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「書店訪問をしたほうがいいのですか?」と訊かれますが…

じつは元書店員でもあるのですが、初めて本を出すという著者から「書店訪問をしたほうがいいのですか?」と問われることがあります。

僕が書店員の頃も、自著が出版されると「どうかよろしくお願いします」「売って頂きありがとうございます」とご来店される著者がおられて、書店員としても「がんばってこの本を売ろう」となったものです。

ところが、いつからかこの書店訪問において、書店へのリスペクトに欠ける行為が目立つようになってきたようです。書店から「ノーアポで著者を来させないでください」と言われるようになりました。

もちろん、きちんとアポを取ってご挨拶に行かれるのであれば歓迎されると思いますが、特に嫌がられる行為を下記にまとめました。
マナーを守って熱心に書店営業されている著者もおられるので、そういう方からすれば「本当にこんな人いるの?」と驚かれるかもしれませんね。

①仕事帰りなど混んでいる時間帯にやってくる

残念ながら、書店の数と共に書店員さんの人数も減っています。今は非常に忙しく、一人で何人ものお客様を相手にしなくてはなりません。そんなときにノーアポで「著者なのですが」と来たところで迷惑なだけです。

②話が長い

その場では応じてくれるかもしれませんが、バックヤードに下がれば本音が出るものです。著者曰く「その場では笑顔で対応してくれた」店長さんから大目玉を頂いた、という編集者の話を聞いたこともあります。

③「(自分の本を)もっと目立つところに置いてほしい」「もっと注文を取ってほしい」と無茶ぶり

ここまで来ると犯罪じゃないのか、というレベルです。それでなくても営業妨害ですので、書店から出禁を通告されても文句は言えないでしょう。気持ちは分からなくもないですが絶対に逆効果です。

④お仲間を連れてやってくる

一人でも手に余るのに団体で来るのですから困ります。そして、誰も本を買わずに帰る(ことが多い)のですから脱力感が半端ないです。中には①や③を絡めてくる強者もいて、そうなるとより毒性が高まります。

⑤自分の本にサインを書く

じつはサインを書いてしまうと、その本を返品することができなくなるので、書店的には「サインはちょっと…」ということが多いです。逆に言えば、書店側からサインを頼まれる著者は相当売れっ子と言えます。

⑥頼んでもいないのにPOPを置いていく

これは他人の庭に、勝手に植物の種を植えるようなものでしょう。おそらく書店員さんに「POPをつけていいですか?」と訊いてはいると思いますが、ノーアポで来るような人(それも多人数でいたりする)に面と向かって「やめてください」と言える方もそうはいません。

⑦逆恨みする

許可どころか予告もなく書店に乗り込んでおきながら、書店員さんの態度がそっけなかったとか、会ってくれなかったとか、恨み節を口にする人がいます。それは逆恨みというものです。実際、休憩中で不在なのにどう会えと言うのでしょうか?

以上です。
ちなみに、僕が担当させて頂いた著者で、①~⑦に該当する方はおられません。ひっそりと書店に行ってお客様として本を買われるか、先方にアポを取って営業マンや僕と一緒に書店回りをするか…。

冒頭の質問に戻るなら、答えはこのどちらかになります。ご自分の都合や性格に合った選択肢を選んでください。

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