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バックキャスティングの本質は目的志向

バックキャスティング、いまひとつピンと来ていませんでした。逆算するのは、あたり前だろう、という印象でした。要は、本質がよく分からないでいたのです。

でも、反対語から考えたら分かってきました。

バックキャスティングとフォアキャスティング

バックキャスティングの反対語は、フォアキャスティングです。現在の地点から、将来を予測する思考です。こちらの方が現場では多く使われています。「今期の着地は、いくらになりそうだ」という具合です。

もちろん、これが悪いわけではありません。結果の積み重ねによって、ビジネスは進んでいきます。ただ、計画を下回ったときの心境があまり前向きではありません。

「このままでは、目標に到達しない。どうしよう」という心境です。
ある種の「危機感」に煽られているのは、あまり健全ではありません。

危機にさらされると自分を守りたくなります。これは、動物としての本能に近いでしょう。結果、できない理由をあげてしまいます。取り繕いのための反省であって、なにも進歩しません。

そして疲弊します。「あんな目標立てなければよかった」と後悔します。そうすると、チャレンジする姿勢や、やればできるという自己効力感が失われてしまいます。

なぜ私たちはフォアキャスティングになるのか

にもかかわらず、私たちはフォアキャスティングになりがちです。
なぜなら、現在の結果やその延長である目標は、目に見えるからです。そして、最短経路で目標を目指すことを考えたり、リカバリーを考えたりします。

ここに落とし穴があります。
目に見えることだけを考えていたのでは、同じような結果が繰り返されてしまいます。目に見えていない大切なこととは、そもそもの「目的」です。

もちろん、次の目標は立てなければなりません。しかし、そもそもの目的や自社の存在意義、何のためにわが社があるのかといった使命感に立ち返らない限り、結果オーライを繰り返すだけになります。

バックキャスティングは「逆算思考」ではない

そこでバックキャスティング思考です。その本質は、未来に目を向けることで、「目的」を原動力にできることです。ここが大切なところです。「逆算思考」と捉えてしまうと「あたりまえでしょ」となってしまいます。そして、知らず知らずにフォアキャスティング思考だけで物事を捉えてしまうのです。

特に経営者は、自社の使命や事業の目的を語っている「つもり」でいます。なぜなら、周りに聞いてくれる人がいるからです。

その語りは、必ずしも未来から始まるとは限りません。現状の状況を踏まえての話もします。まして、経営者から遠い現場になるほど、結果から物事を見てしまいます。

つまり「今期の着地は…」だけが語られ続け、報告され続けるのです。

自社の使命を語る場を仕掛け、バックキャスティングにギアを入れる

「売上げや利益、ましてやノルマなんて求めていないのに」…そんな風におっしゃる経営者もいます。それは確かでしょう。問題は、伝えようとしている目的や意図は目に見えないということです。

経営者は、意識してバックキャスティングにギアを入れることが必要です。具体的には、四半期の振返りなどを目標の進捗確認とリカバリー策だけで終わらせないことです。

今年も気がつけば最終コーナーに近づいてきました。
今一度、自社の使命は何か、やろうとしていることの目的は何かに立ち返り、未来を語り合う場を作るようにしましょう。

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