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FRBと金融政策について 基本事項

米国では、日本や英国のように中央銀行が存在せず、Fed(The Federal Reserve System:連邦準備制度)という中央銀行組織になっています。
その組織は、連邦準備制度理事会(FRB=Board of Governors of the Federal Reserve System)と12 の地区にそれぞれ設けられた連邦準備銀行(Federal Reserve Banks)から構成されます。
Fed における金融政策の決定はFOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)で行われます。FOMC はFRB の理事と地区連銀総裁(ニューヨーク連銀総裁とその他の地区連銀総裁のうち輪番で選ばれる4名)で構成され、FOMC の会合は定期的に約6 週間毎に年8 回開催される他、必要に応じて随時開催されます。
FOMC は政策金利であるフェデラルファンドレート(FF 金利)の誘導目標をを決定しますが、2008 年12 月16 日以降は、政策金利の誘導目標は特定の目標値ではなく目標レンジになっています。(決まりはないが、通常は0.25%幅)

FOMC の金融政策を規定しているものは連邦準備法(Federal Reserve Act)第2 条A 項で、「雇用の最大化と物価安定の促進を目指す」ことがFOMC に課せられた責務であるという内容です。

あるとき、「何故、雇用統計の発表であんなに大騒ぎするのですか?」と聞かれたことがあります。こういう素朴な質問は大好きです。
雇用統計は米国の金融政策に直結しているからです。雇用の最大化を目的にしているのは米国だけだと思います。そして、80年以降はディスインフレで物価への関心が高くなかったからです。
今は、雇用より、インフレへの関心が高まっています。なので、今はCPIの発表がお祭り騒ぎになっているのです。
因みに、80年の頃はM1が重視されました P58。
参考 この数字さえ知っていれば大丈夫! 経済統計|会社四季報オンライン>

物価の安定については、FOMC は、2012 年1 月25 日に、個人消費支出価格指数(PCE デフレーター)の前年比2%を長期目標(longer-run goal)とすることを定めました。 「長期」としていることから、価格変動の大きな食品・エネルギーを除くコア指数が判断材料として適当と思われます。

個人消費支出価格指数(PCE デフレーター)がFOMCの物価目標の対象となっているのに、消費者物価指数(CPI)が注目されるのは発表が早いからです。両者の違いは、次を参照していただきたいと思いますが、PCEデフレーターの方が幅広いと考えておけばいいでしょう。
米国 物価について 現況(1) : Kecofinの投資情報
CPI(消費者物価指数)と PCE(個人消費支出) 2つの物価指標
米CPIとPCEデフレーターの違いについて | News | PRCBroker
PCEデフレーターとは? これを見れば米国の金融政策の行方が予測できるかも!?|第6章 ファンダメンタルズ - ザイFX!
金融政策の説明に使われている物価指数 >


全く余談ですが、
ドイツ銀行(Deutsche Bank)は、ドイツの中央銀行ではありません。ドイツの中央銀行はドイツ・ブンデスバンク(Deutsche Bundesbank)です。
かつて、スイス銀行(Swiss Bank Corporation)がありました。スイスの中央銀行ではありません。スイスの中央銀行はスイス国民銀行(Swiss National Bank)です。
中國銀行は中国の中央銀行ではありません。中国(中華人民共和国)の中央銀行は中国人民銀行です。



参照 
Vol19. 米国の中央銀行について|ティーダ|note
FRB(≒アメリカの中央銀行)について|かなや|note


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