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中国生活で感じたこと#15(キャッシュレス、デジタル、深セン)

いつもなら長話をしない人との電話も、長電話になっていませんか?コミュニケーション欲求を感じる日々です。さて、今回は中国のキャッシュレス事情や、デジタル事情についてです。

1. キャッシュレス

中国ではキャッシュレス化が進んでいると聞いたことがある方は多いと思います。私も聞いたことはありましたが、現実は予想を超えるものでした。

最近は日本でもマークを見かけるようになりましたが、中国では、AlipayやWeChatなしでは、まとも生活できません。スーパー、レストランは勿論のこと、数十万円の支払も全て電子マネーで行うことが多いように思います。更に高額になると銀行振込はありますが、日常生活において現金を使うこと、見ることはほとんどありません。

大人数での食事後の支払もWeChatで行い、後からWeChat上で精算します。チップもWechatで払います。中国ではゴルフのラウンド後、キャディさんにチップを渡す習慣(一般的なゴルフ場では800円~1500円程度)があるのですが、これもWeChatの連絡先を交換し、送金するのが一般的になりつつあります。

そして老若男女、店舗の種類や大小を問わず浸透しています。もちろん店舗の店頭で現金で払うこともできるのですが、一番高い100元札(1,500円程度)を使おうものなら、透かしてみたり、手触りを確かめてみたり、偽札ではないかチェックする店員も多いです(アメリカでも100ドル札を嫌がる、場合によっては拒否するお店はありますよね)。それだけ現金がめずらしいものになりつつあります。

少し逸れますが、中国ではデジタル人民元の話が出てきます。ここまでデジタル通貨が普及していると、物理的には十分に可能では?とも思います(ハッキングなどのセキュリティ上の問題は聞いたことがありません。中国ではハッキングという「強奪」よりむしろ、振り込め詐欺のような、本人に振り込ませるタイプの犯行の方が問題になっています。監視・防犯カメラの影響もあると思いますが、空き巣も商売にならないという冗談も聞きますね)。

今回の騒動でも、現金が感染媒体になることを恐れ、中国では現金の洗浄が行われました。今回のような事態を想定してキャッシュレスが推進されたわけではないと思いますが、思わぬメリットが明らかになりました。

2. 中国はデジタライゼーション大国

中国は紛れもないデジタル大国です。国として、IT領域を制するものが時代を制すると考え、集中的にヒト・モノ・カネをつぎ込んできたことが成果に結びついているのだと思います。

実際に、2000年以降に世界の成長をけん引してきたのはIT業界です。アメリカのここ20年の好景気は、アマゾン、Google、マイクロソフト、アップルといった巨人たちに代表されるIT領域の成長によるものです。

中国固有の事情としては「管理」があります。IT技術は管理政策との相性が良く、国家として積極的に導入・活用したため、結果として、業界の成長が進んだともいえます。もちろん個人情報に対する考え方も異なるのもあるでしょう。

例えば、今回の騒動においても、感染者が乗っていた車両、座席付近に自分がいなかったかどうか、感染が発生した場所等の情報を簡単に調べることができます。様々なデータに横串が刺さり、活用されています。個人情報、プライバシーの観点から日本では中々できないと思います。

これは私見ですが、このような国が積極的にデータを活用する環境ゆえに、民間においても、データを有効活用しよう、という雰囲気が醸成されているのだと思います。データ活用という点では、中国平安保険という、もはや保険会社なのか、IT企業なのか、はたまたヘルスケアの会社なのかわからない保険会社を語らないわけにはいきません。

もともとは保険会社ですが、保険に関する健康情報を起点に、生命、医療保険をはじめ、医師とのオンラインでの健康相談サービス、薬品、健康食品の販売、さらには不動産売買や金融商品の販売などのサービスも展開しています。少なくとも4億人のビッグデータを有しているとされ、これらを全てリンクさせて、活用しているのです。こんな会社がたくさんあります。

3. 中国のシリコンバレー:深圳という場所

深圳(深セン)という名前を聞いたことがある人もいると思います。香港の目と鼻の先にある、中国のシリコンバレーと呼ばれる地域で、IT企業、スタートアップ企業が集まっている都市です。ここから、いま、多くの著名企業が誕生しています。上記の平安保険もその一つです。

30年前までは、一田舎町に過ぎなかったものの、1980年に中国最初の経済特区に指定されて以降、次々と外資企業の誘致、経済政策を打ち、一気に成長した都市です(ネオン街以外、特に観光する場所はありませんが笑)。

近年、ますますスタートアップの聖地としてのプレゼンスが向上し、30年前には30万しかなかった人口が、今では1,400万人を越えています。そして、平均年齢はまさかの33歳です。平均年齢が33歳です。尋常ではありません。

中国固有の事情も大きいですし、マネが出来るものでも、マネすれば良いものでもないと思いますが、ちょっと悔しいですよね。今日は、中国の頑張っているところを書いてみました。個別の面白いガジェット、デジタル取組については今後書いていきたいと思います。

ではでは。

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