猫のお礼
一般的に去勢手術を終えた猫は、ケンカをしなくなるらしいが、雄猫のテリトリー意識は、無くなることはないような気がする。大豆は、基本的に家の敷地内にいることが多いが、それでもお天気が良ければ1日のうち一度は、どこかへ出かけて行く。
家の周りには、基本的に去勢済みの猫しかいないが、他の猫が家の敷地内に来ることもあり、大豆と鉢合わせるとケンカすることになる。
大豆は、弱い方ではないが、圧倒的に強いというほどではないので、生傷はしょっちゅうで、一度大怪我をして帰ってきたことがあった。
前脚を噛まれたのか、引きずっていて、これは、さすがに病院に連れて行かねばと思っていたら、突然いなくなって、大豆が行きそうなところを必死で探したが、どこにもいない。どこかへ行っていても必ず朝、昼、晩の御飯時には帰ってきていたのに、帰ってこなかった。
そのまま3日が過ぎ、あんなに足を引きずっていたのに、どこかで動けなくなってるんじゃないかと正直覚悟した頃、大豆はひょっこり帰ってきた。
脚はパンパンに腫れていて、痛みのせいか、朦朧とした様子で、キャリーにも素直に入った。こんな状態でよく帰ってきたなと思ったが、最後に大豆が頼ろうと思ったところが私のところで、内心嬉しかったし、改めて大豆の利口さに驚いた。
でも、そもそもどうして怪我しているのに家から出て行ったのか謎だが、噛まれたということは、ケンカに負けたのかもしれないし、大豆のプライドがそうさせたのかもしれない。でもだんだん足が痛くなってきて、これはマズイと家に帰ってきたのかも。
慌てて病院に連れて行ったが、病院でも、一切抵抗せず、先生が治療してくれているのがわかっているかのような落ち着きぶりだった。幸い、大事に至らず、何日か薬を飲んで安静にしていれば大丈夫ということで帰宅した。
薬もウェットフードに混ぜると嫌がることなく、素直に飲み、数日すると大豆は完全復活した。その間も、おとなしく自分の寝床にいて、自分の状況を把握しているかのような行動にまたまた驚いた。
大豆は、家の中の猫たちに比べて、格段に大人っぽい。コハクなどは、一番歳は上だが、大豆よりも子供っぽくて、薬を飲ますのも一苦労なのに。
薬を全部飲み終わって、もう大丈夫だなとホッとした次の朝、ドアの前には、ネズミの死体が置いてあり、大豆からのお礼だということがわかった。
大豆の気持ちは嬉しいが、ネズミの死体はいらないので、大豆がいない間にそっと土に埋めておいた。こんな漫画みたいなことも本当に起きるんだなーと実感した出来事だった。
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