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いつもと違う甲子園

「2020年甲子園高校野球交流試合」が今日から開催されている。
第92回選抜高等学校野球大会の出場校であった32校が、甲子園で1試合を行うものだ。だから招待校には、47都道府県の全てがラインナップしてはいない。

開会式は、一番最初の試合となる大分商と花咲徳栄のみが参加したよう。試合中継がテレビで放映されていて、少し観てみると、今年のプロ野球の開幕時を少々思い出した。

観客席にはおそらく部員と少数の関係者のみで、一般の観客は入っていない。チアリーディングやブラスバンド、応援団や制服を着た学生たちの姿もない。
その場に居るのは、本当に1試合に力を注ぐ部員たちだけだ。

選手の姿は、今までにテレビで観てきた甲子園と変わらない。目の前の1球に集中して、相手校と試合をしている。
応援の歓声や、選手を盛り立てる音楽は流れてこない。テレビで観戦するばかりの自分からすれば、歓声や音楽も含めて「高校野球」「甲子園」だったような気がしてちょっとだけ不思議な感じだ。選手たちはどう思いながら試合に臨んでいるのだろう。

このような状況の中で試合ができることに、喜びを感じながら打席に立っているのだろうか。
1試合限りの勝ち進みがない試合に、戸惑いながらボールを握っているのだろうか。
招待校に入っていない都道府県の高校球児は、悔しさやうらやましさのようなものを感じて観戦しているのだろうか。

プロ野球を目指す選手、先の進路で野球をすることを目指す選手、高校で野球にひと区切りをつける選手、様々いるだろう。
出場した全ての選手にとって、やはり「甲子園」というのは特別なのだと感じられる機会を、今回の交流試合は与えてくれるのだと思う。

スポーツは多くの意味を持つ。
健康を増進・維持するものであり、楽しむものでもある。プロスポーツであればそれは勝負の世界になり、生活をかけ、名誉をかけ、人によっては文字通り人生をかけて取り組むものでもあると思う。

高校野球は、高校スポーツは、果たしてどんな意味を持つのだろうか。
今後も同じような状況で、今回の様な「交流試合」が続いていくとなると、その意味は選手にとって変わっていくのだろうか。

選手たちには、目の前の1試合に全力で取り組んで欲しい。
その上で、選手たちがこの交流試合をどう感じたのか。今後の高校野球は、高校スポーツは、どうあれば良いのか。世界中を取り巻く状況と、スポーツが上手く進んでいく方法はあるのか。
実際に選手たちから発信してもらいたいし、その発信から得られるものは多いと思う。
厳しい状況のなかで進んできた選手たちの声に注目したい。

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