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痛みの謎を解くプロフェッショナルスキル:整体師とコンサルタントの共通点

右側のお尻…のような、脚の付け根の裏側のようなところがイタイ…。調子に乗って100mダッシュを12本というインターバルトレーニングをしたせいか…。

趣味のマラソン、色々とフォームを変えていきたくてスピード練習に励んでます。…が、ムリはいけませんね。

整体に行って診てもらいました。すると、痛い方とは逆の左足、しかもふくらはぎの方が張っているという。「いや~、そんなことないでしょう」と言いかけたが、押されるとものすごくイタイ…。整体師さんいわく、足の可動域の具合や張り具合を診るとわたしの自覚症状とは違ったのだそうです。

これはよくあることらしいです。色々と聞いた話をまとめると以下のような感じです。

  • 痛みとして出るのはある部分だけど、身体全体で捉えないと本当の要因は分からない。身体の使い方や捉え方は人それぞれ。生活習慣も人それぞれ。症状の感じ方はその人にとっての常識の範囲でのこと。

  • セラピストは、身体のメカニズムに対する専門性を持っているが、それはある種の補助線。クライエントの普段の生活の様子、言葉で訴えている症状、実際に触ってみた感覚を総合的に使って診断して「ここじゃないかな」と押してみる。

  • 押された相手は「そっちなのか~」となる。そうなってはじめて、「確かに走るときの左足の使い方が…」とか、「普段、足を組む時に左が上になってるよな…」など、自分の日常で意識できていなかったことに気づく。

押したり揉んだりして治すだけでは対症療法になってしまう。クライエントやクライエントの身体と対話しながら、見えていないことに目を向けさせていく…というわけですね。

「いやー、面白い、ためになるなあ」と施術されながら話すと「そんなところ面白がるの馬場さんくらいですよ(笑)」と言われてしまいました。

彼は、観察されたことから、単純に答えを見出すのではなく、そこから見えていない要因に対する仮説を立てています。つまり答えではなく、問いを立てるわけです。このとき、専門知識がないと問いの精度は高まりません。

私たちコンサルタントもこの「問いを立てる」ことが求められます。専門知識をただ応用するだけならクライエントが自分で調べれば済むことです。あるいはAIがある程度の解を出すでしょう。しかし、大切なのは、答えを知ることではなくて、クライエントの価値観や常識を良い意味で疑い、行動を変えていくことです。コンサルタントが仮説を持って問いかけることで、クライエントは、本来の課題に目を向けることができます。そのようにして、アンラーンを促す「問いを立てる」スキルは、AIを活用する上でも重要になるでしょう。

「AIが発展しても、整体師はなくならない仕事の一つかもね」と最大級の誉め言葉のつもりで彼に言いました。しかし、また変なことを言っている…くらいの苦笑いの反応でした。まあ、そういう反応になるよなあ、と思いつつ、そのすごさに気づいてもらう言葉を私自身が磨かないといけないなと思いました。

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