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サッカー選手の腹圧を高めるゴブレットスクワット

こちらがゴブレットスクワットです。


ダンベルを体の前で持って行うスクワットで、バーベルを使用したバックスクワットの導入として行われることの多いエクササイズです。

僕が指導をするときに必ずといっていいほど行うエクササイズで、もちろんスクワットの導入やw-upという目的持たせることもありますが、それよりも腹圧を高めながら動く・力を発揮するためのエクササイズとして実施しています。


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■腹腔内圧

腹圧(腹腔内圧)はその名の通りお腹の中の圧力です。

PITTOCK ROOMの記事の中でも何度か触れられているトピックですが、つい先日腹圧に関して先日安江さんが記事を書いていますのでご覧ください!


①胸腔と腹腔

人の胴体部分に着目すると、大きく

・胸腔
・腹腔

に分けて考えることができます。

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上図のように横隔膜によって胸腔と腹腔は隔てられています。腔というだけあってそこにはスペースがあり、胸腔の中には肺や心臓などの臓器が、腹腔の中には胃、腸、肝臓、腎臓といった臓器が詰まっています。

横隔膜は上に凸のドームのような形をしている膜のような筋で、息を吸うとドームが下がり、息を吐くとドーム型に戻ります。

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胸腔と腹腔を比較してみると、胸腔はその外壁(胸壁)が肋骨で形成されているのに対し、腹腔の外壁(腹壁)を形成しているのは主に筋である、という違いがあります。

胸腔は肋骨で囲われ、その底面に横隔膜がある構造になっています。
腹腔は上面を横隔膜、横を腹筋群や背筋群、底面を骨盤底筋と呼ばれる筋群で囲われた構造です。

そのため胸腔を構成する胸壁は骨によって構造的に安定しているのですが、腹腔を構成する腹壁は筋活動がコントロールされていなければ安定性を確保することができません。
腹腔のある腹部と腰部は、後方にある背骨で支えられていますが、腹壁がないと心許ないですよね。

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腹腔のある腹部・腰部周囲、いわゆるコアの安定性を獲得できていないとサッカーのパフォーマンスに影響が出るのは、以前の記事で書いた通りです。



②腹部の安定性を獲得する 腹圧と筋活動

腹部・腰部(コア)の安定性を獲得するために大きく分けて2つの方法があります。

①腹筋・背筋を収縮させる。
②呼吸により横隔膜を下げ、腹腔内圧を高める。

お腹をパンチされた時、僕たちは腹筋にギュッと力を入れます。
これは腹筋を固めて内臓を守ろうとする動きですが、その時のように腹筋に力を入れるのが①です。

壁が硬くなれば構造上の強度が上がることは想像できると思います。

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しかしこれだけでは不十分です。


呼吸によって横隔膜のドームを下げながら腹筋・背筋を適切に活動させることで腹腔内圧(腹圧)を高めることができます。

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息を吸い横隔膜のドームを押しさげ腹腔の圧力が高まることでお腹が膨らみます。
ただ腹壁が広がるだけだと圧力が逃げてしまうので、腹壁の収縮によって横からも圧力をかけてあげることで腹腔内圧(腹圧)を高く保つことができます。

この時お腹を前方だけに膨らませるイメージではなく、360°膨らませつつ腹筋を収縮させることが重要です。

また息を吸っても吐いても腹腔内圧を保てるようにしたいところで、そのためには息を吐いた時にもお腹を膨らませ、腹筋を活動させることが必要です。


・呼吸で横隔膜を下げて腹腔内圧を高める
・腹壁の筋を収縮させて圧力が逃げないように制御する

これによって腹圧を高めコントロールすることができます。


腹筋をどれだけ収縮させるかはどんな運動をするかに左右されます。

高重量のウェイトトレーニングを行う際には腹圧を非常に高く保つ必要があるので、呼吸で横隔膜を下げつつ腹筋・背筋を強く収縮させます。

しかし今回紹介するゴブレットスクワットや自重でのエクササイズや走る・跳ぶ・蹴るなどの運動ではそれらに要求されるだけの腹筋の収縮を行って、必要なだけ腹圧がコントロールされることが大切です。
常に殴られたときや高重量のウェイトトレーニングをするときのようにギュッと腹筋を収縮させて腹圧を最大まで高めようとする必要はないわけです。



■立位で腹圧を高めたい

はじめに紹介した安江さんの記事では腹圧を高めるエクササイズとしてこのようなエクササイズを紹介してくださっています。

このエクササイズのポイントは、ここまで書いたように

・息を吸ってお腹を膨らます(360°膨らますように)
・息を吐いても膨らんだ状態を維持
・その状態で足を動かす

です。

膨らませる際には下腹部の脇を膨らませる感覚を持ちつつ360°膨らませるように行ってみてください。

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以下のエクササイズも上記のエクササイズと同様にお腹を膨らませ腹圧を高めて行うことで同様の目的を持って実施することができます。
背中と床との間に隙間ができないようにしましょう。
隙間ができてしまう人は手のひらを挟んで押しつぶすようにやってみてください。



こられのエクササイズは仰向けの状態で行っています。
ここからさらにこれが立った状態でもできなければなりません。
そして動きながらでもできなければならないわけです。

これは最初は難しいですが、慣れると会話をしていても維持できるようになります。
立位で腹圧をかけて維持するというのは先日開催しましたM.Y. trainingさんのオンラインセミナーやYouTubeでも触れられた話です。



そのための方法として本記事のタイトルでも挙げましたゴブレットスクワットを使います。


■ゴブレットスクワットと腹圧のトレーニング

ゴブレットスクワットは以下の手順で実施します。

①ダンベルを胸の前で持つ。
 脇を閉めて下から支えるように。

②息を吸いお腹を膨らませて腹圧を高める。
 腹圧を維持した状態で、腿が地面と並行になるまでしゃがむ。

③ボトムポジションでも腹圧を抜かない。
 息を吐きながら、しかしお腹の力は抜けないように立ち上がる。

ゴブレットスクワットでは体の前面でダンベルを持つことや脇を閉めて肘が軽く上がることにより腹圧を高めやすくなります。

その状態で腹圧を抜かずにスクワットを繰り返すことで、腹圧を立位でコントロールし動くトレーニングとなります。
しゃがみ始めた途端に腹圧が抜けたり、ボトムポジションに近づくと腹圧が抜けたり、ということはよくみられるので、そこに注意して行ってみてください。


最初から立位で腹圧を高める感覚が掴めない場合は、安江さんの記事にある腹圧を高めるための呼吸のエクササイズをやってみてください。



■腹圧が高められないと体幹トレーニングも意味が半減。ウェイトトレーニングは「できない」

一般的に腹筋やクランチと呼ばれるエクササイズ。


こんなエクササイズも。

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こういったものも。

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スプリントやキックも。


腹圧がコントロールできるかどうかで基本的なエクササイズはもちろん実際のパフォーマンスにも大きく影響します。

クランチやプランクなどの腹筋や体幹トレーニングと呼ばれるエクササイズを行う時に、腹圧をかける場合・かけない場合で比較してみてください。
もはや全く違うエクササイズと言っていいほどの違いがあります。

もちろん実際のスポーツ動作であるスプリントやキックの時に腹圧に意識を向ける必要はなく、それは無意識下でコントロールされるべき部分です。
そのために今回のゴブレットスクワットなどで腹圧をかけて動く感覚を落とし込んでいく必要があると考えています。


またウェイトトレーニングを実施する際には怪我の予防や適切なフォームをとるためにお腹を膨らませて腹圧をかけることは必須です。
極端な言い方をすれば腹圧がかけられないならばやらない方がいい、くらいに考えていいと思います。
それくらい大切だと考えています。


■まとめ

腹圧を高める、コントロールすることは最も重要な基本の1つです。

これができていなければサッカーがうまくならない、というわけではないですが、少なくともこれができていないとトレーニングの質は下がります。
それは結果的にサッカーのパフォーマンスが低下しているとも言えますよね。

まずはゴブレットスクワットや仰向けでの呼吸の練習から取り組んでみてください!


今回はここまでです。
ありがとうございました!



ライター

Keisuke Matsumoto

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