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40の「問題解決の方法」他分野の知恵を応用する

問題解決では、自分の頭で考えて答えを出すことが大切です。

でも、すべてを自力で行う必要はありません。

確立された問題解決の方法があれば、それを使って解決アイデアを考える方が効果的で、さらに効率的です。

さまざまな国の多くの特許を調査・分析してつくられた問題解決の方法(40の発明原理)があります。

そんな「問題解決の方法」をご紹介します。

自分の頭で考えて答えを出す

冒頭で述べたように、問題解決では、自分の頭で考えて答えを出すことが大切です。

考えた答えが正解なら、新たな問題解決へのモチベーション(動機づけ)になります。

もし間違っていても、その理由を考えてフィードバックすれば新たな機会につながります。

どちらの場合でも、自分で答えを出せば前に進むことができます。

でも、次のような意見もあります。

『問題って、自分で解決できないから問題になるのでは?』

確かに、そのような考え方もできます。

そもそも問題とは何でしょうか?

まずは、その点から考えてみましょう。

問題とは、目標と現実のギャップ

問題とは、目標現実ギャップといえます。

「こうしたい」「こうなりたい」といった目標に対して、それを妨げているものがあって実現できないという現実があります。

この「目標と現実のギャップ」が問題となって表れます。

そして、目標の実現を妨げているものが問題の原因です。

  • 問題とは:目標と現実のギャップ

  • 問題の原因:目標の実現を妨げているもの

なぜ解決できないのか?

問題が解決できない理由には、つぎの2つがあります。

  1. 問題の原因(目標の実現を妨げているもの)がわからない

  2. 原因を取り除く方法、つまり解決方法がわからない

理由1に対しては、問題分析、原因分析などが行われます。

しかし、本当の原因(根本原因)を見つけ出すことは難しい場合があります。

また原因がわかっても、それを取り除く方法(解決方法)が分からなければ、問題を解決することはできません。それが理由2になります。

こんな風に「問題を解決できない理由」を2つもあげられると、先ほどの『問題って、自分で解決できないから問題になるのでは?』という考え方が正しいように思われるかもしれません。

でもそれは「理由1+理由2」に対して全部自力で対処する場合のことです。

そんな場合に、とても良い方法があります。

「確立された問題解決の方法を使う」という方法です。

確立された方法を使う

問題が解決できない理由1「問題の原因がわからない」は、とりあえず置いておきます。

まずは理由2「原因を取り除く方法(解決方法)がわからない」から対処します。

自力で「方法がわからない」なら、他から持ってきます。

問題解決では「自分の頭で考えて答えを出すことが大切」ですが、解決方法まで自力で考えると大変です。

世界中には優れた知識や知恵がたくさんあります。

世界中の「優れた知識や知恵」を分類・整理することでつくられた問題解決の方法があります。

そのような「問題解決の方法」を使えば、優れた解決アイデアをつくるうえで効果的です。

また「問題解決の方法」を自力で編み出す必要がないので効率的です。

「那由他@発想法、成長論ApB広報」さんの記事『YouTubeフィールドワーク祭22』では、次のように述べられています。

自力で解かなくてはならない問題とは?
よく「自分で謎を解かないと思考力が身につかない」などと言われることがありますが、ApBでは「既存の問題の解き方は答えを知ってからでも学習できる」としているため、その労力は時間の無駄と考えます。
ですが、自力で解かなくてはならない、実践の場もちゃんとあって、それが最先端の新しい問題になります。”

YouTubeフィールドワーク祭22

問題解決は、全てを自力で行うのではなく、解決方法既に確立された方法を利用するのが賢いやり方といえます。

そのような確立された「問題解決の方法」をご紹介します。

40の発明原理

ある研究チーム(※)が、さまざまな国の多くの特許を調査し分析を行いました。

(※) ゲンリック・アルトシューラ―(TRIZの創始者)を中心とした研究チーム

その結果、問題の解決方法には、いくつかのパターンがあることが発見されました。

その各パターンに名称をつけ、整理したものが発明原理です。全部で40のパターンがあり、40の発明原理と呼ばれています。(参考文献1~7)

図1.40の発明原理

非常に多くの工数(作業に必要な人数と時間)をかけて、膨大な特許が分析されました。

「工学・科学・数学など」の分野における優れた解決策を分類・整理することで、発明原理がつくられました。

図2.さまざまな分野の解決策を調査

発明原理は、先人がさまざまな問題解決してきた知恵を集めたものと言えます。

図3.先人の知恵を集めた発明原理

このように優れものの「発明原理」ですが、効果的に使うためには、使い方の解説が必要になります。

現在、発明原理の使い方解説したシリーズ記事を投稿中です。

さまざまな分野の事例を使ってわかりやすく解説しています。

「問題解決の方法」シリーズ

シリーズ記事では、発明原理という言葉は使わずに、問題解決の方法と表現しています。

発明原理とは、発明するための原理です。問題解決で使うのに適切な言葉だと思います。

ただ「発明」「原理」といった言葉が、少し敷居を高くしてしまう可能性があります。

そのためシリーズ記事では「問題解決の方法」というように、直接的でわかりやすい表現にしています。

「問題解決の方法」には、基本方法展開方法があります。

例えば、問題解決の方法【01分割する】では次のようになります。

  • 基本方法:部分に分ける

  • 展開方法A組立て/分解しやすいように分ける

  • 展開方法Bさらに細かく分ける

シリーズ記事では、基本方法と展開方法の使い方事例を使って解説します。

他分野の知恵を応用する

シリーズ記事ではさまざまな分野の事例を取り上げます。

他分野の事例を、自分の分野に応用することで優れたアイデアをつくることができます。
(このようにして、優れた発明が行われてきました)

自分の分野に他分野の知恵を応用することで、解決アイデアの幅を広げることができます。

問題解決の方法【01分割する】でも、いくつかの事例を取り上げています。

その内容を、少しご紹介します。

問題解決の方法【01分割する】の紹介

以下は『問題解決の方法【01分割する】』記事からの抜粋です。


「サイズを大きくすると、邪魔じゃまになる」といった悩みを感じたことはありませんか?

そんな時には【01分割する】が使えます。

図4.分割する

問題解決の方法【01分割する】の使い方を、身近な事例を使って解説します。

記事の最後にはクイズを用意しています。

クイズに答えることで「使い方」の理解を深め、記憶にも残りやすくなります。

基本方法:部分に分ける

「サイズを大きくすると、邪魔じゃまになる」の悩みについて、スマホを例にして具体的に考えてみましょう。

  • スマホでの悩み

    • 画面サイズを大きくすると本体も大きくなり、持ち運びが不便になる(邪魔になる)

基本方法「部分に分ける」を使って、解決アイデアを考えてみましょう。

画面を大きくしたいのですが、画面を大きくすると、本体も大きくなるという副作用が生じます。

そこで基本方法を適用して、画面を「部分に分ける」ことを考えます。

画面を2つに分けると、本体も2つに分かれますから、折りたたみができるようになります。

図5.部分に分ける

その結果、次のような2つの状態を、必要に応じて切り替えることができます。

  1. 画面を見る(操作する)時:画面を広げた状態

  2. 持ち運びする時:折りたたんだ状態

上記の状態では、大きい画面になります。

また上記の状態では、コンパクトになって持ち運びが容易になります。

基本方法「部分に分ける」を適用することで、2つの状態を両立することができます。

クイズ

次のような事例があります。

  1. 建物内の部屋

  2. 電気シェーバー

  3. マルチコア プロセッサ(コンピューターのCPU)

  4. マーケット・セグメンテーション(市場の細分化)

  5. 持ち運びできる自転車

  6. 会社の組織

  7. 手の指

それぞれの事例は、【01分割する】の「①~③」どれに当てはまるでしょうか?

  • 【01分割する】

    • ①「部分に分ける」(基本方法)

    • ②「組立て/分解しやすいように分ける」(展開方法A)

    • ③「さらに細かく分ける」(展開方法B)

クイズの答え

1.建物内の部屋

【答え】:①「部分に分ける」

壁で仕切ることで「リビング/ダイニングキッチン/寝室/浴室/トイレ」といったさまざまな用途に使えます。
プライバシーの保護にもなりますね。

2.電気シェーバー

【答え】:③「さらに細かく分ける」

「さらに細かく分ける」の解説のところで、ヒゲソリの刃が「2枚刃→3枚刃→4枚刃」と変化してきた例を取り上げました。
電気シェーバーでも、同様の変化が生じています。


【01分割する】のご紹介は、以上です。

文字数が多くなってしまうので「使い方の解説」では、基本方法「部分に分ける」だけをご紹介しました。

「クイズの答え」も一部だけをご紹介しました。

記事全体は、シリーズ記事の「次の記事」をご覧ください。(記事の最後にあります)

アイデアは形にして初めて理解できる

『確立された方法を使う』のところでは、次のように述べました。

  • 問題が解決できない理由1「問題の原因がわからない」は、とりあえず置いておく

  • まずは理由2「原因を取り除く方法(解決方法)がわからない」から対処する

ここまで「理由2の対処法」を説明してきました。

最後に、理由1の対処法を説明します。

問題解決では、問題の原因を見つけて、それに必要な策をとることが大切です。

原因ではないところに対策しても、効果が得られないからです。

そのため、問題の解決アイデアを考えるに、まずは問題分析を行って原因を見つけるようにします。

しかし実際には、原因を見つけることが難しい場合があります。

また原因を見つけても、それが真の原因かを判断できないこともあります。

そのような場合は、「理由2の対処法(確立された解決方法を使う)」が有効です。

問題の原因分析が難しい状態でも、まずは「問題解決の方法」を使って解決アイデアを考えてみます。

アイデアを思い付いたら「短い文で書く」「簡単なにする」ことで見える形にします。

例えば、紙やホワイトボードなどに「書く/描く」ことで、自分や他の人にも見えるようにします。

そのように見える化することで、初めて「自分はこんな形で(こんな風に)解決したかったんだ」ということが理解できます。

「見える化して、初めて理解できる」というのは、新製品の企画でも同じです。

顧客は、見える形にしなければ「それが本当に欲しいか?」「お金を払ってまで必要か?」は判断できないといわれます。

新製品の見える化により、その効用(ベネフィット)が理解できて初めて、新製品の必要性を判断できます。

問題解決の場合でも、考えた解決アイデアの見える化により、その効果が理解(イメージ)できて初めて、そのアイデアの妥当性を判断できます。

結局は、アイデアの効果があれば良いわけです。

アイデアの妥当性を判断した後で(妥当性があれば)問題の原因をじっくり考えることができます。

むしろ、その方が真の原因を見つけやすいかもしれません。

まずは「問題解決の方法」を使って、どんどんアイデアを考えてみましょう。

シリーズ記事

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関連書籍

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参考文献

  1. ゲンリック・アルトシューラー 『超発明術TRIZ シリーズ1 入門編「原理と概念に見る全体像」』の「付録1 典型的手法の表」

  2. Darrell Mann 『TRIZ 実践と効用 (1) 体系的技術革新』の「第10章 問題解決ツール-技術的矛盾/発明原理」

  3. Darrell Mann, Simon Dewulf, Boris Zlotin, Alla Zusman 『TRIZ 実践と効用 (2) 新版矛盾マトリックス(Matrix2003)(技術一般用)』の「第6章 発明原理集(拡張版)」

  4. Yuri Salamatov 『超発明術TRIZ シリーズ5 思想編「創造的問題解決の極意』の「付録 B.発明原理」

  5. 高木芳徳『トリーズ(TRIZ)の発明原理 あらゆる問題解決に使える[科学的]思考』の「第2部 40の発明原理」

  6. 青戸けい『アイデア発想に役立つ「発明原理コレクション」オールカラーのイラストで分かる!』の「第1章 発明原理とは」

  7. 青戸けい『問題解決のパターン集【発明原理グループ1】』 の「1章.40の発明原理」

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