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FRB(≒アメリカの中央銀行)について

卒論でFRBについて考察していこうと思っているため、勉強したことをせっかくだからアウトプットしていく。
勉強次第適宜更新していく(2021/9/27最終更新)。

FRBとアメリカの金融組織

FRBとは、米連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board)の略称で、
アメリカの中央銀行にあたる。理事会は首都ワシントンにあり、議長、副議長、理事の計7人で構成され、理事会の元には中央銀行としての実働部隊である12の地区連邦準備銀行がある。FRBはあくまで理事会であり、銀行ではないため、実際にはFRBの意思決定を元に各地の連邦準備銀行が中央銀行業務を行い、米国の金融政策が実施されている。
また、金融を引き締めるべきか、緩和すべきか、金融市場調節方針など、金融政策上の重要事項を決めている決定機関をFOMC(連邦公開市場委員会)という。FOMCは理事会の7人の他に5人の地区連銀総裁が輪番制で出席する。

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FRBと日銀の比較

次にFRBという組織をより理解するために日本の中央銀行である日銀と表を使って比較していく。

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さまざまな違いがあるが、注目すべき違いとして、「雇用」という観点があると考えられる。日銀も確かに雇用の観点を見ていないわけではないが、FRBは政策目的の中に「雇用」という言葉を明示している。そして実際に年に4回、実質経済成長率、物価上昇率のほかに、失業率に関する見通しを公表している。
FRBの目的(使命)はデュアル・マンデートとも呼ばれ、特に「物価の安定」と「雇用の最大化」とされており、この二つが達成されれば長期金利に対する使命は自然に達成されるとされている。

FRBの主な金融政策

①量的緩和政策
量的緩和政策とは、中央銀行が景気や物価を下支えするために、マネタリーベースなどの「量」を操作目標として、市場に大量に資金を供給する金融緩和政策のこと。
多くの先進国では、中央銀行が政策金利を0%近くまで引き下げても景気回復が進まなかった際に、導入されることが多い。
具体的には、公開市場操作で金融機関から国債を大量に買い入れ、銀行などが中央銀行に開いている当座預金口座の残高を目標額まで増加させたりする。

②ゼロ金利政策
中央銀行が政策金利をゼロ%に誘導し、景気や物価を押し上げる金融政策。政策金利は中央銀行に口座を持つ金融機関が短期資金を貸し借りする際の指標となる金利(FFレートや無担保コールレートなど)で、国債利回りから住宅ローンまで様々な金利に影響を与える。金利が下がれば個人や企業にとっては返済する際に支払う利子が減るため、資金を借りやすくなる。

③信用緩和政策
市場に「信用」を与えて取引を円滑にするために、中央銀行が民間のリスク資産(社債、証券化商品など)を買い取ったり、直接融資することで、金利の低下や資産価格の上昇を促す金融政策。量的緩和政策は、資金を供給することに意義を持っているが、信用緩和政策は資金を供給することで、金融機関の信用を与えることに意義がある。
リーマンショック時に、FRBが行った、住宅ローン債権や保証をつけた住宅ローン担保証券(MBS)など、買い手を失った証券化商品を大量に買い支えなどが例。

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FRBを語る上で重要ワードまとめ

フェデラルファンド
民間金融機関が連邦準備銀行に預けている当座預金のこと
連邦準備銀行(アメリカの中央銀行)に預け入れる無利息の準備金
FFレート(=FF金利)
連邦準備銀行(アメリカの中央銀行)に預け入れるフェデラルファンドが不足している銀行が、余剰の出ている銀行に無担保で資金を借りるときに適用される金利。日本のコール市場における無担保コールレートに相当。
政策金利と呼ばれることが多い。
マネタリーベース
中央銀行が世の中に直接的に供給するお金。具体的には、市中に出回っているお金である流通現金(日本銀行券発行高+貨幣流通高)と日銀当座預金の合計
マネーストック
「金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量」のこと。 具体的には、一般法人、個人、地方公共団体などの通貨保有主体(金融機関・中央政府を除いた経済主体)が保有する通貨(現金通貨や預金通貨など)の残高
公開市場操作
民間金融機関との間で国債や手形などの金融資産を売り買いすることで、金融市場に資金を吸収したり、供給したりすること。金融調節の一つの手段。
Fed Wire(米連邦決済システム):
アメリカの銀行が自行の属する地区の連邦準備銀行の本支店に口座を持っており、その口座間の振替で決済を行うアメリカ全土の銀行間資金決済システムのこと。これを使ってFRBはオペレーションを行なっており、金融調節にとって不可欠なものとなっている。
テーパリング
量的緩和政策による金融資産の買い入れ額を順次減らしていくこと。量的緩和政策に対する出口戦略。
インフレ率
去年に比べてどれくらい物価が上昇したかを表した指数。
PCEデフレーター
米商務省が毎月末に発表している個人消費の物価動向を示す指標。
個人消費支出(Personal Consumption Expenditure)のデフレーターで、名目PCEを実質PCEで割ったもの。消費段階での物価上昇圧力を測る尺度として用いられる。PCEデフレーターから、価格変動が激しい食品とエネルギーを除いたものを「PCEコアデフレーター」と呼び、FRBが最も重視している物価指標として知られている。同様の指標に消費者物価指数がありますが、PCEデフレーターの方が調査対象が広いため、実際の物価動向を反映しているとされている。

FRBが発表している経済指標

ベージュブック
正式名称は、「米地区連銀経済報告書」。12の竹連ぎんが管轄地域の経済状況や景気動向を収集し、FOMCに提出するもの。FOMCが開催される2週間前の水曜日に公表される。
(日銀は四半期ごとにさくらレポートという地域経済報告を発表している)
鉄工業生産
鉄工業または製造業に属する鉄工業企業の生産活動状況を指数化したもので、景気動向を探る上で先行指標としての意味合いを持つ。
設備稼働率
生産能力に対する実際の生産量の比率であり、設備稼働率が上昇すると生産設備の不足感が高まり、設備投資の増加につながる可能性が高くなる。故に、設備稼働率も設備投資の先行指標として重要視されている。

FRBが示してきた数値的目標

2012年1月:PCEデフレーターを2%(物価に対する特定の長期的な目標)

参考資料

金融入門
・日本銀行HP
中央銀行と金融政策がよくわかる本


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