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「社会の角度を一度変えたい」わざわざ平田はる香さんから、過疎地のまちづくりで学べること
6月29日、『山の上のパン屋に人が集まるわけ』を出版した、わざわざ代表の平田はる香さんが「つの未来会議」@都農町に!
きっかけはマザーハウス副社長の山崎大祐さん。ぼくらが直面する都農高校跡地活用の件でヒントがあるんじゃない?と誘われ、4月に長野県東御市のわざわざを訪問。
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超コンパクトな店に、パンをはじめ、ちょっといい品々が溢れんばかりに顔を並べるMDの魅力。
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3万人の町で、山の上にこれだけの人を集め、年商3億のビジネスまで展開している平田さんの経営戦略に聞き惚れました。
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都農町をはじめ地方の小さな町で「ちょっといいものがある店」や「新しいコト」を起こそうとチャレンジしている人たちに、勇気倍増してほしいな、と思い「つの未来会議」への登壇を平田さんにお願いし、ご快諾!
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当日は熊本・大分・鹿児島から含めて68名の参加、過去最多にびっくり!
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1.山の上のパン屋に人が集まるわけ
最初に平田さんから、わざわざのご紹介。
わざわざは、長野県東御市(とうみし)、人口3万人の町で、パンの工房で焼いた2種類の食事パンを中心に、自分たちが使ってよいと思ったものをセレクトした2,500種類の定番商品を扱ってます。
商品選びの選定基準は5つ。つい、マジメにガチガチで決めてしまうところ、絶妙な曖昧さが持続させるコツだなぁと学びました。美味しいや面白い、楽しいが正義。
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初めての人には気になるわざわざの名前の由来も。過疎地だからと卑屈で、肩に力はいって変に魅力をアピールしがちだけど、素直に感謝が一番か。
私たちのお店は公共交通機関で来られない立地にあって、車でしか来ることができません。最寄りの駅から歩いて一時間。標高700mで駅からずっと山道、そんな場所まで、「わざわざ来てくださって、ありがとうございます!」感謝の気持ちを込めた店名にしています。
4つの実店舗と2つのECのチャネルで同じ商品を販売。
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2009年に1人でパンを焼きはじめ、週1回の開店で200万円の売上からスタート、2017年に法人化、2020年にはコロナでもECがのび、売上3億円を突破。
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4月に見せてもらった石窯。平田さん自ら大工さんと一緒につくったときいて愕然。27種類あったパンも2種に絞り込み、店頭、冷凍でEC、飲食、菓子へと廃棄を出さないしくみ。
試行錯誤のほんのさわりを聞いただけでも、小さく一人ではじめながら持続・発展させるナレッジの宝庫でした。
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20坪のお店は自己資金600万円で!それなら都農町でもできそう!と勇気をもらえる一方で、平田さんのDIY力ハンパないので要注意。
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600万円のうち、水道で200万円、電気で200万円必要だったため、大工さんには200万円だけ(苦笑)。
「200万円じゃ家は絶対建たないよ、屋根、壁、基礎、柱、屋根まではやってあげるけど」と大工さん。
その後、私一人でつくっていったのですが、子どもが2歳でなかなか苦しく、10ヶ月ぐらいかかってオープンしました。
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屋根裏?階段から階段、、。隠れ家のようなエンターテイメント性あふれる空間と、平田さんからつくり手の思いたっぷりの商品紹介。ぼくの買物かごは気がつくと満タンに。笑
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2.スローガン「よき生活者になる」
わざわざをはじめることになった原体験のお話。
子どものころから身体が弱かったんです。原因がわからず辛かった。本を読んで生活を改善していったら、薬がいらなくなり、20歳のころには元気に。
いま、死亡原因の52%は生活習慣病、半分以上が生活由来なんです。女性の平均寿命は89歳で健康寿命は77歳。12年病気がち。
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そんな原体験を踏まえて、平田さんに実現したい未来がでてきたそうです。
「体にいいから食べなさい」は響かない。「美味しいね!」と言って食べてたら健康になっちゃった、が一番いいですよね。
環境意識が高いのも面倒くさい。友達から「え、そんなプラスチックのボトルのもの飲むんだ」とか言われたら友達やめたくなるじゃないですか笑
「この店美味しいね」で買ってたら、結果、健康になって、環境にいいことして、地域の人の暮らしに役立つ店が理想。
平田さんの本に「おいしいは正義」と書いてあったけど、とてもわかりやすい軸だなと深く共感。
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コロナになって外出できないとき、いまやるべきことは会社の道標をつくることと考え、会社のビジョンやミッションを言語化した平田さん。
『人々が健康である社会へ』
をビジョンに決めました
そのために私たちの会社はなにをミッションにすべきかを考えて、
『人々が健康であるために、必要であるモノ・コトを提供する』
それをうけるお客様たちは、
『わざわざでサービスを受けると、安心』
というバリューを提供
働いている人たちはどういうスピリットかというと、
『すべては誰かの幸せのために』
自分自身も大切だし、地域社会も取引先もすべて大切。
お客様にどうやって伝えようかと考えて
『よき生活者になる』
スローガンとしました。
ビジョンは会社だけでは実現できないので、お客様と一緒に健康になっていきましょうよ!という意味でスローガンが一番大事です。
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この日の数日前に、わざわざがB-Corp認証を受けたと平田さんからご報告。利益を株主のためだけでなく顧客・働く人・供給者・地域社会・環境に分配すべきとするB-Corpと、「すべては誰かの幸せのために」と考える平田さんの経営は、ぴったりフィットしますね!
3.社会の角度を一度変えたい
平田さんに、これからのわざわざについて話していただきました。
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目指すのは「社会の角度を一度変えたい」
ユニクロやセブンイレブンは強烈な力で社会を180度ぐらい変える力のある会社だけど、私ができるのは一度ぐらいと思ってます。一度は一見小さいけど、遠くにいくとどんどん広いて角度が大きくなっていきます。
いま私が一度変えたら100年後にすごい変わる。
2023年の1月、もっと、みんなの役に立つために、利便性のある場所に、もっと便利な店をつくりたいと「わざマート」をはじめた平田さん。
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良いものがサッと買えるというコンセプト。
コンビニと違って「ちょっと良いもの」。ビールならクラフトビール、ワインなら国産のナチュール、添加物のできるだけ入ってないもの、地元の農産物の直売。
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コンビニ+直売所型店舗=わざマート
サッと立ち寄りいいものが買える店。
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できるのは私しかいないと思っています。
いいものをさっと買える店づくりはめちゃくちゃ面倒で難しいからです。
無添加商品は市場規模が小さいので、セブンイレブンで売ろうとしても、会社としてやる旨みがないんです。
小さいものを細々売ったり、生産者との地域連携、細かい物流の構築など、他の会社がやりたがらないことをやるのが大好きな会社がわざわざです。
山の上に店を出すようなマインドの会社なので。
今後、長野県内に30店舗の展開を目指し、まずは、移住者が多い地域にサークル出店を考えている平田さん。
「買物ができない」は東京から地方に人が出て行かない理由のひとつ。移住理由のアンケートで全世代で30%近くの人が「良い店がある」を1位にあげています。
これは、都農町に住んでいて実感。生活必需品に困ることはないけど、くらしを豊かにしてくれたり、買うだけで楽しめる店はありません。
「ちょっといいもの」を扱う店がほしい!と、移住者を中心によく聞くセリフ。都農高校跡地でなんとか実現させたいです。
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4.起業家に必要なこと
平田さんに、これからの成長戦略について話を聞きました。
スタートアップの若い人と議論してたら、「400億の会社をつくる」とか、起業してない人が言うんですよ。「まだ何もやってないだろう」とは誰も言わないんです。「できるかもしれない、がんばれ!」と投資家が言う。それを見てて、未来を想像して解像度高く、きちんと計画を立てた人はやり遂げる可能性が高いんだな、と。
100人に1人かもしれないけど、計画を立てないと土俵にもあがれない、やるべきだと思って、むちゃくちゃ計画をたてるようになりました。
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個人的にこの話が一番印象に残ってます。
自分よりはるかに若い人たちのアクションに刺激を受け、学び、自分の行動を変えてしまうところです。
「良いと思ったことは貪欲に取り入れる」、ぼくも見習います!
5.過疎地のまちづくりに通じるヒント
「DJやってて活かせた経験は?」の質問に、平田さんは即答で「集客」と。
DJはイベント会場を借りるんですが、借りる費用が一晩30万円としたら、1人3,000円のチケットを100人集めないといけません。いかなかったら自腹で払うんです。
いかにして集客できるか。WEBサイトをつくって情報発信、イベント写真やレビュー、掲示板と一種のメディア化をしてました。
フライヤー(チラシ)はいいデザイナーに頼んで、客層があいそうないい店をピックアップしてひたすら配布。
この経験が、パン屋をはじめたときに一番活かせたスキルでした。
開業前1年前からブログを書き続けてオンラインストアにもつなげてます。
過疎地でなにか事業をやるときも最大のネックは集客です。
当日の参加者も一番メモをとる量が多かったように感じました。
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都農町のような過疎地で事業をするとしたら、何を考えるか聞きました。
わざわざをはじめた2009年はSNS黎明期、そこにうまくのっかっただけ。いま同じ手法をとろうとしても無駄。次のことをやらなきゃいけない。
都農町でやるなら、むちゃくちゃ考えないと集客できない。
いまはAI黎明期、最初からAIはくみこんでおくべきでしょうね。
IT×地方の財産で考えないと集客できない。
人口小さければ小さいほど、ITとの掛け算はきくと思います。
有機的なものと無機質なものを掛け算するのがヒットの要因
シナジーはいつも考えてます。「わざマート」は「よき生活研究所」セットで考えてます。両方もっていることが大切、単体ではやっていけません
約2時間のつの未来会議を終え、その後、HOSTEL ALAで2次会。延々深夜まで。さらに翌朝は朝食会から午前中いっぱい地域の人たちが入れ替わり立ち替わり平田さんとの会話を楽しみつつ、多くの学びをいただきました。
都農町をはじめ過疎地のまちづくりをしていくうえで、すぐに取り入れていきたいポイントをまとめて終わりにします。
①小さくはじめて、まず1人でやりきる
②「美味しい、楽しい、面白い」が正義
③面倒くさいことを楽しみ強みにする
④未来を想像し計画の解像度を高める
⑤過去の経験を活かした集客スキル
⑥IT×地域資源の掛け算
平田さん、超ご多忙の中、わざわざ都農町にお立ち寄りいただき、本当にありがとうございました!!!
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