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駆け出しプロ講師のための基礎講座「コンサル」「講演」「研修」の違いと対応の仕方【3】 短いから講演は楽の間違い

 短いから「講演は楽」は大きな間違い

 一定期間契約のコンサルの仕事は、仕事を仕上げる苦労はあれど、安定収入の魅力があります。一方、人間なんてないものねだりの生き物ですから、なんとか食えるようになると文句が出てくるもの。私の場合は、コンサルの仕事には、手間がかかることが嫌になってきました。(仕事がなかった時のことを思うと何と贅沢なことか!)

研修の仕事は事前の準備はあるものの、終われば「お元気で!」と言い残してあとはフリー。コンサルはクライアントを訪問して、丁々発止のやりとりをしたあとの事態を受けて、また次のことを考えていかねばなりません。それもいろいろなことを想定しながら注意深く手を打っていかねばならない。手離れが悪いのです。しかも、途中で契約解除されるリスクがあります。たとえ、契約書に解除に関わる違約金を定めていても、払わないクライアントは払いません。そうなりゃ、裁判するしかありません。コンサルタントといっても実態は零細事業者。そんなことに時間と金を掛ける余裕はありません。泣き寝入りです。

 年間コンサル契約で生き続ける目途をつけていた一方、研修出講の実績を積むとともに、新規の依頼が増えるようになってきました。そこで、あらたに出くわした問題が日程の壁でした。先方が要望してこられる日程は、一年間で設定してあるコンサル訪問日程に、ことごとくぶち当たります。自然とお断わりにならざるを得ません。

 私に、声を掛けてくれる営業の方々も、いつも断られていたらそりゃ頼みにくくなります。ようやく出講予定を入れることができたとしても、それはコンサル訪問日の翌日。嫌な予感はしていたけど、案の状、その訪問日にはトラブル発生。いつもは18時頃には帰るのが、その日は帰れない。23時まで掛かって、深夜の帰宅。翌日は早朝から出発して研修会場へという地獄を何回もやりました。できるだけ、研修登壇日の前日にはコンサルを入れないようにしていたのですが、そうはいかない場合もあります。私のほうでも折角来た話を断ってばかりでは、この分野が育たない恐れもありました。

「今日はすいませんが、遅くとも18時には出させてもらいます」と言っていたにもかかわらず、その日のコンサルがなかなか終わらず、19時やら20時にようやく出て、泣きながら、出張先に飛ぶといったこともありました。

コンサルをメインにしながら、研修の仕事の拡充を図っていた私があらたに出くわしたのが「講演」の仕事でした。これは時間がなんと言っても短い。1時間か1時間半。長くても2時間。しかも講師フィーは、研修1日分に勝るとも劣らない。「こりゃいい」私はそう思いました。ところが、これは大きな間違いでした。有名タレントやスポーツ選手ではないのです。私にくる講演は、目的のハッキリした講演です。講師が好き勝手に話せる講演ではありません。早い話が、短距離走で成果を出すというものです。しかも、講師のトーク一本によってなのです。

研修のように演習だ、グループワークだ、受講者からの発表だという材料は無いのです。事前準備もたいへんです。その依頼元さんに合った良い話をしようと思えば、その依頼元さんの事情をよく知っておく必要が出てきます。訪問しての打合せが必要となり、手間はそれなりに掛かります。トータルすると、濡れ手で粟の儲かる仕事では決してないのです。芸能人や有名人が大きなテーマだけ決められて、なんの事前準備もなく会場に行って、好き勝手に話をして、「はい。一回、〇〇万円」という世界とはまったく違います。人間、面白くない話に2時間も真剣に付き合えるものではありません。世の中、楽して、稼げるものはないのです。


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