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公募ガイド第87回せきしろの自由律俳句「動物」ボツ
路上の死骸だけがリアル
路上の死骸がなくなっている帰り
歩く鳩を目で追わない
くどい見た目のマンションに鳩よけネット暑苦しく
赤子か猫か魔物か鳴いている
路上の死骸の毛風に動く
拾った羽根不自然にきれい
馬が近い
馬の尻が近い
レース越しのスズメ手すりに
アーケード抜けスズメだらけの木
すれ違う散歩の犬よ振り向け
野良猫の顔に傷増え平気
NHKラジオ文芸選評2024/5/25 「飽きる」永井祐選
金曜が三度あるようなこの週の土曜の手前粘り気がでる
ありがとうございます。
前回のテーマ「ときどき」からもうほぼ一年経っていることにびびりました。
もう一首送ったやつ
雨の音、エビ入りかき揚げ、飽きない、歯医者のスロープの角度、飽きる
以上です。
公募ガイド 第86回せきしろの自由律俳句「昼」ボツ
昼のシャワーのみずがきらきら
昼寝のうしろめたさを薄い頭痛のせいにして
部屋の電気で昼寝の罪悪感を払う
マイナーなコンビニも昼の賑わい
昼に会い夜も会う大学生
昼間の熱が残る鉄棒
昼間の熱が残る柴犬
昼に見ると汚い川
なんか突然昼の月が目に入った
病院の昼休憩を思う
コオロギまだ鳴いているあきれる
公募ガイド第85回せきしろの自由律俳句「楽器」ボツ
ピアノなどない無人駅に降りる
ギターを弾ける人かもしれない
カスタネットで指を挟んでみる
映画館のCMで聴くはなわのベース
ライブ前エフェクターを見ている
客を忘れて試奏に夢中な店員
教科書の鍵盤を得意気に跳ねる指
吹いたのはハーモニカのキーホルダー
はなわのベースを集中して聴く
戦メリのサビ前で挫折
急に生バンドの音が聴こえ警戒
『窮巷雑歌』(1995)/玉城徹
玉城徹(1924〜2010)
梅雨ばれを風動きつつ紫のかげしじに濃き茄子の一うね
晩餐の卓のおもてに置ける手の動かむとする今のつかの間
ポストまで行くみちに夜の線路越えくさむらの香は心にぞしむ
ひえびえと三月のかぜ部屋に満ち時にはばたく如くわがゐる
雨樋のはしより水の紐太く垂るるを見つつ椅子にし眠る
床の上歩(あり)きて見やる古机に今日わがあらず座蒲団一枚
厨房にへだつる窓は棕梠の葉
NHK短歌2024年4月号/「傷ついたこと」「顔」
NHK短歌2024.4/山崎聡子選/佳作/「傷ついたこと」
今はない忌まわしいあの校則の忌まわしいあの丸刈り頭
/公木正
◆
NHK短歌/2024.4/川野里子選・佳作/「顔」
本当に疲れているが寝不足の顔が疲れた演技をしてる
/公木正
公募ガイド 第84回せきしろの自由律俳句「書く」ボツ
ティッシュ箱にメモひとつ
まっさらなペン売り場の試し書き
ペン売り場の試し書きが若い
文豪の悪筆にテンションがあがる
自転車に住所まで書いてある
日直の名前すこし削れて
ヒップホップなんだろうこの落書きは
反省文書く放課後風が気持ちいい
急に原稿用紙のマスが埋まりだす