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鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記

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オリジナル小説「鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記」をまとめました。 1940年。第二次世界大戦下のヨーロッパ・ノルマンディーを舞台にした歴史アクションファンタジーです。
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2023年6月の記事一覧

鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記(32)

あなたの為に生きて、死ぬ  これは慣れた音だった。  絶え間なく響く銃声。乾いた連続音は…

コダーマ
1年前

鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記(33)

「大丈夫か?」    左手と足だけでするすると器用に崖を登りながら、アミがこちらを見下ろす…

コダーマ
1年前
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鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記(34)

 ──とは言ったものの、だ。    ほどなくして、ラドムは自分の意固地さを後悔することとな…

コダーマ
1年前
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鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記(35)

「ちょっ、ちょっと待て。もぅ……って地元のガキんちょ(あんなコ)が知るわけないか」    全…

コダーマ
1年前

鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記(36)

 にまっ。    片手に蛇を握りしめて、満面の笑みのアミは草原に仁王立ちしていた。  隻腕…

コダーマ
1年前

鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記(37)

 それは土に侵食された灰色の街だった。  雑に敷き詰められた石畳の細道。その両側には、ご…

コダーマ
1年前
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鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記(38)

 ──いや、そんなことより……。    香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。  ラドムの意識は、危機感より食欲の方へとシフトしていった。   「ラドム! できたぞ。さぁ!」    条件反射だろう。  けたたましく鳴り始めた腹を宥めるように押さえて、ラドムは少女の方へと向き直る。    淡白な肉がこんがり焼ける匂い。  すぐ目の前には零れんばかりの笑顔のアミ。  つられるように笑みを作ってから、ラドムは己の頬が凍りつくのを自覚した。  生々しく体をくねらせて大きく口を開けて絶命し、炙

鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記(39)

 それはシュタイヤーが彼女に渡していた銃であった。  昨夜遅くたまたまその場面を見かけた…

コダーマ
1年前
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鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記(40)

《狂気の刃》(ヴァーンズィニヒ・クリンゲ)  首筋から後頭部にかけて痙攣が走った。  体中…

コダーマ
1年前

鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記(41)

 自分の背中が窓枠を破壊する音と、背骨のきしむ響き。  それに、肺の空気が漏れるような悲…

コダーマ
1年前

鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記(42)

   キナ臭い空気が鼻腔の奥に、耳障りな声が鼓膜の表面に今も残っているようだ。   「あい…

コダーマ
1年前

鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記(43)

第三章 戦うことが、運命 夜の空気は、どこまでも冷たく沈んでいた。    ノルマンディーの…

コダーマ
1年前
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鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記(44)

モン・サン=ミシェルへ  目の前に横たわったそれを見下ろして、女は直感した。    ──ヤ…

コダーマ
1年前

鋼鉄乙女のモン・サン=ミシェル戦闘記(45)

 再び目覚めたとき、傍らに鋼鉄色の少女の姿はなかった。  そのためだろう。周囲に気を配ることもせず、ラドムはぼんやりと天井を見上げただけであった。   「えっと……」    記憶が混乱している。  ここが故郷(ポーランド)じゃないのは分かる。  密航船の中でもない。  ならばモン・サン=ミシェル? いや、違う。  それならば、あの廃墟か?    狭いものの、清潔で近代的な造りの部屋を見回す。  先にあげた何処とも違うことは分かった。  だが、混濁する意識。蓄積された疲労が、眠