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インド

以下は昨年1月の日記。なんともしんどいがエキサイティングな一週間だった。コロナで移動が制限されて体への負荷が減ったのか体調を崩すことが少なくなった。圧倒されるような刺激が少なくなってしまったような寂しさはある。快適で健康な今の生活を感謝しつつ、コロナが明けたときに向けて今は辛抱強くじっくり根を張りたいな。


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今週は水曜日からムンバイ入り。



悲惨な週だった。



水曜日夜に市内のホテルに着いた瞬間、激しい頭痛と腹痛でフラフラだった。



成田で搭乗するときも普通に元気だった。8時間のフライトを終えて空港に着いて荷物を受け取ったときもなんともなかったが、タクシーに乗り込みホテルに向かう途中でなんだか気持ち悪くなっていた。このときは日本との温度差とでこぼこ道に酔っているだけだろうと思っていたんだが。。



今は熱も下がり回復してきたがさすがに今日はゆっくり体を労ろう。




ほんとジェットコースターみたいな一週間だった。





月曜日は祝日だったが仕事が溜まっていて会社に出た。夜はいろいろあって心に穴が開いたような感じだった。



康平が「心が揺れ動かされるものは全てエンターテイメント」と言っていたが、そうでも思わなければ、ふとした時に襲ってくる心に何も入っていないような、瞬間的に廃墟と化する、嗚咽が出るような虚無感は乗り越えられなかった。ここまで揺れ動かされている私をどこか客観視している自分もいて、それほどあの人はもう私の日常と化していたのだと気づいた。表参道駅の乗り換えで前を通る雑貨屋も、これは似合いそうだなとか、これプレゼンとしたら喜ぶかな、とかそういうことを考えることさえも許されないような気がして。もう一生戻ってこないような気がした。完全にお通夜モードである。自らを忙殺させることでしか、この穴は埋められない、時間が忘却をもたらすだろうと信じ込ませて目の前の仕事に集中した。



そして、水曜日。インド到着後早々に高熱と頭痛。



異国の地、それもインドで病気になるのはとても不安である。



心当たりがあるとすれば土曜日食べたササミだ。少し生焼けだった気がする。そいつが3、4日の感覚を開けて時差アタックしてきたとしか考えられない。それ以外何も心当たりがない。



次の日も一日中寝続けた。ベットを張って携帯までたどり着き、面談先にリスケの電話をした。電話口の銀行マンがとても心配してくれた。



「ははは、さてはお主カレーにあたったか」

「違うんだ。カレーは食べてない。インド着いた瞬間に体調を崩したんだ」

「ah that's nightmare!」



といった具合である。



日本から持ってきたダウンを着ても身震いが止まらない。



奇跡的に持ってきていたカロナールが効いたのか、金曜日には熱は下がり面談へ。全身がだるく、食事も喉が通らない。





しかし、食べないと治らないので道中のサブウェイで一番お腹に優しそうなものを注文。ツナサンドである。




実際には大量のマヨネーズが入ったツナサンドイッチである。




袋から出して手で軽く持つだけでマヨが溢れてくる。




マヨネーズサンドウィッチ・ツナ入りといった方が正確だ。




マヨはどちらかというと苦手である。サラダにかけるドレッシングも最低限で良い派である。


あくまでソースはメインの引き立て役であり、それ自体がメインになることはないのだ。素材本来の良さを10%程度引き上げるのがソースなのだ。




佐藤二朗が主役のドラマは月9になりえないだろう。それと同じ原理だ。




その原理を根本から覆すマヨサンドが目の前にある。



もう体はへなへなだったしどうでもよかった。腹が減っては戦はできんと齧り付く。




全然美味しくない。驚くほど美味しくない。





世界的チェーンのサブウェイであれば世界中どこでも同じものが食べられると思っていた私が軽率だった。





取引先との面談は意識が朦朧としつつもなんとか乗り切った。体調不良にインド英語のなまりは結構きつい。





土曜日は溜まっていた仕事を片付けて、夜は街を歩いた。



ホテルを出れば裸足で歩いている人も多くいて、野良犬がいっぱい寝ていて車の量も人の数も、なにもかもが溢れていてカオスな空間だった。日本やインドネシアでは感じないなんというか”異常な”感じである。ウガンダで夜出歩いたときの感覚に似ていた。歩くだけで全身からアドレナリンが放出されるあの感覚。



クラクションが秒単位で鳴り響き、嗅いだことのない鼻を突きさすような臭いがする。そして、傷口から血液が止まらないように、止めどなくあふれてくる自動車。交差点がないので、車の間を縫うように歩き、道路を渡った。


人が多いので車が多く、限られた面積を共有して人は生活を営まねばならないので、必然的に人と人、車と車、そして人と車の距離は近くなるのだろう。もはや車に轢かれるということなど想定もしていないのではないか。



車も人の10センチ手前でようやく止まる。肌に止まった蚊を払いのけるように、さっと車をあしらう。



カオスである。



もはや違う国に来たのではないか、という表情をわずか100m離れた場所で感じる。インドはそれぐらい場所によって違うのだ。





少し公園に入れば、クラクションもしない平穏な時間が流れていて、山の麓には英国風のマンションが立ち並んでいて、大通りを一つ曲がっただけでスラムが現れる。少し歩いただけでこれなので、本当にインドという国は多様性という言葉にふさわしい国だと思う。この国が簡単に説明されるような日は来ないのではないかと思っている。




来週からはバンガロールに移動し、チェンナイ、そしてもっと田舎町にも行く予定だ。

万全の体調を取り戻して頑張りたい。




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