くすぶりオカンが感じる「女性活躍推進」
在宅の仕事を一段落させ、リビングでコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。2022年3月1日付の日経新聞朝刊。パラパラとめくっていって「会社人事」のページで手が止まった。
見開き2ページ。春だもんねぇ。異動シーズンよねぇ。と何気なく見ていた時に、ふと、先日聞いた「女性活躍推進」に関するセミナーで語られていた数字を思い出した。
「階級別役職者に占める女性の割合の推移」。要するに、日本の会社で肩書きのある女性が何パーセントなのか、という統計資料だった。セミナーでは、視聴者の興味を惹くため、クイズ形式で4択のアンケートが行われた。
「2019年、部長職の女性は約何%でしょうか? 1) 3% 2) 5% 3) 7% 4) 9% 」
(メモをとっていなかったので正確な選択肢は覚えていません。ざっくり、こういう感じのアンケートだった、ということでご容赦ください。)
うーん、そりゃ少ないやつでしょうよ、と、私は3%を選んで投票した。
正解はこちら。
約7%とのこと。3%と7%はあまり変わらない気もするなぁ、とも思った。
その時脳内でイメージしたのは、よく年明けのニュースで見る「賀詞交換会」の風景。グレーや紺のスーツに埋め尽くされたホテル会場。会場スタッフ以外ほとんど女性がいない。(グレーのスーツに埋め尽くされた写真を載せたくて探しましたが、著作権がグレーなので控えます。)
で、目の前の「会社人事」のページをもう一度見た。
ほんまに7%もいてるか?
と、好奇心がむくむくとめばえ、女性とおぼしき名前を拾ってみた。結果がこちら。(出来る限り文字を読めない状態にしたつもりですが、これが不適切な画像であれば即刻削除しますのでお知らせください。)
7%、いてます?
名前だけで判断したのでもちろん見落としもあるでしょうし、見開き1ページで疲れたので業界に偏りはあると思いますが、伝えたいのは数字の正確性や妥当性ではなく、
「まっだまだ、日本において『女性の社会進出』は遅れているんだなと痛感した」ということ。
日経新聞の会社人事に載るような大企業以外もあるし、ここに女性の名前が載ることだけが「女性の社会進出」でないのはもちろんだけど、
この手の話題になると、自分の中のモヤっとする想いに気付いてしまう。
新聞をめくるのを止めたように。
思わずマーカーで女性の名前に色をつけて、わざわざ加工して、ここにこうして投稿したように。
私自身は大学卒業後、外資系企業で総合職の正社員として働いた。17年勤務し、娘の小学校入学の時に退職した。退職理由はいろいろあるが、聞かれるとつい「子育てと両立できなくて」と言ってしまう自分がいる。決してそれだけではないのに。
新卒で就職した当初、「海外勤務もチャレンジしたい」と豪語していた。結婚して半年後にはじめてそのチャンスがめぐって来た時は、迷わず新婚の夫を置き去りにして海外に行った。子どもが生まれても働き続けるつもりだった。「だって、男性だったら、お子さんが生まれたらそれまで以上に頑張って仕事するでしょ。」と言ってまわっていた。
その成れの果てが、今の私。自称「フリーランス」。実質「無職」。
ふぅ。意気揚々と働きはじめた20数年前。成れの果てが、これかいな。
「女性活躍推進」と聞くと、「なんやねん、『活躍』って。」と思う。今、くすぶり感満載な自分だけに、より強くそう感じる。「くすぶり感=社会と関わりが少なく、社会貢献度が低いと感じている状態」なのかも。それが心の隅っこに住みついていて、「女性活躍」という言葉にモヤっとする。
企業で出世して、日経新聞に名前が載るだけが「活躍」ではないと思う。では「女性活躍」とは何だろう。それを「推進」するにはどうすれば良いのだろう。
残念ながら今の私はその答えを持ち合わせていない。国会で議論されているような案件の解決策を、こんなくすぶりオバハンが知ってるはずがない。でも、もし私にできることがあるとすれば、何か一歩踏み出して自分で仕事を創り、この厄介な「くすぶり感」を感じないで済むように、社会と関わっていくことではないかと。
そして、もし自分の中の「くすぶり感」が消える時が来たとしても、誰もがその人らしく仕事ができる社会になるために、何かできれば良いなと思う。
と同時に、くすぶってようが、活躍してようが、大きなお世話や、とも思う。
コーヒーが冷めてしまっていた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?