きものアルチザン京都の技術「摺型友禅・多ち花」

多ち花は、主に摺型友禅という技法を用いたものづくりをしています。
型友禅(型紙を使った友禅)の一種で、ひとつの色でも何枚もの型紙に彫り分け、同じ色を摺り重ねることで奥行き(濃淡)のある表現が可能となります。

制作現場には、色を作るための専門の職人がいます。長年の経験や知識、またそれらに基づく確かな感覚を元に、染料の配合を行い、求められる色を作り出していきます。

染色に使うのは主に丸刷毛です。大きさや毛質の違うものを適材適所で使い分けています。使い込んでいくうちに刷毛自体に染料が染み込んでいくので、余分な色が混ざらないよう、色ごとに使い分けています。

型紙にはそれぞれ同じ箇所に「星(ホシ)」と呼ばれる目印が彫られています。これがあることで、柄を構成する全ての型紙をずれることなく合わせられるのです。

摺型友禅の制作現場は、長い板に生地を貼って仕事を行うため「板場」と呼ばれています。着物用の生地1反分(約13.5m)を表裏に貼れる長さが必要となるため、板は約7mほどの長さがあり、重さはおよそ30kgもあります。染めたものを乾かすために、板を頭上の置場に抱え置きます。乾いたら下ろし、染めたら上げるを繰り返し、多い時は日に50回ほど上げ下げをするので、大変な重労働です。

出来上がりを決める一番重要な工程が、丸刷毛を使って柄の色を染めていく作業です。特別な表現方法を除き、柄を染める場合、反物全体を同じ色に統一させて染めなければなりません。約90cmある型紙を用いて生地1反分をムラなく染めるのは、そう容易ではありません。そのため職人たちには最大限の注意を払っての作業が求められます。型紙が1枚だけならまだしも、柄を構成する型紙の数が20枚や30枚となると、このような作業を型紙の枚数分こなさなければなりません。体力的にも、また精神的にも非常にタフな作業なのです。

染繍舗多ち花
http://tachibana-kyoto.jp/

きものアルチザン京都
http://kimono-artisan.jp/

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