見出し画像

病院広報記:職員の著作権意識は皆無と思え!②

前回、職員の著作権意識の無さを当院の実例を交えて紹介しました。

これを踏まえて、今回は当院で行った対策を紹介しようと思います。

広報媒体の制作は広報に一本化

先に書くと、これは当院では実現できていません。理由は広報専従職員が2名しかおらず、さらに制作までできる者が私しかいないからです。当院の規模に対して人手が全く足りません。

もちろん可能な範囲で制作を請け負ってはいるので、今後広報の体制がより整っていけばその範囲を広げていきたいと考えています。

私の知っているある病院では、広報で制作専門職員を4名採用し、院内のすべての広報媒体制作を請け負っているそうです。病院規模は当院の4分の1ほどなのですが、制作体制が非常に充実していて羨ましい限りです。

ルールを明確化して院内に繰り返し通知

当院では先述の体制が整っていないため、こちらに重点を置いています。

まず前回書いたように有料素材の無断使用によって相手方より多額の使用料を請求された事例を院内に周知し、各部署で何か広報媒体を制作する際は必ず以下のルールを守るよう依頼しました。

・素材を使用する際は広報が推奨する素材サイトを使用すること。
 ※10ほどの素材サイトをこちらで選定しました。
・推奨サイト以外の素材を使用したい場合は必ず広報に相談すること。
・他の媒体から文章や図表等を引用したい場合は表示範囲を全体の3分の1程度までに抑え、必ず出典を明記すること。
・少しでも判断に迷ったから必ず広報に相談すること。

以上のことを院内全体のグループウェア掲示板に掲示するとともに、全診療科・部門会議、医局会、師長会、課長会などに出向いて通知しました。

特にグループウェア掲示板での掲示はそのうち埋もれてしまうので、鬱陶しくない程度に定期的に出して職員の目に留まるようにしています。

これら地道な周知活動のおかげで、何か作りたいものがあったり、著作権についての質問などがあったりすると、気軽に広報へ電話してくれるようになってくれました。

著作権に強い弁護士に講演してもらう

有料素材の無断使用について相手方より使用料を請求された事例があり、顧問弁護士と話をしていたところ、その弁護士が院内で講演をしても良いよと提案してくださいました。

私自身も著作権についてもっと学びたいと考えていたし、これまで院内でそのような講演会をやったことがなかったので、早速病院長と事務長に話を通して講演会を開催しました。

弁護士には著作権について判例を交えて様々な話をしていただいたのですが、250名を収容できるホールにもかかわらず、聴講者が入り切らず外まであふれるほどの人気ぶりでした。

医師、看護師、コ・メディカル様々な職種の職員が参加してくれたのはとても良かったと思っています。

最後に

これらの対策はコンプライアンスの観点から常識としてやるべきことではあるのですが、以前も書いた通り医療従事者の著作権や肖像権に対する意識はまだまだ低いと言わざるを得ません。

かと言ってこちらが決めたルールを押し付けるだけでは反発を招くし、何よりも「めんどくさい」のでスルーされかねません。これらルールを守ることは病院を守ることに繋がるだけでなく、何よりも職員自身を守ることにもなるのだということを理解してもらう必要があります。

実際、有料素材を無断使用した診療科と当該職員には病院から処分がくだされてしまいました。このようなことを招かないためにも、広報として院内に情報発信し続ける必要があると思います。

#私の仕事 #医療 #広報 #病院 #仕事 #著作権 #肖像権

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?