回点検のリモート化を実現するリルズゲージをリリースしてから3年が経ちました。この3年間、製鉄・石油化学・ガス・建設・施設管理などなどあらゆる現場のみなさまと一緒に課題解決に取り組んでいます。このような取り組みの中で、2023年8月に新商品となる完全無線型サーモグラフィカメラ LC-T10を発売開始しました。今回の新商品がどのような背景で産まれたのか、どのような課題を解決するのかについて簡単に紹介したいと思います。


なぜ、サーモグラフィなのか

なぜ、サーモグラフィカメラなのか。それは、サーモグラフィカメラによる点検のリモート化は、五感点検のリモート化をさらに一歩進める手段の1つだと考えたからです。現場の日常点検は、五感を使って行います。そのうちの大半が目視であり、国土交通省提供の建築保全業務共通仕様書を元に独自に分析すると目視の項目は87%にものぼります。このような分析から当社のリルズゲージはまず目視の巡回点検のリモート化に取り組みました。 しかしながら、お客様から「リルズゲージによって点検の省力化ができたが、聴覚・嗅覚・触覚などを使って点検している箇所もあるから完全なリモート化にはまだ課題がある」という声をいただくことが多く、次は録音機かな、という構想はありました。

視覚以外の点検が少しでも残っていると完全リモート化とはならない

しかしながら、お客様の声を整理すると共通項があることに気づきました。

  • ベアリング摩耗していないか異音を聞いている(聴覚)

  • 分電盤がショートしてないかハンディのサーモで普段は見ているが、念の為焦げた臭いがないかも気にしている(嗅覚)

  • 蒸気配管が詰まってないか触診している(触覚)

このようなケースでは温度を確認するために聴覚・嗅覚・触覚を使って点検していることが多いということが分かりました。
このような結果から、聴覚・嗅覚・触覚それぞれをセンシングするサービスを検討する前にまず赤外線によって温度情報をセンシングするサービスを提供すると解決できる課題が増えると考え、完全無線型サーモグラフィカメラ LC-T10を提供開始したのが背景です。

完全無線型サーモグラフィカメラLC-T10

現場の課題

このような現場の情報から、設置保全の課題の一つに火災があることが分かります。令和3年中の建物火災の出火件数は1万9,549件であり、その内8.4%を占める1,639件が工場・作業場での火災件数です。現場では、このような火災が発生しないように未然に防止する活動に日々取り組んでいますが、火災は昨年比で184件増となっており増加傾向にあり、日常点検などの状態監視に有効なIoTやAIを活用した解決策の選択肢がまだまだ少ないのが課題です。

令和3年中の建物火災の火元建物用途別の状況
※令和4年版消防白書を元に弊社作成

解決できる課題

LC-T10は、昇温管理をリモート化し、機械故障の未然防止または出火などの事故防止に役に立ちます。LC-T10は、従来のLiLzのIoTカメラと同様、1日3回撮影で3年連続動作するため、電源工事不要・ネットワーク工事不要で手軽に昇温管理のリモート化が可能になります。カメラ設置後、スマートフォンやタブレットなどで特定場所の温度推移を把握することができます。場所の特定はクラウド側で数の制限なく設定できるのも特長です。

LC-T10で撮影した画像をLiLz Gaugeで昇温管理するイメージ

従来方法との違い

従来の昇温管理としては主に以下の3つがあります。

  • ハンディ型のサーモグラフィカメラ

  • ドローン型のサーモグラフィカメラ

  • 温度センサー

昇温管理の現状よくある選択肢

LC-T10では電源工事不要で、手軽に「定点」で温度情報を管理できるため、従来方法と比較して特定場所の昇温管理が実現しやすくなります。例えば現在の現場ではハンディ型による点検が非常に多いと体感していますが、ハンディ型の場合、人が必ず同じ位置で確認するとは限らないので時系列のデータとして温度推移は把握しずらくなります。

LC-T10の特徴

 このように、昇温管理にはLC-T10が最適です。クラウドサービスであるLiLz Gaugeと連携して手軽に点検対象の温度の推移を把握することができるようになります。

目視以外では、定点サーモグラフィカメラが有効

最後に

現在20社を超えるお客様から有益なフィードバックを頂いており、今後サービスをさらに改善・改良していきます。

LiLzはこのような商品開発を一緒に進める仲間を募集しています。ご興味持っていただけたらぜひご応募ください。


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