そのデータは、お客様のために使われているのか?
日経新聞の記事です。
100円均一のイメージは、薄利多売。そう考えるとセリアの利益率は企業努力が表れています。どんな努力かというと、内向きではなく、お客様志向の一歩踏み込んだ努力であると思います。
お客様にとって100円ショップはどんな存在か
近年、100円ショップには、300円、500円という値付けの商品もあります。しかし、他の記事を見ているとセリアは、100円にこだわっています。セリアに来ればどれも100円で安心してお買い物ができる、そういう場でありたいというビジョンがあるのです。また、安心だけではなく、セリアに行けば、欲しいものが必ずある、セリアに行けば揃う、と思っていただけることが大切です。
そのこだわりが強みを生んでいるのでしょう。上場している競合他社と比べても大きく差をつけています。記事からの抜粋です。
利益率も圧倒的ですが、1店舗当たりの売上高を計算してみると以下のとおりです。
セリア:1.12億
キャンドゥ:0.69億
ワッツ:0.43億
この違いは何によってもたらされるのでしょうか。
競合が真似のできない企業努力
記事の中で同業他社の声が紹介されています。
「こまごました商品が多い100均は在庫管理が難しく売り時を逃すこともある。セリアは独自の仕組みでうまく管理している」(同業他社)
記事の中でもその『独自の仕組み』が紹介されています。この仕組み自体はやろうと思えば他社もできるはずです。言葉尻を捉えるようですが、ここで注目すべきは、同業他社のコメントに「売り時を逃す」という表現があることです。この表現はお客様の視点に立っていません。「いつ来ても、お客様の欲しいものが必ず100円で買えるようにする」という視点に立てているかどうかが大きな違いを生んでいるのではないでしょうか。
記事には、以下のようなことも書かれています。
1つ100円でも稼げるモデルを築きつつあるセリアだが、足元の課題は「新型コロナ下で需要変動が大きくなっていることだ」(河合規雄経営企画室長)。
そこで昨年からは売り上げデータを時間帯などで分析、店舗ごとで開店時間や閉店時間を機動的に変える試みを始めた。緊急事態宣言の地域では店内の密集を避けたい一定の顧客が朝に来店する頻度が増えるため、開店を1時間前倒しする。
コロナという外的環境の変化にデータを使って効果的に対応した、という見方だけだと本質的ではありません。需要変動から、お客様が何を必要としているのかを理解しようとしていることが重要な点です。お客様の行動を分析するために時間帯に着目し、開店時間、閉店時間を機動的に変えています。つまり、お客様を理解しようと、一歩踏み込んだ分析を行い、具体的な対策を実行していることが分かります。その繰り返しの積み重ねが、お客様に選ばれるお店づくりにつながっているのではないかと思います。
ビジネスの本質は常にお客様視点
小売りの本質をお客様の視点で捉えれば、「いつでも欲しいものが手に入る」ことです。その期待を理解し、答えようとする行動を積み重ねるためにデータを活用することが大切です。
目的と手段を履き違えないようにすることがやはり重要だと分かる事例でした。
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