【読書メモ】 先生、どうか皆の前でほめないで下さい
「う、あるなあ、これ」と思いながら手に取りました。
軽妙な文章で書かれていて、思わず笑ってしまいます。でも、笑うに笑えないところもあります。
以下は、Amazonに掲載されていた目次紹介です。
もう、これだけで苦笑いがこみあげます。
著者もしっかりと断りを入れていますが、若者みんなが同じわけではありません。彼らから学べることはたくさんあります。問題は「いい子症候群」を生んでしまっている社会環境にあります。笑うに笑えないのは、私たちオジさん側も同じような問題を抱えていたり、悪影響を及ぼしていると実感するからです。
とはいえ、「いい子症候群」。困ったものだと感じてしまうのが正直なところです。現代の若者にとっては、「目立つ」ことが最も怖いこと。「横並びでいたい」「浮くのが怖い」と思っています。これを著者は「いい子症候群」と呼んでいます。
さまざまに心がざわつくことが書いてあるのですが、個人的に一番ざわついたのは以下の内容です。
つまり現在の大学生の多くは、やりたい仕事や働きがいを、安定の対極にあるものと捉える傾向にあるのだ。やりたい仕事を求めるということは、意識の高い「そっち側の人間」のすることであって、すなわちそれは安定した仕事ではない。
このことは、今の大学生の心理を語る上で、とても重要な要素だと私は考えている。
「自分はそっち系じゃないんで」
この一言、多くの大学生はピンとくるだろう。
「自分はそっち系じゃないんで、やりがいとかは、ちょっと。やっぱり大企業の事務職とかがいいですよね」
この感覚が、大企業人気、公務員人気を支えている。
いや、この仕事観はちょっと理解が難しい…。もちろん、分からなくはない。確かに「食うために仕事してます」というオジサンもいます。でも、どこか偽悪的な感じがあるものです。しかし、「自分はそっち系じゃないんで」という言葉がさらりと語られ、多くの大学生は「ピン」とくるという…。ざわつきが止まりません。
なんでこんなにざわつくんでしょうか。私たちの仕事ぶりは若者からはどんな風に見えてるのでしょう。
でも、私も白状しなくてはなりません。私は、いわゆる氷河期世代です。それなりに大学を出れば、一生が約束されるもんだと思っていました。ところが就職すらままならない時代が急にやってきました。
しかし、ままならなかったのは、自分が何もしなかったからです。周囲は、ちゃんと勤め先を決めていました。しかるべくアクションをしたからです。
どうにか入った会社はとても忙しかった。いや、自分から望んで忙しくしていました。世間からはあまり知られていない会社です。それでも自分は一生懸命働いているのだ、だから恥じることはない…そんな強迫観念に似た思いがありました。つまり、「やりがいがあることにした」のです。
今の若者と違うとは思います。でも本質は「横並びでいたいし」「浮くのが怖かった」のではないかと思います。この仕事で誰かの役に立とうという気持ちではありませんでした。
本書は、最終的に若者と大人に向けたエールが語られます。若者編はぜひ本書をお読みいただければと思いますが、大人向けに書かれた内容の一部を引用します。
挑戦や変化が成長につながらず、チャレンジしても得られるものがないと若者が思っているのは、大人がそう見せつけてきたからだ。
自分が出来もしないし、やりもしないことを、若者に押し付けるなんて搾取以外の何物でもない。
そんなつもりはない、と抗弁したくなります。でも、この社会を作ってきてしまったのはやはり私たち大人なのだと思います。
ざわつきをしっかりと受け止めて、前向きなアクションが実を結ぶ世の中になるよう精進したいと思います。
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