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駆け出しプロ講師のための基礎講座「コンサル」「講演」「研修」の違いと対応の仕方【5】三種混合同時進行のしんどさ

「コンサル」「研修」「講演」三種同時進行の日々 スケジュールの苦悩

 コンサルティングの年間契約の場合、契約開始日から12カ月のスケジュールを立てます。忙しいクライアントの社長や役員のスケジュールも予め大まかにでも押さえておく必要があります。この契約している会社の仕事だけで食っている訳ではない私ですが、レギュラーの仕事の大切なクライアントさんです。最優先に日程は確保しておかないといけません。

ここをおろそかにしてしまうと、社長や主要役員の方々と、しっかりと接点を持てません。私の場合は、ベンチャー企業でなおかつオーナー企業相手の人事コンサルタントですから、お金を出す人はズバリ社長です。ここを満足させておかないと支払いはされません。社長以外の社員さんたちといくらやり取りをしていても、社長がこのコンサルは仕事をしていると認めないといけないのです。

 人事コンサルタントをしていた私の場合の実態は、実務を司り、社長の腹心でもある人事部長のような動きをしていました。年間の大きなトピックスは、春の昇給(給与改定)、夏と冬の賞与、そして、昇格の審査です。まずはこれに絡む関連日程を押さえておかないといけません。その他に、人事労務もろもろの相談事に対応するための定期訪問、他にも社員研修の日程も設定していました。

こうして、一年間のカレンダーの中で、毎月、4,5日から多い月は、7,8日の稼働予定が埋まりました。これが、私の会社の売上げのいわば基礎。ここに、スポットの研修や講演依頼が入ってきます。2002年から始動し出した私のコンサルタント活動ですが、一定期間のコンサル契約を締結できたクライアントとは2003年4月から一年間の年間契約となり、そのあとは年次更新になりました。これ以前に、研修講師の仕事をさせてもらっていた研修会社マネジメントフォワード社からの受注も順調に拡大。他にも、個人で営業している研修エージェントと組んでの仕事が増えたりしていました。さらに2003年4月より伝統ある教育団体の委嘱講師となりました。

その年こそ、講師養成トレーニングがありなかなか稼働ができなかったのですが、講座担当のライセンスを得る毎に、登壇しての稼働機会が増えていっていました。ありがたいことに、2005年になるくらいには、スケジュールの確保に悩む状態が頻繁に出て来るようになりました。

 研修登壇の依頼が来るのはとてもありがたいことだったのですが、いかんせん、日程が合わないといった事情が同時に多発していきました。ことごとく、コンサルの日程とかぶるのです。研修の案件も、「講師はカドワキさんで」「日程は講師の都合に合わせる」といった状況であればいいのですが、まだまだ経験を積み重ねている頃の段階の登壇です。「講師はこの内容ができる人」「日程はこちらに合わせて動ける人」とこのような条件のものが大半でした。これが、そのクライアントで確かな実績を認めてもらえると様相が変わります。「講師はカドワキじゃないと」「カドワキが来てくれる日に合わせますよ」とシフトしていくのです。こうなれば、小さい世界ではありますが、ちょっとしたブランドになったということです。

 私の経験では、講演の依頼は、ほぼ間違いなく日程決め打ちです。打診のメールを受けても返事は即答できちゃいます。多くは「日程合わず」の返事です。身体は一つという現実にどれだけ泣いたか分かりません。そして怖いのは、そうこうしているうちに話がこなくなるのです。頼むほうから見ると、いつ頼んでも断られるのなら段々足は遠のきます。もっと怖いのは、「カドワキさんは忙しくて、今は仕事をうけられない」と認識されることです。ちょっと時期をずらしてくれれば、いくらでも空いているところはあるのですから、こちらからすればとんでもない悲しい話でした。

 人間ってやつは、ホントにないものねだりの生き物です。コンサルの年間契約でささやかな安定を得たと思ったら、そのせいで、研修依頼を引き受け難くなるとぼやいてしまう。そのくせ、あんなに早く決めていたコンサル日程が社長の急な都合で変更になったりする。「(社長から)わたしがいなくてもやっておいてください」と言われてもそうはいきません。オーナー企業の場合、そんなことをしても、あとでひっくり返されるリスクがあります。

日程変更しても、社長に会っておいたほうがよいのです。ちゃぶ台返しを1回でもされると、そういう気になります。手帳を見ながら、変更になった日程がもっと早く分かっていたら、その案件を引き受けることができていたなぁと嘆息したことは一度や二度ではありません。


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