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中二病を克服できない私がベッドに屋根をつけた件

 本日お話するのは「王様ベッド」「姫ベッド」──さまざまな呼び名をもつアレのお話です。

 そう、天蓋付きベッド。
 アレに憧れたことってありませんか。
 私は、だいぶこじらせてしまいました。

 その顛末をここにご紹介いたします。

 
 思えば、幼いころに読んだ絵本の王様は、みんな屋根がついたベッドで眠っていました。
 中二(病)のころ、身を持ち崩すくらいやりこんだゲームでも、ノーブル(貴族)は屋根付きのベッドで眠っていました。
 最近読んで泣き崩れた悲劇の主人公のマンガでも、貴族は屋根付きのベッドで眠っていましたね。
 

 ところが、現実は隙間風吹くボロ屋で、薄っすいフトンを敷いて眠る日々。
 ……いつしか私も天蓋ベッドへの憧れを忘れていました。

憧れと現実を可視化することも大切です


 そんな私に、転機が訪れました。

 引越しを機に、憧れのベッドを購入したのです。
 「王様ベッド」と名付けた瞬間、あのころの夢がムクムクと頭をもたげてきました。

予算オーバーしたためマットレスをケチったところ、ほどなくして横から針金が出てきました。


 しかし、困りました。
 まず、お金がありません。
 あまりに世知辛く、労働者に厳しいこの世の中。日々の暮らしにキュウキュウで、貯金をする余裕などないのです。
 
「ベッドに屋根! 王様みたいなアレ! 豪華絢爛なアイツだ!」
 
 ボンヤリとした形は浮かんでいるものの、完成図もなく曖昧な計画です。
 リスクはとりたくありません。
 加えて、私は不器用ときています。正直、靴紐を結ぶのも億劫なのです。

 
 そんなとき、ふと目に入ったのがダンボール箱でした。
 よし、コイツを使おう。
 ダンボールならいくらでもあるし。
(まぁ、いくらでもあるかと言われれば、そういうわけでもありませんが。でもタダなので)
 
「元手ゼロ円!」

 なんて素敵な言葉なのでしょう。

気持ちよく「材量」と書いていました。


 まず、ダンボールをイイ感じに切ります。

あとで色を塗りやすくするため、白い紙を貼りました。これも策のうちです。


 写真がボンヤリしているのには理由があります。
 
 寝る前に、タブレットでソシャゲをするのが日課なのですが(イベントが次から次へと開催されるので、追うのが大変なのです)どうにもベッドに寝転がった瞬間、オチてしまうようで。
 気付けば床でタブレットがバキバキになってしまっているのです。
 
 それを繰り返すうち、カメラのレンズが召されてしまったようで、ある時期から写真が薄暗い+ボンヤリという現象に悩まされるようになりました。
 
 ですが、買い替えたくはありません。
 だってお金がいるじゃないですか!
 前述のとおり、私は貧乏なのです。
 
 なので今回、ボンヤリした写真でお届けします。

 
 次は飾りです。
 これには新聞紙を使います。

 ダンボールの形に沿うように新聞紙をクルクル丸めます。
 うっすら目を閉じると、ワイヤーのように見えなくもない出来栄えです。
 新聞紙なので、切ったり折ったり、ゆるーく曲げることも簡単にできます。

 さらには、イイ感じの装飾も作りました。
 薔薇と十字架です。

 ……今、画像を直視して恥ずかしくなってきました。
 中二病感マシマシのアイテムじゃありませんか。

我、漆黒の新聞紙から生まれたり。

 リビングのコタツでこれを作っていると、母が「アンタ、こないだから何やってんの? 何作ってんの?」としつこく聞いてきました。
 「ベッドの……」というと、母は顔をしかめて「はぁ?」といいます。

 心が折れそうになりますが、何とか持ちこたえました。
 やる気とメンタルが大切です。

 薔薇も十字架もワイヤーも、適当にノリで固めていくとソレっぽくなります。
「適当」と「曖昧」、そして「イイ感じ」がキーワードです。

薔薇園のデヴィ様


 これらの新聞紙装飾を、ダンボールに貼り付けます。
 この時、思った以上にノリを消費し、慌てて百均に買いに行きました。
 3本入りのお得なやつをゲットし、ご満悦です。ありがとう、ダイ○ーさん。

この時点でもうバランスが崩れていますが、良い子はそんなことを気にしてはいけません。


 はい、貼れました。

 制作工程を細かく写真に撮っていたら良かったのですが、最近タブレットの主電源が入りづらくなってきたので、起動するのが面倒くさいというのが正直な気持ちなのです。
 


 イイ感じに貼れたら、いよいよ彩色です。
 この色塗りの作業が一番楽しかったです。
 鼻歌まじりに絵具を塗ります。
 大好きなマツケンサンバを歌いました。

冥王の畳に横たわりし我が天蓋


 ↑ 中二病を引きずっているので、こんな文字を綴りました。
  (下のゴチャゴチャしたところです)
 
「Deus defendo my Pecunia somnum」
 
「神よ、我が黄金の眠りを守り給え」という意味です。ええ、グー○ル先生が間違っていなければ、そのように書かれているはずです。
 

 さて、絵具が乾けばニスを塗ります。
 やはり気分よくマツケンサンバを歌いながらの作業です。
 

 これで完成です。
 やりました! 微妙な達成感に満ち満ちています。
 
 ここらで写真を撮りましょう。
 電源ボタンを絶妙な力加減で長押しすること1分。ようやく我らがタブレットがお目覚めになります。
 この間、暗い画面を見ながら「もうコイツは目覚めねぇんじゃないか?」と不安な気持ちになります。

はい、撮れました。


 壁に取り付け、あとは布を垂らします。
 イイ感じにたるませて、レースを結わえれば完成です。

制作期間1年です。我に返ると、1年ものあいだ私はなぜこんなことを…という思いが込み上げ……。


 実際のところ「屋根」ではなく、枕元の壁の装飾ですね、これは。
 でも、部屋がおそろしく狭いので、本当の屋根をつけたら圧迫感がハンパなかったでしょう。
 

 いわゆる王様ベッドの天蓋とは違うけれども、よいものができたと満足です。
 どうかイイ感じの夢を見られますように。
 

 ほかにもダンボールでサイドテーブルを作ったので、またの機会がありましたらご紹介するかもしれません。
 面倒くさいなと思ったら、何もしないかもしれません。
 
 最後まで読んでくださってありがとうございました。
 みなさんにも良き睡眠、そして良き夢が訪れますように。

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