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映画紹介#002「メメント」(2000・アメリカ)前編

友人に週一でおすすめ映画を紹介しています。
前回の作品はこちら。




今回の作品はこちら。

プライム会員は無料で観れます。(2022/07/20現在)


事故の後遺症で記憶障害になった男が、妻を殺害した犯人を追う姿を、斬新なストーリーテリングで描いた異色作。
衝撃的な内容が話題となり、監督クリストファー・ノーランを一躍有名にした出世作。

おすすめ映画を紹介するって意外と難しい。
2回目にして早くも自分のチョイスがちょっとズレてるような気が…。

この作品は映画をよく観る人でも戸惑う内容なので、紹介するタイミングが早すぎたかもしれない。
油断すると途中でついていけなくなります。

それでも、騙されたと思って是非、観てほしい。
世にも奇妙なこの感覚を体験してほしい。
驚いてほしい。
こんな映画、他にない。



【見どころ① 結末から発端へと向かう物語】

主人公のレナードは新しいことを経験しても短時間しか記憶を保つことができない。だから、自分が今どうしてこの場にいて、何をしていたのか、すぐに分からなくなってしまう。

レナードの視点を表現するために、この映画では出来事が本来とは逆の順に遡るようにして語られていく。
それまでの状況が分からないまま1つのシーンが展開し、次にそのシーンより少し前に起きたことが語られる、ということが繰り返される。
やがて断片的な出来事の積み重ねから、徐々に全体像が浮き彫りになっていく。

注意深く見ていくと、ある時点では不可解だった言動の意味にハッと気づく瞬間があったり、逆に、理解していたつもりのことが、突如として全く別の意味を持ち始めたりするのが面白い。
もし2回目を観ることがあれば、その時はもう1回目と同じ気持ちで観ることはできなくなっているはず(それはそれでまた別の楽しみがある)。


【見どころ② 刺青、メモ、ポラロイド写真】

レナードは妻を殺した犯人の手がかりを自身の身体に刺青として刻み込み、出会った人物や行った場所についてはポラロイド写真を撮って、そこにメモを書き込むことで未来の自分に情報を託している。

レナードにとっての現実は、現在の意識とこれらの情報を信じることでのみ成立している。
確かなようで不確かなこの心許なさは、外部に記録された情報に振り回される現代社会を生きる自分たちにとっても、何か似たようなものがあるのかも。


【見どころ③ もう一人の主人公サミー】

合間合間に挿入されるモノクロの回想シーン。
ここで語られるのが、レナードがかつて出会った記憶障害の男サミーの話。
「サミーのことを忘れるな。」とレナードは繰り返し何度も自身に言い聞かせる。
この反復が物語の鍵を握る重要なモチーフとなっている。


これ以上話すと余計な先入観を与えてしまいそうで怖い。
百聞は一見に如かず。
あとは実際に自分の目で確かめてみてください。
そして大いに困惑してください。


後編に続く。


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